今日の夕方はときの忘れものへ。現在開催されているのは韓国の若手作家、ハ・ミョンウンさんの個展
彼女の作品はアメリカの現代美術作品を引用、再構築した立体作品。一番印象的なのはロイ・リキテンスタインのブラッシュストロークを再構築した作品たち。パッと見てポップで美しいし、リキテンスタインの作品をなんとなくでも知っていたらニヤリとするし、更によく見てみると色違いのブラッシュストロークがそれぞれの板になって重ねられていることで、オリジナルの作品が持つ絵画の平面性への問題意識をずらして再生していることに気づかされる。
とはいえ、このシリーズ、最初からそういう意図で制作され始めたのではないらしい。元々は韓国で現代美術作品が賄賂として使われていたことに対する「作品がきちんと見れてもいない人たちが値段だけに目が眩んで」という風刺として作った作品だったのが、韓国を訪れたときの忘れもののご主人に「これはポップで面白い!」と目に留まったのだそう。いま日本で一番有名な韓国の現代美術作品「モルゲッソヨ」(金知鉉「BULLET MAN」)の話でも思ったんだけど、あるコンテキストで作られた作品の隠された魅力が異文化の人に発見される、という話は楽しいよね。

(林光一郎さんのブログより)>
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「ハ・ミョンウン展」は本日が最終日です。
最終日にもかかわらず、亭主は社長のお供で大雪(ん十年ぶりらしい)の福井県勝山に美味しいお酒とお料理、じゃなかった、福井の気鋭の若手の展覧会を拝見しに(仕事です)行ってまいります。
果たして、交通は大丈夫か、少々不安ではありますが・・・・

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●スタッフSのカタログ紹介
ジャパンーネス Japan-ness 1945年以降の日本の建築と都市計画

フランスが世界に誇るポンピドゥセンター、その分館であるポンピドゥ・メスにて2017年9月9日(土)から2018年1月8日(月)まで開催された、"Japan-ness. Architecture et urbanisme au Japon depuis 1945"のカタログが入荷しました

japan-ness-catalogue"Japan-ness : Architecture et urbanisme au Japon depuis 1945"
発行日:2017年9月20日
編集:Centre Pompidou Metz
ディレクター:Frédéric Migayrou
ページ数:342
言語:フランス語
寸法:28.6×21.5×3.2cm
価格:6000円+税
送料:250円

展覧会の内容については、今村創平先生によるブログ記事(2017年10月14日)をご覧ください。

カタログは1から10までフランス語で書かれており、紹介者としてあるまじきことに内容はチンプンカンプンなのですが、342ページと厚さに見合う大量の図面、写真、イラスト、模型画像が掲載されており、文字通り1945年から今日に至る日本の建築デザインの変遷を見る事が出来ます。

駒込の画廊にご来廊いただければ「立ち読み」も可能ですので、ご興味のある方は是非お出かけください。
しんざわ ゆう

◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
詳細な記録を収録した4分冊からなるカタログはお勧めです。ときの忘れもので扱っています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
埼玉チラシAY-O600現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約280点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。

○<2018年2月6日大雪の新潟を後にした時はそれなりに時間のゆとりをもって出たつもりであったが、途中やはり2件の雪道事故や除雪渋滞に巻き込まれ、埼玉県立近代美術館に着いたのは閉館30分前と、全く余裕のない状況でのことであった。
平日の閉館間際と言うのに何人かの熱心な観覧者も見受けられ、かなりマニアックな展示会である為、入館者は限られるのではという一方的な思いは早くも裏切られることになる。
現代版画センターの活動は1974年に開始され、そこからおよそ10余年で活動を閉じる事になる。
この十年間は日本のサブカルチャーが世界に大きく花開いていく時期と重なる。
日本の美術界は日本画、洋画共にタブロー志向が強く、これほど版画が発達した日本にあっても
版画の位置は極めて低い状態が続いていた時代でもある。ところがこの日本において版画が注目を浴びる切っ掛けになる事件?が起こる。
1973年、ピカソの死去である。
ピカソは世界最大にして最高の芸術家であったのみならず、むしろ世界最大かつ最高の版画家としても高い評価を得ていた画家である。
これを機に細々と紹介されていた輸入版画の世界がいっきに日本国内で花開く。版画が世界的にも認知されたマーケットを持つ世界である事が遍く日本国内に認知された年でもあった。
その翌年に現代版画センターが活動を始動したのは偶然では無いように思える。
巨星ピカソの死去の後、ミロが1980年、シャガールが1985年と相次いで亡くなり、時代は大きく戦後から新世紀を迎えようとしている時代、それがこの現代版画センターの時代であったと思う。
ロックや漫画、アニメ、ファッション、建築、映画、写真と国内では今一つ大人の教養人が論ずるジャンルではないとされた分野において、多くの開拓者たちが生まれた時代であり、まさにその時代をトレスするかのように今回の現代版画センターが先進的に「版」というメディウムを使ってファインアートのジャンルでは括れないカテゴリーのアーティストたちの表現の場を与えてきた役割は今こうして振り返ってみても先進的である。
ファインアートの世界でも一部の現代美術のジャンルの若い芸術家たちにとって版画は最もプログレッシブで前衛的な表現形態であったと言う事が今回の展覧会では一望する事が出来るのである。
棟方志功が民芸運動の中で評価されその後世界で認められて初めて国内評価が固まったり、草間彌生も国内では長い間冷遇され続け、評価は世界文化賞まで待たなければならなかったそんな時代にまさに現代版画センターは確実に「現代」を切り取っていたのである。
アニメや漫画にいたっては言わずもがな。少年マガジンを中心に漫画から劇画へ大きく進化し始め、映画も黒沢、溝口、小津の3大ブランドからATG系や日活ロマンポルノ系に新たなウェーブが育ちつつあった時代。
もちろん背景には欧米のPOPカルチャーやヌーベルヴァーグが交差している中での出来事である。
現代版画センターの仕事はそんな背景の中、多くの若い芸術家たちと「版」の可能性を共に信じ表現の場を模索して行った、今の「ときのわすれもの」の主宰者様の熱い息吹が聞こえてきそうな展覧会となっている。
版画に携わる人間として、この会の企画を見れた事は改めて自らの立ち位置を再確認させてもらえた大変ありがたい機会であった。
期せずして今日から作品の入れ替えが行われて後期展示会が始まるとの事。
後期展も是非また訪れて見てみたい展示会であった。
この展示会を企画してくださった埼玉県立近代美術館の学芸の皆さんと膨大な資料と作品を大切に保管されてきた「ときのわすれもの」主宰様に敬意と感謝を込めて展示会にお招き頂いたお礼に代えさせて頂きたいと思います。

(20180221/三浦正彦さんからのメールより)>

西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色が始まりました(1月24日、2月14日、3月14日の全3回の予定です)。草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。

光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について(1月28日ブログ)

荒井由泰さんのエッセイ「版画の景色―現代版画センターの軌跡展を見て(1月31日ブログ)

スタッフたちが見た「版画の景色」(2月4日ブログ)

毎日新聞2月7日夕刊の美術覧で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は永田晶子さん、見出しに<「志」追った運動体>とあります。

倉垣光孝さんと浪漫堂のポスター(2月8日ブログ)

嶋﨑吉信さんのエッセイ~「紙にインクがのっている」その先のこと(2月12日ブログ)

大谷省吾さんのエッセイ~「版画の景色-現代版画センターの軌跡」はなぜ必見の展覧会なのか(2月16日ブログ)

塩野哲也さんの編集思考室シオング発行のWEBマガジン[ Colla:J(コラージ)]2018 2月号が展覧会を取材し、87~95ページにかけて特集しています。

○埼玉県立近代美術館の広報誌 ソカロ87号1983年のウォーホル全国展が紹介されています。

○同じく、同館の広報誌ソカロ88号には栗原敦さん(実践女子大学名誉教授)の特別寄稿「現代版画センター運動の傍らでー運動のはるかな精神について」が掲載されています。

現代版画センターエディションNo. 708 安藤忠雄「SCENE I/WALL」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
12安藤忠雄
《SCENE I/WALL》
1984年 
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
Image Size: 38.0×38.0cm
Sheet Size: 65.0×50.0cm
Ed.150  サインあり
*現代版画センターエディション
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

現代版画センターのエディションはNo.1の靉嘔「I love you」に始まり、700番台で終わった。安藤先生のこの作品はセンター終末期のものですが、その誕生と発表については、昨秋刊行された『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』に亭主のインタビューが掲載されています。
日経アーキテクチュア編集長のコラム<建築家・安藤忠雄氏の言葉の力:第3回>で、出江寛先生、石山修武先生の次に紹介されていますので、お読みいただければ幸いです。
安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
ときの忘れもので扱っています。

パンフレット_05
出品作家45名:靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄

●書籍のご案内
版画掌誌第2号
版画掌誌第2号
オリジナル版画入り美術誌
2000年3月31日/ときの忘れもの 発行
特集1/磯崎新
特集2/山名文夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版:限定35部:120,000円(税別 版画6点入り)
B版:限定100部:35,000円(税別 版画2点入り)

TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
20170707_abe06新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。18~24頁にときの忘れものが特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。