本日夕刻より「アートフェア東京 2017」が始まります(プレビュー)。
一般公開は明日17日~19日までです。

遠路上京される方や、海外からの方も多く、大阪のNさん、京都のOさん、山口のTさん、台湾からはKさんなどなど、皆さんアートフェア東京の前に画廊にも立ち寄ってくださいました。ありがとうございます。
今日からは、画廊(小野隆生コレクション展を開催中)には社長が、アートフェア東京の会場には亭主が詰めて皆様のご来場をお待ちしています。
幾度も宣言しておりますが、亭主は難聴で、もの静かなお客様のお話はほとんど聞き取れません。亭主がとんちんかんな受け答えをしたら、必ずそばに通訳がわりのスタッフがついておりますのでそちらにお声をかけてください。特に数字(金額)については亭主ではなく、スタッフにご確認くださいますようお願いいたします。

小野隆生の作品について時代や技法別にご紹介しています。
小野はキャンバスの平面作品と並行して立体的な切り抜き作品も制作しています。
実物よりはるかに巨大な肖像画であったり、これも実物よりはるかに大きい靴、帽子などの「断片」シリーズといわれる作品です。
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この切抜き大作がどのくらい大きいかはこの作品が出品された2008年の池田20世紀美術館での展示をご覧ください。

小野は1971年にイタリアに渡り、一時ローマの国立美術学校で彫刻を学んでいます。
1976年の銀座・現代画廊(洲之内徹主宰)の初個展では油彩でしたが、その後はテンペラに移ります。1990年前後から、板を電導ノコで人型に切り抜き、それを画布で包みこむようにしたテンペラ作品を制作しました。その後、板に直接テンペラで描画する方法に移行します。
この「切り抜き」連作は岩手県立美術館や資生堂アートハウスに収蔵されていますが、今回展示する「発掘と調査の日に」は小野の肖像画連作の中でも最も重要な位置を占める作品です。

ono09小野隆生《夏の日の午前の断片》
1991年
テンペラ・板
17.0x54.0cm
サインあり


ono11小野隆生¥《発掘と調査の日に》
1998年
テンペラ・板
175.0x176.0cm
サインあり


ono10小野隆生《断片 98-XVII》
1998年
テンペラ・合板
48.0×81.0cm
サインあり


ono12小野隆生《隠された危険な関係》
1998年
テンペラ・板
37.0×73.3cm
サインあり

かつて小野が語った夢の一つに「教会まるごとをやりたい」というのがありました。
クリスチャンでもない小野はルネッサンス時代の巨匠たちの教会を埋め尽くす壁画、天井画に挑みたいに違いありません。

●「小野隆生の絵を銀座の資生堂ギャラリーで見たのは、もう10年ほども前だろうか。覚えているのは絵を目にした瞬間に私の足が、すこし震えたことである。」
(大倉宏『「貴種」に正対する目』より)

●「オブジェと人物。私はある時、小野作品に対して、この双方に同じような眼差しを向けていたことに気付かされたのです。たしかに、人物を描いたものは、肖像画の体裁を成しています。でも、ある特定の人物の姿をとらえた、いわゆる肖像画とはちがってモデルがなく、その人物の性格や感情が見る側に直接的に伝わることはありません。そのためか、画家の頭の中で静かに熟成された人物像は、どこか凛とした佇まいの静物画(オブジェ)を思わせるのです。」
池上ちかこのエッセイより、2009年05月09日)

●「小野作品には、キャンバス作品にも何処か未完成な感じがあるが、この未完成さが日本絵画の伝統を継承する最大の特徴ではないかと思う。」
小泉清のエッセイより)

●「久しぶりにコレクションの肖像画を並べてみた。ふと、これから「小野隆生はどこへ行くのだろうか?」との想いがよぎった。イタリアの片田舎のゆったりとした時間のなかで描き続けられる肖像画が、グローバル経済の中で揺れ、少子高齢化社会を迎え閉塞感のある日本とどのように関わるのか?また、日本のアイデンティティが問われ、日本にとって文化こそ最後の砦になるかもしれない時代にどのように関わるのか?・・・私にとって興味津々だ。コレクターの一人として、こらからも小野隆生という風に吹かれて、今という時代を一緒にゆっくり歩いていこうと思う。」
荒井由泰のエッセイより、2007年4月26日)

◆ときの忘れものは「小野隆生コレクション展」を開催しています。
会期:2017年3月7日[火]―3月25日[土] *日・月・祝日休廊
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岩手県に生まれた小野隆生は、1971年イタリアに渡ります。国立ローマ中央修復研究所絵画科を卒業し、1977~1985年にイタリア各地の教会壁画や美術館収蔵作品の修復に携わり、ジョットやティツィアーノらの作品に直接触れ、古典技法を習得しました。1976年銀座・現代画廊で初個展開催。資生堂ギャラリー[椿会展]に出品。「ライバルは500年前のルネサンスの画家たち」との揺るぎない精神でテンペラ画による肖像画を描き続けています。
2008年には池田20世紀美術館で「描かれた影の記憶 小野隆生展 イタリアでの活動 30年」 を開催しました。
本展では、小野の1970年代の初期作品から2000年代の近作まで、油彩・テンペラ・素描など約15点をご覧いただきます。(実際の展示の様子はコチラをご覧ください。)