スタッフSの海外ネットサーフィン No.75
「Whitney Biennial 2019」
Whitney Museum of American Art
読者の皆様こんにちは。連日雷雨に見舞われる中、皆様いかがお過ごしでしょうか? 先月の水不足の心配は無用だったなぁと思いつつ、これはこれで湿度の上昇に辟易としております、スタッフSこと新澤です。
今回ご紹介するのはNY・マンハッタンを代表する美術館の一つであるホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)、そのイベントの中でも美術館の顔ともいえるホイットニービエンナーレ(Whitney Biennial)です。2017年にNYの美術館巡りを記事にした際にもホイットニー美術館は訪ねましたが、その時はビエンナーレはまだ準備中で、ギリギリ時期が合わずに見ることができずに悔しい思いをさせられました。今年のビエンナーレは5月17日から、来月の9月22日まで開催されています。
Courtesy of Whitney Museum of American Art. Photograph by Photograph by Ed Lederman
ホイットニー美術館は、アメリカ人女性彫刻家であるガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーが1931年に設立した美術館で、英名にある通り、アメリカンアートが充実している美術館です。設立以来4回に渡って移転しており、以前この連載でも記事にした建築家、レンゾ・ピアノが設計した現在のハイライン公園の南端のロケーションは2015年5月1日に開館しています。
美術館では開館翌年の1932年より毎年美術展を開催していましたが、1973年よりビエンナーレとなり、アメリカンアートの流行を生み出す重要なイベントとなっています。今年のビエンナーレでは75人の作家が絵画、彫刻を始めとしてインスタレーション、映像、写真、パフォーマンス等多岐に渡る作品を展示していますが、出展作家の半数以上が女性かつ、4分の3が1980年以降の生まれ(40代以下)であるなど、まさに今後のアメリカ美術を占うイベントとなっています。
Installation view of the Whitney Biennial 2019 (Whitney Museum of American Art, New York, May 17-September 22, 2019). Nicole Eisenman, Procession, 2019. Courtesy of the artist, Vielmetter Los Angeles, and Anton Kern Gallery, New York. Photograph by Object Studies
コンテンポラリに限らず、最先端のアートとは作家の感性と共に社会風刺を表現することはままあることですが、今年のビエンナーレでは作家やその作品だけではなく、美術館も大きく話題になりました。というのも、ホイットニーの理事の一人に世界各地の民衆弾圧や難民制圧の際に使われる催涙ガスの製造元「サファリランド」の経営者がいて、館員どころか出展作家の一部もこの理事の退任を求める署名運動に発展してしまったのです。古今東西、企業がイメージアップのために文化活動に勤しむことはよくあることですが、まさか支援している団体から突き上げを食らうとは、この理事も予想だにしなかったのではないでしょうか。皮肉なのは、今回の展示作品の中に「サファリランド」が製造する催涙ガス「トリプルチェイサー」を主題とする映像作品があること。内容はネット上のニュース画像や投稿画像の中に催涙ガスの流通の実態を追跡していくというコラージュ映像作品なのですが、はてさてどのような紆余曲折があったのか…。
Installation view of the Whitney Biennial 2019 (Whitney Museum of American Art, New York, May 17-September 22, 2019). Forensic Architecture, Triple-Chaser, 2019. Photograph by Ron Amstutz
趣味が良いとは言えませんが、事の裏側をあれこれ邪推しながら作品を観るのも楽しいものです。英語ではありますが、公式サイトには出展作家毎に作家自身や作品について詳細に紹介されており、実際にビエンナーレに行けずとも楽しめるようになっています。お時間があれば是非お訪ねください。
(しんざわ ゆう)
ビエンナーレ公式ページ(英語)
ビエンナーレ紹介動画
●本日のお勧め作品は、ベン・ニコルソンです。
ベン・ニコルソン Ben NICHOLSON
"Column and Tree"
1967年
エッチング
29.5×20.7cm
Ed.50 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
「Whitney Biennial 2019」
Whitney Museum of American Art
読者の皆様こんにちは。連日雷雨に見舞われる中、皆様いかがお過ごしでしょうか? 先月の水不足の心配は無用だったなぁと思いつつ、これはこれで湿度の上昇に辟易としております、スタッフSこと新澤です。
今回ご紹介するのはNY・マンハッタンを代表する美術館の一つであるホイットニー美術館(Whitney Museum of American Art)、そのイベントの中でも美術館の顔ともいえるホイットニービエンナーレ(Whitney Biennial)です。2017年にNYの美術館巡りを記事にした際にもホイットニー美術館は訪ねましたが、その時はビエンナーレはまだ準備中で、ギリギリ時期が合わずに見ることができずに悔しい思いをさせられました。今年のビエンナーレは5月17日から、来月の9月22日まで開催されています。
Courtesy of Whitney Museum of American Art. Photograph by Photograph by Ed Ledermanホイットニー美術館は、アメリカ人女性彫刻家であるガートルード・ヴァンダービルト・ホイットニーが1931年に設立した美術館で、英名にある通り、アメリカンアートが充実している美術館です。設立以来4回に渡って移転しており、以前この連載でも記事にした建築家、レンゾ・ピアノが設計した現在のハイライン公園の南端のロケーションは2015年5月1日に開館しています。
美術館では開館翌年の1932年より毎年美術展を開催していましたが、1973年よりビエンナーレとなり、アメリカンアートの流行を生み出す重要なイベントとなっています。今年のビエンナーレでは75人の作家が絵画、彫刻を始めとしてインスタレーション、映像、写真、パフォーマンス等多岐に渡る作品を展示していますが、出展作家の半数以上が女性かつ、4分の3が1980年以降の生まれ(40代以下)であるなど、まさに今後のアメリカ美術を占うイベントとなっています。
Installation view of the Whitney Biennial 2019 (Whitney Museum of American Art, New York, May 17-September 22, 2019). Nicole Eisenman, Procession, 2019. Courtesy of the artist, Vielmetter Los Angeles, and Anton Kern Gallery, New York. Photograph by Object Studiesコンテンポラリに限らず、最先端のアートとは作家の感性と共に社会風刺を表現することはままあることですが、今年のビエンナーレでは作家やその作品だけではなく、美術館も大きく話題になりました。というのも、ホイットニーの理事の一人に世界各地の民衆弾圧や難民制圧の際に使われる催涙ガスの製造元「サファリランド」の経営者がいて、館員どころか出展作家の一部もこの理事の退任を求める署名運動に発展してしまったのです。古今東西、企業がイメージアップのために文化活動に勤しむことはよくあることですが、まさか支援している団体から突き上げを食らうとは、この理事も予想だにしなかったのではないでしょうか。皮肉なのは、今回の展示作品の中に「サファリランド」が製造する催涙ガス「トリプルチェイサー」を主題とする映像作品があること。内容はネット上のニュース画像や投稿画像の中に催涙ガスの流通の実態を追跡していくというコラージュ映像作品なのですが、はてさてどのような紆余曲折があったのか…。
Installation view of the Whitney Biennial 2019 (Whitney Museum of American Art, New York, May 17-September 22, 2019). Forensic Architecture, Triple-Chaser, 2019. Photograph by Ron Amstutz趣味が良いとは言えませんが、事の裏側をあれこれ邪推しながら作品を観るのも楽しいものです。英語ではありますが、公式サイトには出展作家毎に作家自身や作品について詳細に紹介されており、実際にビエンナーレに行けずとも楽しめるようになっています。お時間があれば是非お訪ねください。
(しんざわ ゆう)
ビエンナーレ公式ページ(英語)
ビエンナーレ紹介動画
●本日のお勧め作品は、ベン・ニコルソンです。
ベン・ニコルソン Ben NICHOLSON"Column and Tree"
1967年
エッチング
29.5×20.7cm
Ed.50 Signed
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
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