20140910毎日新聞 光嶋裕介展
毎日新聞9月10日夕刊に「光嶋裕介新作展―幻想都市風景」が大きく取り上げられました。。

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スタッフSの「光嶋裕介新作展―幻想都市風景」光嶋裕介さん×山縣良和さんによるギャラリートーク・レポート

日中はまだまだ暑いものの、夜間は大分涼しくなり、エアコンの使用頻度も下がってきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか、スタッフSこと新澤です。

ときの忘れもので今週末の20日まで開催されている「光嶋裕介新作展―幻想都市風景」。先々週の金曜日に、出展作家である建築家の光嶋裕介さんと、ファッションデザイナーの山縣良和さんによるギャラリートークを開催いたしました。

DSCF3978新作の説明をする光嶋さん

ときの忘れものに来たことのある方はお分かりになるでしょうが、ウチの画廊は少々奥まった場所に居を構えているせいで、初めて来廊される方は大体迷われます。ご他聞に洩れず山縣さんも迷われてしまったのですが、光嶋さんが新作について語られている間に無事到着。拍手で迎えられた山縣さんが席に着かれてトークの始まりとなりました。

建築とファッション、同じ物作りとはいえ随分と違う分野に思えるお二人ですが、光嶋さんが山縣さんの著作『ファッションは魔法』を読んだ時、共感できる部分が多数あったそうです。今日日ファッションデザイナーと聞くと洋服のデザインをする人、というイメージがありますが、ファッションとは本来もっと広義の意味合いを持ち、服装だけではなくライフスタイルをも含みます。そう考えると、ライフスタイルが大きく影響する住居空間、すなわち建築との間に共通点があることも納得です。

RIMG1312

そんなお二人が最初の話題に挙げたのはアートとデザインについて。
光嶋さんの述べた両者の違いとは一言で言うと「制約」。自らを自由に表現することがアートであり、対するデザインとは予算や期日などの様々な要素に縛られており、建築でもそれは一緒。加えて当たり前に無茶振りをするクライアントと一緒に現実的な案を見つけていく、というのが光嶋さんのスタンス。対する山縣さんは広く深いデザインというフィールドで特定の分野を選び、ある程度の目途を付けてなどと考えて作業されるそうです。

続いての話題になったのは建築とファッションが対極にあるだろう時間について。建築はそのサイズや材質、目的から完成するまでに多くの時を必要とし、反面長きに渡りその姿を留め、様々な評価を受けます。それに対してファッションの流行廃りは遥かに早く、季節ごとに発表されるデザインは一度見られれば次のデザインに押し流されてしまう。こうも目まぐるしく入れ替わり続けるファッションデザインに、では何か残るものはあるのか? という光嶋さんの疑問でしたが、山縣さん曰く、ファッションの流れが加速したのはここ100年ほど、グローバリゼーションにより服飾の主流が洋服に一元化してしまったせいであり、逆に言えば洋装によって日陰に追いやられた世界各地の環境と文化と共に発展してきた民族衣装に目を向ける必要があるとのこと。

この後もお二人とも何かと自分の作品について語ってしまうが、本来はそういったことなしに作品を見た時点で理屈なしに「スゴイ」と感じてもらうのが本懐であること。光嶋さんが実体験に基づき服装によって人の行動が影響され、それが生活空間である建築に影響をもたらすことを挙げれば、山縣さんは人の装いという意味でのファッションに効果的に影響を与えるには、建築レベルでの変化をもたらすことが効果的だと考えたことがあると、人が生きていく上で必要とする衣住食、その中の2つを占めるからこそ互いに影響を与え合う部分は多々あると語られ、話題は尽きぬままに時間いっぱいとなり、その後のレセプション、二次会と、終始賑やかなイベントでした。

RIMG1367トーク後のレセプション風景。
今回はトークに来られなかった方もレセプションに加わってくださり、何時にも増して賑やかでした。

RIMG1376毎度お馴染みの集合写真。

RIMG1379二次会に移る前に光嶋さん(左)と山縣さん(右)の二人で記念撮影。
目線が逸れてしまっているのは、複数のカメラが一斉に撮影したせいです。

光嶋裕介新作展―幻想都市風景」は今週末の20日(土)まで開催中で、光嶋さんは明日9月15日(月)は全日(12~19時)、9月17日(水)は14時から19時まで在廊予定です。是非この機会にお出かけください。

(しんざわゆう)

◆ときの忘れものは2014年9月3日(水)~9月20日(土)「光嶋裕介新作展―幻想都市風景」を開催しています(会期中無休)。
DM1000_6002年前の銅版画展に続き、幻想都市風景を描き続ける建築家光嶋裕介の2回目となる新作個展、ドローイングを中心に和紙での新たな試みなど約30点をご覧いただきます。
光嶋裕介のエッセイ」「内田樹のエッセイ」もあわせてお読みください。

●光嶋さんの在廊予定は以下の通りです。
9月15日(月、祝日)/全日(12~19時)
9月17日(水)/14時~

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●今日のお勧め作品はヘルベルト・バイヤーです。
1_ヘルベルト・バイヤー
ヘルベルト・バイヤー Herbert BAYER
"Untitled"
1930年代(1970年代プリント)
ゼラチンシルバープリント
37.7×29.0cm
Ed.40(18/40)
裏面にサインあり

作家と作品については、小林美香さんのエッセイ「写真のバックストーリー」第一回をお読みください。

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