杉山幸一郎さんのクライアントになりたくて
~「日本アルベルゲ協会」を立ち上げました~
芳賀繁浩
晴天の霹靂、瓢箪から駒とはこういうことを言うのだろうか。お客としてギャラリーに行ったはずなのに、作品を引き取りに行くときにはクライアント(候補?)になってしまっていた。還暦を過ぎてからでもこういうことが起こるので、やはり人生は(そしてギャラリーは)面白い。
始まりはブログだった。以前から気になっていて毎月10日の更新を楽しみにしていた杉山幸一郎さんが初個展を開くという。初個展というのは「小」「市民」コレクターにとってはなかなかの狙い目で、後には話しかけるのがはばかれるような巨匠になろうと、初個展なら直接話をすることもできるし、いつの間にか作品の価格が宝くじにでも当たらないと手に入らないような桁に達しようと、初個展ならちょっと無理をすれば手が届く。購入でもしようものなら感謝さえされたりする(感謝するのはこちらなのに)。
そんな邪な思いで開いた作品ページなのだが、ドローイングにノックアウトされてしまう。シンプルなのに複雑、平面なのに厚みがあって、そこを入り口にどこまでも奥にいけそうな気がする。美術館に収められるならまだしも他人の手にわたってしまうのは残念だし悔しいし我慢できないし耐えられない、となればもう負けである。
実際に作品を見てから、では手遅れになりかねないので、「見積り請求(在庫確認)フォーム」からそのままオーダー。なんとかまだ他の人の手には渡っていなかったようで無事お買い上げである。資金繰りが問題だったりするのだがそれは後で考えることにする。
ということで無事に作品のオーナーになったものの、それで安心してしまったためか、会期と仕事のスケジュールが見事バッテイングしたり、新型コロナ感染症の第7波をもろにくらったりで、結局リアル個展には足を運ぶことができず、動画(名作である)のリモート視聴ですませてしまって後でひどく後悔することになる。
作品を引き取りに伺った「ときの忘れもの」で、杉山さんの手作りの写真集を見せていただき、それが杉山さんがスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路」を歩かれた時のものであること、それだけではなく杉山さんご自身が「アルベルゲ」(巡礼者のための簡易宿泊所)を設計したことがあることなどを聞き一驚。
自分の家族がこれまで二度ほど(一度目は徒歩、二度目は自転車)サンティアゴ・デ・コンポステーラを歩いたこと、その過程で漏れ聞いたアルベルゲの理念(誰でも受け入れる、世話人は巡礼経験者である、立場を超えて助け合う)に共感したこと、自分の仕事(これでも教会の牧師〔プロテスタント〕をしているのだ)に深く関りがありそうなことなどから、ずっと関心を持ってきた、アルベルゲの建設とそれによる巡礼路の形成という夢というか幻というか妄想というかに一気に火がついて、気が付いたらギャラリストの綿貫さんに「杉山さんにアルベルゲを建ててもらいのですが」とお願いしてしまっていた。


綿貫さんを介してのメールのやり取りが始まり、資金も敷地も(今のところ)ない施主(候補)として一歩を踏み出すことになる。その後、「建築は建てるまでよりも建ててからのほうが大変」「お前たちがいなくなってからも続けられるようなやり方を」とのアドヴァイスをもらって「一般社団法人日本アルベルゲ協会」を立ち上げ、杉山さんのご紹介でこれまた才能あふれたデザイナーにHPを作成していただき(上島さんありがとうございます)、今は「日本アルベルゲ協会代表理事」の名刺を持ち歩く日々である。
人生を楽しく、面白く、意義深いものにしてくれるギャラリーとギャラリストに感謝。
(はが しげひろ)
■芳賀繁浩(一般社団法人「日本アルベルゲ協会」代表理事)

杉山幸一郎
"Line & Fill 89"
2021 紙に油彩
紙サイズ:42.0×60.0cm
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
~「日本アルベルゲ協会」を立ち上げました~
芳賀繁浩
晴天の霹靂、瓢箪から駒とはこういうことを言うのだろうか。お客としてギャラリーに行ったはずなのに、作品を引き取りに行くときにはクライアント(候補?)になってしまっていた。還暦を過ぎてからでもこういうことが起こるので、やはり人生は(そしてギャラリーは)面白い。
始まりはブログだった。以前から気になっていて毎月10日の更新を楽しみにしていた杉山幸一郎さんが初個展を開くという。初個展というのは「小」「市民」コレクターにとってはなかなかの狙い目で、後には話しかけるのがはばかれるような巨匠になろうと、初個展なら直接話をすることもできるし、いつの間にか作品の価格が宝くじにでも当たらないと手に入らないような桁に達しようと、初個展ならちょっと無理をすれば手が届く。購入でもしようものなら感謝さえされたりする(感謝するのはこちらなのに)。
そんな邪な思いで開いた作品ページなのだが、ドローイングにノックアウトされてしまう。シンプルなのに複雑、平面なのに厚みがあって、そこを入り口にどこまでも奥にいけそうな気がする。美術館に収められるならまだしも他人の手にわたってしまうのは残念だし悔しいし我慢できないし耐えられない、となればもう負けである。
実際に作品を見てから、では手遅れになりかねないので、「見積り請求(在庫確認)フォーム」からそのままオーダー。なんとかまだ他の人の手には渡っていなかったようで無事お買い上げである。資金繰りが問題だったりするのだがそれは後で考えることにする。
ということで無事に作品のオーナーになったものの、それで安心してしまったためか、会期と仕事のスケジュールが見事バッテイングしたり、新型コロナ感染症の第7波をもろにくらったりで、結局リアル個展には足を運ぶことができず、動画(名作である)のリモート視聴ですませてしまって後でひどく後悔することになる。
作品を引き取りに伺った「ときの忘れもの」で、杉山さんの手作りの写真集を見せていただき、それが杉山さんがスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路」を歩かれた時のものであること、それだけではなく杉山さんご自身が「アルベルゲ」(巡礼者のための簡易宿泊所)を設計したことがあることなどを聞き一驚。
自分の家族がこれまで二度ほど(一度目は徒歩、二度目は自転車)サンティアゴ・デ・コンポステーラを歩いたこと、その過程で漏れ聞いたアルベルゲの理念(誰でも受け入れる、世話人は巡礼経験者である、立場を超えて助け合う)に共感したこと、自分の仕事(これでも教会の牧師〔プロテスタント〕をしているのだ)に深く関りがありそうなことなどから、ずっと関心を持ってきた、アルベルゲの建設とそれによる巡礼路の形成という夢というか幻というか妄想というかに一気に火がついて、気が付いたらギャラリストの綿貫さんに「杉山さんにアルベルゲを建ててもらいのですが」とお願いしてしまっていた。


綿貫さんを介してのメールのやり取りが始まり、資金も敷地も(今のところ)ない施主(候補)として一歩を踏み出すことになる。その後、「建築は建てるまでよりも建ててからのほうが大変」「お前たちがいなくなってからも続けられるようなやり方を」とのアドヴァイスをもらって「一般社団法人日本アルベルゲ協会」を立ち上げ、杉山さんのご紹介でこれまた才能あふれたデザイナーにHPを作成していただき(上島さんありがとうございます)、今は「日本アルベルゲ協会代表理事」の名刺を持ち歩く日々である。
人生を楽しく、面白く、意義深いものにしてくれるギャラリーとギャラリストに感謝。
(はが しげひろ)
■芳賀繁浩(一般社団法人「日本アルベルゲ協会」代表理事)

杉山幸一郎
"Line & Fill 89"
2021 紙に油彩
紙サイズ:42.0×60.0cm
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
コメント