短い夏休みが終りました。
ART NAGOYA 2011」を終えて、そのまま名古屋の建築ツアーに参加。
帰京後も休む間もなく倉庫で次回展の準備作業、二人で病院の検査を受けたりなどで、夏休みは実質3日ほどしかありませんでしたが、社長を家においておくと、洗濯、掃除など独楽ねずみのように家事に明け暮れ休養にならない。
かといってお盆の混雑時に温泉に行ってもしようがない。
都内某所に篭り、今年初めて映画館に行き、宿ではBSでバイロイト音楽祭「ローエングリン」の生中継を楽しみました。おかげでリフレッシュできました。

大森一樹監督の「津軽百年食堂」と、大森立嗣監督の「まほろ駅前多田便利軒」は二本立て。
前者は建築都市・弘前のファンとしては見逃せません。期待した通り、大竹巽設計の旧・弘前無尽株式会社社屋(現・三上ビル)が重要な舞台として登場、前川國男設計の「弘前市斎場」も出てきます。

映画ミラルジュリアン・シュナーベル監督の映画『ミラル』は、イスラエル建国に始まるパレスチナ紛争の中で成長してゆく少女の物語です。エルサレムに溢れる戦災孤児たちのために学校をつくり、子供たちの未来に生涯をかけたヒンドゥ・ホセイニの実話をもとにつくられた。
昨年10月ときの忘れものに突如現れたウィレム・デフォーさんが出演していることもあり、ぜひ見なくちゃと思っていたのですが、それよりも亭主にとっては、あのシュナーベルが、と感慨深いものがありました。
亭主がアンディ・ウォーホルとの契約のために訪れた1983年のNYは、70年代の停滞を打破しようとニューペインティング(今では新表現主義といわれるようだ)の真っ盛りで、ジュリアン・シュナーベル(Julian Schnabel 1951年~)、フランチェスコ・クレメンテ、サンドロ・キアなどが美術市場を席捲していました。
若い女性画商メアリー・ブーンのギャラリーで見た壊れた陶器の皿をカンヴァスに張りつけた巨大な作品には度肝を抜かれましたが、60年代のコンセプチュアル・アートやミニマル・アートの難解さにうんざりしていた美術市場が彼等を熱狂的に支持し、今思うととんでもない高額な価格で売られていた。あの頃はバブルのずっと前だったけれど、亭主はその後間もなく美術界を去ってしまったので、シュナーベルたちが日本でどのような扱いを受けていたのかは知りませんでした。
あれから30年、まさか商業映画でも成功するなんて、思いもかけませんでした。

映画を見て頭がすっきりした後は、神楽坂、渋谷あたりですこし贅沢な食事をし、大風呂で汗を流して畳でごろごろ読書三昧。
忙しい日常に追われ、ついついツンドク本が増えてしまうが、こういう時に一挙清算。
丸谷才一、花森安治、布野修司、内田樹、堀江敏幸、etc.,
布野修司「建築少年たちの夢」滋賀県立大学教授の布野修司さんの『建築少年たちの夢―現代建築水滸伝』(彰国社)は一気に読みました。
村松貞次郎『日本建築家山脈』という明治・大正・昭和の建築家列伝の名著がありますが、それに続く平成の建築水滸伝で、安藤忠雄、藤森照信、伊藤豊雄、山本理顕、石山修武、渡辺豊和、象設計集団、原宏司、磯崎新を論じて面白いことこの上なし。
分かりやすくそれでいてきちんと彼らへの批判的視点を堅持しているのは見事。
「ぼくが建築の芸術性を評価できるとはおもってはいない。ぼくは文脈をはっきりさせているだけだ。」という布野さんの言葉を紹介している土居義岳さんのブログもぜひお読みください。

さて、今日から「ル・コルビュジエ展」を開催します。
復帰してくれた強力助っ人・浜田さんによる展示をぜひお楽しみください。
装画本「二つの間に」全17点を展示するほか、版画代表作《ユニテ》より、など 27点を出品展示します。
ついでに、マイケル・グレイブス、石山修武、安藤忠雄、藤森照信、磯崎新など建築家の作品もお声をかけてくだされば、ご覧にいれます。
ル・コル展DM
会期=2011年8月16日(火)ー8月27日(土)
12時~19時
*会期中無休

ル・コル「二つの間に」表紙ル・コルビュジエ
二つの間に』表紙
1964年
リトグラフ17点組
44.0x36.0cm
Ed.250 
版上サインあり

ル・コル「二つの間に」1ル・コルビュジエ
二つの間に』より
1964年
リトグラフ17点組
44.0x36.0cm
Ed.250 
版上サインあり

ル・コル「飛ぶ一角獣」ル・コルビュジエ
飛ぶ一角獣
1960年
リトグラフ
37.0x54.0cm
版上サインあり

ル・コル「ユニテ4」ル・コルビュジエ
ユニテ #4
1965年
銅版
66.0x54.5cm
Ed.130
自筆サインあり

ル・コル『永久の海』よりAル・コルビュジエ
『永久の海』よりA
1962年
リトグラフ
57.5×52.2cm
Ed.185
版上サインあり

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◆ときの忘れものは、2011年8月16日[火]―8月27日[土]「ル・コルビュジエ展を開催しています(会期中無休)。
出品リストはホームページに掲載しました。
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