「綿貫さん、20日、時間ある?」有無を言わせぬまるでヤクザの親分のような怖い声が電話から流れる。いつものことだ。断れるわけがない。
「あっ、はい大丈夫です」わけもわからぬままOKしてしまったのだが、20日って休日だよ・・・とほほ。
「凄いアーティストがいるんだ、場所と時間は後から知らせるから」それだけ言うと電話は切れた。後から送られてきたのが、下記のメールであった。
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3月13日より4月5日まで、弊社ハウスオブトゥモロー・ギャラリーにて、ドイツ、フランクフルトを中心に活躍の建築家、ザイフェルト・ストックマン@フォーマルハウトのガブリエラ・ザイフェルト氏とゴッツ・ストックマン氏による展覧会を開催いたします。
ザイフェルト氏とストックマン氏はともに英国の建築家のピーター・クック氏に師事した後、共同で設計事務所を設立。ロンドンのAAスクールをはじめ、ヨーロッパ、アメリカ、韓国などの多数の大学において建築教育に携わり国際的にも活躍しております。
両氏はその仕事の中で、常に建築とアートとの両方の分野を横断する試みを続けており、プロジェクトごとで、それらの比重のバランスに違いこそあれ、一貫してぶれることのないポジションで、建築、アートの両分野に刺激を与え続ける作品を発表し続けてきております。
今回の展示では、近年ザイフェルト氏・ストックマン氏が探求している、天界と地上との関係を感じることのできる巨大なスケールの空間(クレーター)と身体性、物語性、そして一方で小さなギャラリースペースの親密な空間スケールとを対比させる試みを行います。
また、この新作の展示と合わせまして、両氏のその他の作品、製作についてもご紹介する予定でございます。ぜひご期待ください。
会期=2008年3月13日~4月5日 11:00~19:00 日曜、月曜、祝日は休廊
会場=HOUSE OF TOMORROW GALLERY
105-0003 東京都港区西新橋2-13-8 廣瀬ビル2F℡03-3502-0830
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そういえば数年前の雑誌『a+u』でみた覚えがある(上の建物写真は同誌2005年4月号より)。
部屋が引き出しのように壁面から引っ張り出されるへんてこな家を作った建築家たちだ。
というわけでワインをさげて、20日の夜、雨の中をさんざん迷ってたどり着いたのは西新橋のとあるビルの2階。私同様石山親分に急遽招集された学生さんや施主さんたちが続々と集合。ガブリエラ・ザイフェルトさんとゴッツ・G・ストックマンさんによるレクチャーとパーティに参加した。
若干の予備知識があったとはいえ、初対面のドイツ人建築家に魅かれるものを感じたのは、レクチャーを通訳してくれたHOUSE OF TOMORROWの前川知子さんの手腕による(感謝)。
フランクフルト・アム・マイン工科学校にて工学士を取得。フランクフルト国立造形芸術大学シュテーデルシュ-レにてピーター・クック氏に師事。1995年よりインスブルックのレオポルド・フランツェン大学で教える。1984年にザイフェルト+ストックマンをゴッツ・G・ストックマンと、1985年にフォーマルハウトを、オットマール・ホアールとゴッツ・G・ストックマンと設立する。
◆ゴッツ・G・ストックマン(写真中央)
フランクフルトに生まれる。ロンドンのAAスクールで1983年に学位を取得。1996年よりアリゾナ州立大学の準教授。また1997年より2005年までAAスクールでディプロマ・ユニット13・マスターを勤める。2006年に香港大学と韓国国立芸術大学で客員教授。
初めて来日したガブさんとゴッチさん、きけば22日には日本を離れるという。
彼らが展開しているインスタレーションや、アートプロジェクトをもっと詳しく知りたいと思い、日本の最後の夜、ときの忘れものにお招きした。お二人には私たちのエディションしてきた磯崎新や石山修武の作品を見せて、パブリッシャーとしての活動を説明した。
現代住宅史上、屈指の名作・東孝光の「塔の家」の前で勝手に記念撮影。
東先生、お騒がせしてすいません。
青山はいまや国内外の建築家たちの競演の場と化し、まるで建築博物館だ。海外からのお客さんにも好評だ。
いつもだと私以外の全員が英語で盛り上がり、私はツンボ桟敷なのだが、ゲストに招いた『カーサ・ブルータス』などで活躍するライター青野尚子さんが速射砲のごとく同時通訳してくれ、私の下手な駄洒落まで座をわかせるという奇跡のような楽しい夜でありました。
ハウスオブトゥモロー・ギャラリーでの展覧会は4月5日まで。建築好きな方、お見逃しなく。
◆ガブさんとゴッチさんは離日されましたが、ときの忘れもので個展を開催中のジャン・ベルト・ヴァンニさんは山陰地方の旅から戻り、25日(火)の午後は在廊の予定です。
絵本『loveーラブー』にサインをご希望の方は、どうぞお出かけください。
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