尾形一郎のエッセイ第3回
「撮影について」  尾形一郎

 その後は、ウルトラバロックと同様の背景をもつ建築として、沖縄のアメリカ占領時代のモダニズム建築や、ナミビアのドイツ植民地のゴーストタウン、中国で帰国した華僑の建てた洋楼など、辺境の地にあって、西欧近代とのぶつかり合いがおもしろい表現を生んだ建築を、異なった地域、異なった時代に求めて撮影している。
 現在でも作品をデジタルカメラで撮ることはない。海外のX線検査に悩まされながら、4x5と8x10の大型銀塩フィルムを持ち歩いている。4X5や8X10といった大型カメラは大きなピントグラスに方眼が引いてあり、アオリも自在で、建築の図面を引くのと同じような感覚で撮影できる。建築というものは世界の在り方を記述した創造物である、というのが私たちの考え方なので、一枚一枚の写真にも世界の構造が反映されていなければならない。三脚を立てて、木製のカメラをどっしり据え、ピントグラスで建築に刻まれた文化を丹念にトレースしていくのだ。
(おがたいちろう)

ogata_26_oaxaca_1-c「オアハカ1-C」
1995年(1997年プリント)
クリスタルプリント
94.0×74.0cm
Ed.1
サインあり

ogata_27_ocotlan_1-c「オコトラン1-C」
1992年(1997年プリント)
クリスタルプリント
94.0×74.0cm
Ed.1
サインあり

ogata_28_tepotzotlan_1-c「テポツォトラン1-C」
1994年(1997年プリント)
クリスタルプリント
94.0×74.0cm
Ed.1
サインあり

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*画廊亭主敬白
尾形一郎さんのエッセイを三回にわけて掲載しました。
第1回はコチラ第2回はコチラをクリックしてください。
引き続き、明日からは<植田実のエッセイ―尾形邸「タイルの家」を訪ねて>を3回にわけて掲載しますので、どうぞご期待ください。

◆ときの忘れものは、2010年6月1日[火]―6月12日[土]まで「ウルトラバロック 尾形一郎 尾形優 写真展」を開催しています。※会期中無休
ウルトラバロック案内状600
キリスト教とメキシコの土着の文化が混じりあって生まれた「ウルトラバロック」、その小宇宙を捉えた写真作品をご紹介します。
尾形一郎さん・尾形優さん在廊日時は以下の予定です。
6月11日(金) 16:00~18:00

◆ときの忘れものは通常は日曜・月曜・祝日は休廊ですが、企画展の開催中は会期中無休です。本日も明日も開廊しています。