ときの忘れもの ギャラリー 版画
ときの忘れものWEB展覧会
風景撮影:秋葉シスイ

◆GUTAI 具体 Gコレクションより 〜ときの忘れものWEB展覧会


会期:2013年4月18日〜2013年5月15日
今月の「ときの忘れものWEB展覧会」はGUTAI 具体 Gコレクションよりの出展作品をご紹介いたします。お問合せはこちらから。
企画・監修=石山修武

1954年に関西在住の若手作家を中心に結成された「具体」。

1950年代にはまだパフォーマンスやインスタレーションといった表現が新奇の眼で見られるだけで、美術作品としての評価はなかなかされにくい時代でした。

しかし近年では国際的にも注目をあび、1950〜70年代の日本のアートを再評価し検証する動きが活発です。2013年2月からはニューヨークのグッゲンハイム美術館で「GUTAI」展も開催されます。

本展では、「具体」のリーダーとして日本の前衛美術を牽引した吉原治良、天井から吊るした綱にぶら下がりながら足で絵を描く白髪一雄など、当時の最先端アーティストたちのパワフルな活動が俯瞰できるGコレクションから選ばれた約15点をご覧いただきます。

出品作家:白髪一雄吉原治良松谷武判上前智祐堀尾貞治高崎元尚鷲見康夫、他



具体派Gコレクションの企画について    2013年2月 石山修武

Gコレクションと、ときの忘れものギャラリーを結びつけたのは、2002年に姿を消した毎日新聞記者、佐藤健であった。名物記者であり数々の業績を残した。ときの忘れものの主宰者、綿貫不二夫さんは元毎日新聞の経歴の持主だ。佐藤が自身の死を覚悟しての最後の旅、シルクロードへはわたくしも同行した。自業自得大明王の戒名の位牌を彼は鳴沙山の砂漠で自慢した。その戒名の実現に努力した僧侶が馬場昭道であった。僧侶の知合いにGコレクションのオーナーが居た。それで今度の具体派Gコレクション展が実現した。戒名の方はいかがなんでも明王の上に大をつけるのは問題であろうと大向こうから諭されて、プライベートな位牌だけが、今、佐藤の書庫であった酔庵にひっそりと在る。2013年春にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で具体派の大展覧会が開催されるが、わたくしが佐藤との縁やらもあり企画監修することになったこのGコレクション展は、その日本での小さくとも同時開催展になり得るように考えた。これも又、仏教的神道的儒教的混沌としたカオスのなかの縁、すなわち極細の蜘蛛の糸としか言えぬ人間関係により、具体派の芸術家たちとはお目にかかることができた。四角四面の重箱づくりの建築稼業のなかに大半は身を置くわたくしにとっては、皆さん、眼が点ならぬミクロコスモスになりっ放しの怪人ばかりであった。東京を拠点とした同時期の実験工房の山口勝弘先生には色々と教示を受けてきたが、彼等の律儀で合理性を帯びさせようとした創作方法とは真反対な、それこそ良く言えば自由、悪く言えば出鱈目振りは実にまぶしいばかりの輝きを持つようではあったが、あんまり良いと言いつのれば、わたくしの四角四面の職業柄おもわしくないことも起きそうで、ひた隠しにしてきた。

が、しかし、どうしてこんなに真っ当で自由で、それこそ芸術らしいのだろうとは思い続けてきたのである。

1970年の大阪万博の、お祭り広場と岡本太郎の太陽の塔の実現は、日本の現代美術にとってひとつの画期であった。このお祭り広場の主役であるべきであった民衆の祭りは影も形も、結局見せようとはしなかった。有り体に言えば磯崎新の最初の挫折であったのだが、磯崎は当時、大阪の具体の連中に対して、あの広場で暴れろとアジッたと聞く。よくよく調べてみたら、太郎の太陽の塔のモデルらしきの、磯崎の六体の百メートルほどの着せ替え人形ロボットのスケッチも残っている。国籍不明のカーニバルもどきがイメージされていた可能性がある。予算やら何やらの不自由もあり具体派の連中の具体祭りも、彼等本来の破天荒振りも充分表現されるに至らなかった。

歴史にもしもは禁句だけれど、芸術は特に現代芸術はそのもしもの本来は連続であろう。もしもあの六体の着せ替えカーニバルロボットがうごめき、もしも具体派の大カーニバル、白髪一雄の空中ブランコ群が実現していたらと、呵々大笑の白昼夢さえ出現する。

あまり大言壮語は小さなときの忘れものギャラリーには納まり切らぬであろうが、その白昼夢のカケラは少なくとも皆さんは感得されるだろう。3.11の津波、原発事故の後には何も無いとは言いたくないだろう。

ひとときならぬ異形の断片を楽しんでいただきたい。おそらくニューヨークでもWTC崩壊のキノコ雲の後の虚無に芸術の本来の可能性の在り方が示されてもいる。

(いしやま おさむ)



Gコレクション

《作品》

堀尾貞治
1967年
布、板、アクリル
52.0×53.0×8.0cm
裏に筆サインあり

《作品》

堀尾貞治
1967年
アルミ、クギ、板、布
アルミ:39.5×22.0cm
丸布棒:133.0cm

"Paris '84"

松谷武判
1984
紙、鉛筆
66.0×50.2cm
右下に鉛筆でサインとタイトルあり


《作品》

松谷武判
1999
布、鉛筆、木工用ボンド、
合板、鳥の子紙、青布
162.2×47.0cm
両面に筆サインあり

《作品》

白髪一雄
1981.11
キャンバス、合板、油彩
23.0×16.0cm
両面サインあり

《作品》

白髪一雄
1981
キャンバス布、油彩インク
41.0×41.0cm
Ed.2
左下に筆サインあり、印あり


《作品》

鷲見康夫
キャンバス、塗料
53.0×45.5cm
右下と裏にサインあり、裏に印あり、
筆でタイトル記載あり

《作品》

鷲見康夫
キャンバス、塗料
95.3×57.3cm
右下と裏に筆サインあり

《装置》

高崎元尚
1968
エンビ、合板、塗料
45.0×45.0×4.0cm
裏にペンサインあり


《装置》

高崎元尚
1991
厚紙、樹脂、合板、塗料
90.0×90.0×7.0cm
裏にサインと年記あり

《作品》

上前智祐
1972
板、塗料
109.7×51.0×5.3cm
裏にペンサインあり

《作品》

上前智祐
2001.5.8
キャンバス、油彩
40.9×31.8cm (F6)
裏にペンサインあり


ときの忘れものコレクション

《黒に白丸》

吉原治良
1971年
シルクスクリーン
22.1×27.4cm
サインあり

《赤に青丸》

吉原治良
銅版
イメージサイズ:25.7×18.0cm
シートサイズ :39.1×28.8cm
Ed.50
鉛筆サインあり

《円》

吉原治良
1971
シルクスクリーン
イメージサイズ:50.0×58.3cm
額サイズ   :71.0×79.2cm
A.P.
鉛筆サインあり


"Passionate Winner"

白髪一雄
1988
シルクスクリーン
68.5×89.0cm
Ed.300
鉛筆サインあり

《斉》

白髪一雄
シルクスクリーン
113.2×64.0cm
Ed.60
右下に鉛筆サインあり

《オブジェの10》

松谷武判
1973
シルクスクリーン
イメージサイズ:65.7×52.9cm
シートサイズ :77.8×56.8cm
Ed.40
右下に鉛筆サインあり


《作品》

堀尾貞治
1982年
コラージュ
19.0×14.0cm
左下にペンサインあり
※『堀尾貞治 一九八二』挿入作品

《作品》

堀尾貞治
2003年
ミクストメディア
37.8×26.8cm
左下に鉛筆サインあり

《作品》

田中敦子
2001
紙にクレヨン
34.5×28.3cm
裏に鉛筆サインあり


《作品》

金山明
紙に色鉛筆
15.0×10.5cm
左下に鉛筆サインあり

《作品》

山崎つる子
キャンバスにアクリル
27.5×22.5cm
右下に筆サインあり

《甦みかえった玉京山の桃》

森内敬子
色紙に油彩、金箔
27.3×24.5cm
右下に筆サインあり


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