画家・難波田史男が亡くなって52年になります(1941年4月27日 – 1974年1月29日)。
本日1月29日は難波田史男の命日です。
32歳の短い生涯に2000点を超える多くの作品を遺し、それらは初台の東京オペラシティや世田谷美術館などいくつかの美術館に収蔵され、今も多くの人々を惹きつけています。
また弟の武男さんは兄史男さんの顕彰に長い間、尽力されています。
武男さんのご協力を得て、ときの忘れものでも一昨年に「没後50年 難波田史男遺作展」を開催しました。
ブログで史男の作品や蔵書を丁寧に紐解き、紹介してくださったのが中尾美穂さんです。
中尾さんの連載エッセイ「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」の総目次を一部テキストと共にご紹介します。
●2022年03月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(1)
<難波田史男の絵画はこんなふうに早熟と童心が同居していて愛おしく、青春の夢と痛みとに胸を突かれるから、既視感がある。それなのに見たことのない近未来的な情景が広がっているから、不可解で眩しい。今も、おそらくこれから先も、人は彼の作品群に惹きつけられ、羨望と共感を覚えるだろう。>

難波田史男《終着駅は宇宙ステーション》
1963年
紙/水彩、インク、テンペラ
●2022年05月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(2)
<史男は三人兄弟の二番目で、長男の紀夫とは年子、三男の武男氏とは2歳違いである。年の近い紀夫と史男は仲が良く、年少の武男氏が「ふたりの後をくっついていたような感じ」だったという。史男の日記には、受験のたびに兄や弟に声援を送る記述があって微笑ましい。>
●2022年08月15日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(3)
<絵を描く前に、もう芸術家として生きようと決心を固めてしまう若者が昔も今もどれだけいるだろうか。卒業間際の猛勉強を経て、早稲田高等学院での高校生活を無事に終えた難波田史男が、画家になるべく文化学院美術科へ進学を決めたのを難波田史男著『終着駅は宇宙ステーション』(幻戯書房、2008年)で読むたび、その覚悟と不安の入り混じった船出の心境が急に大人びて誇らしげに感じられる。>

史男のノート 早稲田大学會津八一記念博物館蔵(難波田武男氏寄贈)
●2022年09月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(4)
<父も史男の才能を驚きをもってみていた。前掲の覚書に出てくるとおり、史男の活動には助力を惜しまなかった。第七画廊、次いで史男の個展が複数回開かれた東邦画廊はもともと龍起の個展が行なわれた場所である。ことに東邦画廊は油彩、水彩などを順次紹介し、史男の独自の作品世界が共感をもって人々の目に触れることになるのである。>

『難波田史男水彩展』東邦画廊、1985年
表紙:難波田史男 《無題》 1960年
●2022年11月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(5)
<『三彩』に寄稿した美術評論家の林紀一郎は、「難波田史男への試み――無邪気さ(イノサンス)の海の崖(はて)に」と題し、「少年時代から孤独を愛し、旅することを愛した」史男の絵画は、どの夭折の画家とも重ならず、「憂鬱と陽気さのまざりあった彼の色彩や、沈黙と饒舌の錯綜する彼の線描は、イメージの最初の旅からすでに、彼ら古い世代とは地平を異にしており、やはり一九六〇年代の大学生として反安保闘争期に青春を生きた若者の感性を直截に伝えているのである」と書いた。>

『ある青春の挫折の歌 難波田史男遺作展』の図録、難波田史男遺作展委員会、1976年、
会場は小田急百貨店グランドギャラリー(東京)
表紙:難波田史男 《青い家》 1973年
●2023年01月19日| 「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(6)
<1978年、静岡県伊東市の池田二十世紀美術館で開催された企画展「難波田 龍起 紀夫 史男―三人展」のカタログは30ページ足らずの薄い冊子だが、難波田家の画家たち、とくに長男・紀夫の作風を知ることができる貴重資料である。史男が父・龍起とは別の絵画表現をめざした経緯はこの連載でもざっと紹介したが、遅れて画家になった年子の兄・紀夫についてほとんど触れていなかった。>
● 2023年03月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(7)
<1974年に32歳の若さで他界した難波田史男。その足跡をふりかえる大きな展覧会として、フジテレビギャラリーや小田急百貨店の遺作展、池田二十世紀美術館の親子三人展に続き、没後7周年の回顧展があった。1981年、西武美術館(東京・池袋)で開かれた「夭折の画家 難波田史男展―海と太陽の詩」である。>

「夭折の画家 難波田史男展―海と太陽の詩」カタログ(西武美術館、1981年)、難波田家蔵より
表紙:難波田史男《夢の街角》1969年(部分)
*表紙デザインは田中一光
●2023年05月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(8)
<1987年4月に講談社から大型の画集『難波田史男画集』が出版され、同月、フジテレビギャラリーを刊行元とする『ある日の幻想 難波田史男銅版画集』が編纂されたタイミングで、同画廊、東邦画廊、ギャルリーユマニテ名古屋を会場に「難波田史男銅版画集刊行記念展」が、次いで池田20世紀美術館で「難波田史男遺作銅版画展」が開催された。80年代、90年代を通じて各地でまとまったコレクションが誕生したのは、この流れと無関係ではないだろう。>

「難波田史男展 NAMBATA, Fumio 水彩・素描・油彩」パンフレット
(ギャルリーユマニテ名古屋、1994年)、難波田家蔵より
●2023年07月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(9)
<今回とりあげるのは、1990年代に各地に誕生した難波田史男作品のコレクションである。いくつかを難波田家が所蔵する書籍でふりかえってみたい。>

『絵でみる近代日本の歩みと今 大川美術館 No.2 所蔵238選』大川美術館、1998年、難波田家蔵
●2023年11月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(10)
<史男が同時代・同世代の作家たちとほとんど点を持たなかったのが本意であったとしてもなかったとしても、代わりにこれほど長く父との競演が続くとは想像しなかっただろう。>

『難波田史男展』世田谷美術館2階収蔵品展示室、2008年、難波田家蔵
●2024年03月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(11)
<彼の作品を各コレクションで俯瞰してみると、核となるものにより近づくことができるのではないかと思う。その鍵になるのは、儚げにみえながら思いのほか乱れのない線や深い色調の力強さだろうか。>

『東京オペラシティ アートギャラリー展覧会資料第50号 難波田史男の50年』
公益財団法人 東京オペラシティ文化財団、2012年、筆者蔵(難波田武男氏より寄贈)
同館シニア・キュレーターの福士理氏による論考のほか、詳細な年譜・文献リスト等が収められている。
●2024年05月19日|「難波田史男:宇宙ステーションへの旅」(12)
<難波田史男の没後50年展に際し、ギャラリーときの忘れものへの遺族からの寄託資料を紹介する本連載も最終回となった。最後に作家文献としてとりあげられる機会の少ない資料を紹介したい。>
『開館20周年記念 令和3年春季企画展 難波田氏とその時代』(上:表紙・下:裏表紙)
富士見市立難波田城資料館、2021年、難波田家蔵
1941年東京都に生まれる。
画家難波田龍起を父に持ち、小学生の頃から教師のすすめで油絵を試みる。また文学に親しみ、多感な幼少時代を過ごす。高校時代に絵画の道を志向し大学進学を断念、1960年文化学院美術科に入学するが、指導方針になじめず2年後に中退、以後孤独のうちに制作に没頭する。ペンと水彩を用いて、なぐり描きのようなタッチと強烈な色彩の、人物や建物が浮遊する画風を展開していった。
◆没後50年 難波田史男遺作展(終了)

2024年4月26日(金)~5月11日(土) 終了しました。
会場:ときの忘れもの
●難波田武男さんからのお報せを再録します。
大寒の候 皆々様にはご健勝にてお過ごしのことと存じます。
下記に当方関連の展覧会をご案内いたします。
おついでの折りにお立ち寄り戴ければ幸いです。
=展覧会情報=
<開催中>
展覧会1:僕はなに色 渡辺豊重展
場 所:栃木県立美術館
会 期:2026年1月10日(土)~3月22日(日)
展 示:難波田龍起 「青のリズム 1963」「虹の街 制昨年不詳」 https://www.art.pref.tochigi.lg.jp/exhibition/t260110/index.html
展覧会2:難波田龍起と難波田史男の作品展示
場 所:大川美術館(桐生市)
会 期:2026年1月17日(土)~3月29日(日)
展 示:難波田龍起 「海神の詩 1977」
難波田史男 「湖上 1972」他4点
https://okawamuseum.jp/
展覧会3:寺田コレクションハイライト 収蔵品展085 [Part 2]
(企画展 アルフレッド・ジャー に併設)
場 所:東京オペラシティアートギャラリー
会 期:2026年1月21日(水)~ 3月29日(日)
展 示:難波田史男 「自己とのたたかいの日々N-14 1961」「太陽を紡ぐ少女1968」他17点 https://www.operacity.jp/ag/exh/detail.php?id=320
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◆「恩地孝四郎展」
会期=2026年1月29日(木)~1月31日(土)11:00~19:00

1月23日のブログでお報せしましたが今週末の僅か三日間「恩地孝四郎展」を開催します。
数年前から恩地の有数のコレクターであるAさんから大量の恩地作品を預かり、その整理と恩地孝四郎展の開催に向けて準備を進めてきました。
早くても今秋、来年あたりに本格的な展示をしたいと考えていました。
今回、海外からわざわざ見にこられる方のために、A氏コレクションの一部ではありますが急遽展示することになりました。
「恩地孝四郎の自刷り作品」を中心にご覧いただきます。
展示作品のうち、希少な自刷り作品数点が海を渡ることになりました。
僅か三日間の「恩地孝四郎展」ですが、ご高覧くださいますよう、お願い申し上げます。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。


![12-09[難波田家とその時代]青幻舎*難波田家蔵](https://www.tokinowasuremono.com/archive-blog/imgs/b/1/b19d9cb0-s.jpg)
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