尾崎森平のエッセイ「長いこんにちは」第4回

 「メリークリスマス。メリークリスマス、ミスターローレンス。」
 いま目の前で32歳の男が北野武の真似をして、あなたを笑わせようとしたと想像してください。北野武、坂本龍一、デヴィッド・ボウイに憧れる尾崎森平です(大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」にはこの3人が出演しています。本業が役者ではないこの3人を主要登場人物として配置するという大胆な試み。大島渚のキャスティングセンスは、クリント・イーストウッドの先をいっていたんだなぁと感嘆してしまいます)。

 僕のブログが更新されるのは毎月25日で、今月の更新日は丁度クリスマスと重なります。クリスマスと聞いて連想するのは、やはり山下達郎の名曲「クリスマス・イヴ」ですね。この時期になるとテレビやラジオ、街角のスピーカーから途切れることなくこの曲が流れてきては、日本中をロマンチックなムードにしてくれます。JR東海のCMも含めて、もう日本の風物詩ですよね。この曲のリリースは僕が生まれる4年前の1983年だと記憶しておりますが、僕が物心ついたときにはこの風物詩が定着していたので、インプリンティングなのか歌詞の中の人物のように〝素敵な独身の大人は、一人きりでクリスマス・イヴを過ごすものだ〟という間違ったクリスマス観を養ってしまい、僕は未だに(家族以外の)誰かとクリスマスを過ごすのが居心地悪く感じてしまうという、成人男性としてどうかしてるなという自覚を持ちつつ、今年のホーリーナイトも一人寒い部屋で、新作の制作に取り掛かっていることでしょう。映画シザーハンズのエドワードが天使の像をつくるように。シャキシャキ。

 そうそう、クリスマスソングのことを考えていたら、ふと法則性があることに気付いたんです。それは「男性歌手のクリスマスソングは恋人との別れをテーマにしたブルーな歌詞が多く、反対に女性歌手の曲は恋人や家族と過ごすハッピーな歌詞が多い」というものです。
具体例としては、
【男性歌手】
山下達郎「クリスマス・イヴ」
稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」
ワム!「Last Christmas」
【女性歌手】
松任谷由美「恋人はサンタクロース」
竹内まりや「素敵なホリディ」
マライア・キャリー 「All I Want for Christmas Is You」

 勿論、ポール・マッカートニーの「Wonderful Christmas Time」や辛島美登里の「サイレント・イヴ」など、法則に沿わないものもありますが、日本で毎年のように耳にするクリスマスソングを分類すると、この法則性はあながち間違いでもないような気がします。〝男性の恋はフォルダ保存。女性の恋は上書き保存〟なんて俗に言われてますが、男っつうのは未練たらたらな生き物ですからね、もしかしたらそのことと関係があるのかもしれませんね。

 いやぁ~…第四回はアンディ・ウォーホル論を予定しておりましたが、クリスマスソングの話になってしまいました。まぁ僕は音楽無しでは生きていけない人間なので、今後も折を見ては音楽についての話ができたらなぁと思っております。

 それでは皆さま、良いお年を!
尾崎森平様【タイトル】Ceremony
【サイズ】2460×1960×50mm
【素材】アクリル、キャンバス、パネル
【制作年】2015年
おざき しんぺい

尾崎森平 Shinpey OZAKI
1987年仙台市生まれ 。岩手大学教育学部芸術文化課程造形コース卒業。現代の東北の景色から立ち現れる神話や歴史的事象との共振を描く。2016年「VOCA 2016 現代美術の展望ー新しい平面の作家たち 」大原美術館賞 。平成27年度 岩手県美術選奨。2019年4月ときの忘れもの「Tricolore2019―中村潤・尾崎森平・谷川桐子展」に出品。
ホームページ https://shinpeywarhol.wixsite.com/ozaki-shinpey

◆尾崎森平のエッセイ「長いこんにちは」は毎月25日の更新です。

●本日のお勧め作品は、尾崎森平です。
ozaki-01尾崎森平 Shinpey OZAKI《昨日の世界》
2018年
アクリル、キャンバス、パネル
サイズ:144.5x163.5cm
サインあり
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◎昨日読まれたブログ(archive)/2015年03月07日|関根伸夫先生 ロスより飛来
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