大変です!浦和の瑛九のアトリエが取り壊されるそうです!

ある日お客様から信じ難いメールをいただきました。
美術界においてはとても重要な建物と場所になるべき所です。
しかし、それは事実でした。
しかも年内早々に取り壊される予定だとか。
当然惜しまれる声も多数上がり今回さいたま国際芸術祭2023 市民プロジェクト「瑛九再考」の特別企画として『瑛九のアトリエ見学会』が2023年11月25日(土)に開催されました。
こちらに参加してきましたのでレポートいたします。

当日は穏やかな気持ちの良いお天気。
浦和駅で参加の受付ということで改札を出ると凄い人だかりが、、
土曜日のせいか色々なツアーの待ち合わせがあるのね。などと思い、よくみると、「瑛九のアトリエ見学会」の旗を持った方がその人だかりの中心に立っているではないですか!

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なんと、50名以上の参加者
ということで瑛九アトリエに向かって大移動。

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途中瑛九がよく利用していたという太陽堂薬局のまえを通り、
ゆっくりと歩いて30分ぐらいで瑛九が暮らした場所へ到着。人数が多い為、グループに分かれて入りました。

門から緑豊かな庭を抜けていくと左手に平屋の質素な建物が現れました。

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平屋の間取りは3部屋に分かれていて中央が少し広めの居間となっており居間を挟んで一段上がるかたちでアトリエと小さな御台所、その奥にお風呂場があるというとてもシンプルな空間でした。
見学をした日は家財など何もない状態でしたが、「瑛九アトリエを生かす会」実行委員で作家の渋谷和良先生がアトリエでの瑛九の写真を片手に丁寧なレクチャーをしてくださりました。(くわしい内容は記事末尾の動画にて)

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※居間

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瑛九は1952年から1959年(この年に入院、1960年に亡くなる)までの7年間を浦和のアトリエで過ごしました。瑛九亡きあとは奥様の都さんが亡くなるまで住んでおられました。
この小さな居間に細江英公池田満寿夫靉嘔、河原温、磯辺行久などデモクラートの作家達が終電近くまで熱い議論を交わしていたそうです。

リトグラフや銅版画を摺っていた部屋もさほど広くはなくこの部屋にプレス機なんかが入ったらかなり窮屈だったと思われます。(すでにプレス機は消息不明。浦和にあった印刷屋さんと瑛九が協力して作り上げた今のプレス機の初期型)

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※インクを調合したりする作業台の前は腰高窓になっており昼間は明るい

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※リトグラフのローラー置き台

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※アトリエの横にある水場。流し台は取り払われている

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そして、アトリエの前に広がるお庭には沢山の樹木がすくすくと育っており圧巻です。

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この日の為にボランティアの方々が荒れてしまったお庭を整備して、散策出来るようにしたそうです。整然と整備された明るいお庭は本当に気持ちが良いです。
瑛九が庭に大作なんかを持ち出して都さんと「どうかなぁ?」なんてやっていたのかしらと想像するとなんかワクワクしてきます。

そして都さんが愛したこれらの樹木を無駄にしないために、好きな樹木を分けていただけるというので
ときの忘れものの庭に可愛い赤い実をつける「マユミ(檀)」に来てもらう事にしました。弓の材料にもなった堅牢かつ、しなやかな樹木だそうです。
うちのお庭を気に入ってくれると良いのですが。

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※マユミ。赤い実をつけています

アトリエとお庭をたっぷり堪能しましたが、もう最後のチャンスということもあり大勢の方の熱い思いとやるせない思いが交差してこの日ばかりはアトリエが活気に満ち溢れており輝いてみえました。

最後に「瑛九アトリエを生かす会」の渋谷和良先生と中村茉貴先生の解説を動画で撮りましたのでご覧ください。(録音レベルが低いため聞こえにくい箇所があります。)



かばた みすみ

瑛九アトリエを生かす会
活動へのお問い合わせ先メールアドレス:eiq202312@gmail.com

●本日のお勧め作品は、瑛九です。
qei-235
《題不詳》
フォト・デッサン
25.4×20.2cm
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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