第8回となる「写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」を小林紀晴さんを迎えて開催します。

日時:2012年1月27日[金] 18:30-20:00
会場:ときの忘れもの
コレクターの原茂さんが気鋭の写真家を迎え、写真をコレクションする楽しみを語るとともにゲスト写真家の作品を御覧いただくフォトビューイングです。
第8回ゲスト:小林紀晴
ホスト:原茂(コレクター)
※要予約(参加費1,000円/参加ご希望の方は、電話またはメールにてお申し込み下さい)
Tel.03-3470-2631/Mail info@tokinowasuremono.com

*尚、小林さんの仕事柄、急な撮影が入った場合には、万が一、日時を変更させていただくことがありますので、予めご了承ください。
小林紀晴アジアン・ジャパニーズ

先ずは原茂さんの口上をお読みください。

第8回写真を買おう!!ときの忘れものフォトビューイング「口上」 原茂

 「第8回 写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」には、写真家にして作家の小林紀晴さんhttp://www.kobayashikisei.com/ をお招きいたします。
 私などが改めてご紹介するまでもなく、第一作『アジアン・ジャパニーズ』以来、写真×文章によって綴られる独特の世界が多くのファンを惹きつけてやまない、当代きっての人気作家のお一人です。
 これまで出版されたものをあげるだけでも

『アジアン・ジャパニーズ』(情報センター出版局、1995/04)
『アジアン・ジャパニーズ2 』(情報センター出版局、1996/09)
『DAYS ASIA 』(情報センター出版局、1996/10)
『アジア旅物語』(世界文化社、1996/11)
『アジアロード』(講談社、1997/07)
『東京装置』(幻冬舎、1998/01)
『東京外国人』(メディアワークス、1998/09)
『japanese road 』(集英社、1998/09)
『homeland 』(NTT出版、1999/01)
『アジアの少年』 (幻冬舎文庫、幻冬舎、1999/04)
『Tokyo Generation 』(河出書房新社、1999/06)
『ハノイの犬、バンコクの象、ガンガーの火』(幻冬舎文庫、幻冬舎、1999/11)
※『アジア旅物語』(世界文化社、1996/11)改題(加筆訂正、写真一部差し替え)
『暗室』(幻冬舎、2000/04)
『アジアン・ジャパニーズ3』(情報センター出版局、2000/05)
『アジアン・トラヴェラーズ―総特集 (KAWADE夢ムック) 』(河出書房新社、2000/07)
『写真学生』( 集英社、2000/10)
『国道20号線』(河出書房新社、2001/01)
『小説家『(河出書房新社、2001/05)
『小林紀晴 life 1986‐2002 (SWITCH LIBRARY)』(スイッチパブリッシング、2002/07)
『遠い国』(新潮社、2002/12)
『東京装置』(幻冬舎文庫、幻冬舎、2002/12)
『days new york―デイズ ニューヨーク』(平凡社、2003/08)
『9月11日からの僕のこと』(講談社、2003/09)
『写真学生』(集英社文庫、集英社 (2004/02)
『盆地』(エイ文庫、エイ出版社、2004/03)
『ASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ〈1〉』(新潮文庫、新潮社、2004/03)
『旅をすること』(エレファントパブリッシング、2004/10)
『アジアロード』(講談社文庫、講談社、2004/10)
『ASIAN JAPANESE―アジアン・ジャパニーズ〈2〉 (新潮文庫、新潮社、2005/01)
『ASIAN JAPANESE〈3〉』(新潮文庫、新潮社、2005/05)
『SUWA』(アクセスパブリッシング、2005/08)
『写真展に、行ってきました。』(平凡社、2006/02)
『最後の夏 1991』(バジリコ、2006/08)
『父の感触』(文藝春秋、2007/08)
『十七歳』(日本放送出版協会、2008/06)
『はなはねに』(情報センター出版局、2008/06)
『昨日みたバスに乗って』(講談社、2009/11)
『写真と生活』(リブロアルテ、2011/12)

 といった長大なリストになります。
共著や寄稿まで入れれば、このリストがさらに長くなるのはいうまでもありません。印象的なのは、『ASIAN JAPANES』をはじめその作品が次々と文庫化されていることで、それだけ息の長い、多くの人に受け入れられ、愛される作品を送り出してこられたということだと思います。
 60年代に小田実さんの『何でも見てやろう』(1961年)が、70年代に藤原新也さんの『印度放浪』(1972年)が、80~90年代に沢木耕太郎さんの『深夜特急』(1986)がそうであったように、90年代後半からは小林紀晴さんの著作が、デイパッカーをはじめとする若い旅行者のバイブルと言われるようになっていたのは記憶に新しいところです。
 こちらは1961年生まれ。年代的には20代で藤原新也さんや沢木耕太郎さんを読んだ世代にあたります。藤原さんの「FOCUS」でのお仕事などはまさにリアルタイムで拝見し、衝撃も受けたはずなのですが、私としてはもう決して若いとは言えない年齢になってから接した小林さんの作品の方から深い印象を与えられてきました。
 その印象を一言で表すとすれば「静謐」でしょうか。実際には暑さと湿気と喧噪とに満ちているはずの場所で、海千山千一癖もふた癖もある人たちが写っているはずなのに、そこからは「静かさ」と「優しさ」が伝わってきます。人はこれでいいんだ、あなたはそれでいいんだと肩を抱かれたような気がします。それでいて一本筋が通っていて、明日には何かあるはずだ、自分には何かできるはずだと背中を押されたような思いがします。何かを告発するわけでも声高に主張するわけでもないのに、一枚一枚が記憶に残ります。
 その静かなそして凛としたたたずまいは、世界と人にと対する深い敬意からのものであるように思います。世界が世界としてそこに存在していること、人が人としてそこに生きていること、そのことに対する根元的な承認と祝福とが、一枚一枚の写真に刻まれているように思えるのです。それはアジアから始まって、東京、沖縄、ニューヨークを経て諏訪に至るまで、そして現在の、2011年3月11に被災地で生まれた子どもたちと家族のポートレイトのプロジェクト「ハッピーバースデイ 3.11~あの日、被災地で生まれた11人の子どもたちと家族の物語~
http://www.fujifilm.co.jp/photosalon/tokyo/minigallery/11101403.html 
http://www.asahicamera.net/info/blog/detail.php?idx=258 
に至るまで一貫して変わりません。
 今回は、数多くの作品の中から、特にアジアのものを中心にお持ちいただき、撮影時のエピソードなども交えながらプリントを拝見することにいたしました。書籍や雑誌では何度も拝見しながら、なかなか直接プリントを目にする機会のない小林紀晴さんのオリジナルプリントを目にそして手にするまたとない機会かと思います。足をお運びいただければ幸いです。

◆小林紀晴
1968年長野県に生まれ。東京工芸大学短期大学部写真科卒業。
新聞社カメラマンを経て、1991年よりフリーランスフォトグラファーとして独立。
1997年に「ASIAN JAPANES」でデビュー。1997年「DAYS ASIA」で日本写真協会新人賞受賞。
2000年12月 2002年1月、ニューヨーク滞在。
現在、雑誌、広告、TVCF、小説執筆などボーダレスに活動中。
写真集に、「homeland」、「Days New york」、「SUWA」、「はなはねに」などがある。他に、「ASIA ROAD」、「写真学生」、「父の感触」、「十七歳」など著書多数。

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから