「特別セール/靉嘔・瑛九・オノサトとデモクラートの作家たち」
昨日は雨の中、特別セールにお運びいただきありがとうございます。
一番乗りは栃木県のIさん、続いて岩手県のUさんでした。
最終日の今日も天気はよくないようですが、19時まで開廊していますのでぜひおでかけください。

オノサト・トシノブの初期シルクスクリーンを6点出品しましたが、おかげさまで全部売れました。
水彩や油彩もありますので、ぜひコレクションしてください。
◆版画が全点売れてしまったので、オノサト・トシノブの初期リトグラフの名作2点を追加出品します。

番外2)オノサト・トシノブ
「64-B」
1964年 リトグラフ
17.0x25.0cm Ed.120
Signed

番外3)オノサト・トシノブ
「64-A」
1964年 リトグラフ
15.0x25.0cm
Ed.120 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆靉嘔先生の「Crashed Rainbow」について、「いったいどういう作品なのか」というご質問がありましたので、簡単にご説明します。
文字通り、靉嘔先生が名手・岡部徳三さんが刷り上げた作品を、手で握ってぐしゃりとつぶした作品です。
ですから500部が一枚一枚異なります。潰された虹の版画をそのまま箱型のケースにおさめたのが下の写真です。

12)靉嘔
「クラッシュドレインボー」
1983年 シルクスクリーン
26.0x20.0x2.0cm
Ed.500 Signed
そもそもこの作品は「ジョナス・メカス映画美術館建設賛助計画 オリジナル版画入りカタログ」のために制作していただいたものです。
レゾネ(阿部出版、495番)には、限定1000部(版元:現代版画センター)と記載されていますが、正しくは500部です。亭主が版元としてエディションし、そのときのジョナス・メカス展実行委員会発行のカタログにも500部と記載されていますので、間違いありません。
靉嘔先生が版画を握ってぐしゃりと潰す、それを社長が受け取り丁寧に延ばす、その繰り返しを500回。延ばした作品をカタログに挿入した(挟み込んだ)わけです。
それを知らないで後に買ったお客様が「なんだ、これは折れているではないか」とお怒りになるのはもっともなわけですが、もともと「潰された虹」の作品なのです。
こういう「冒険」ができたのは「ジョナス・メカス映画美術館建設賛助計画」の寄付金集めが目的のエディションだったからです。
先日開催したジョナス・メカス写真展の折にもご説明しましたが、1983年にジョナス・メカスさんを初めて日本にお招きし、原美術館で「アメリカ現代版画と写真展ージョナス・メカスと26人の仲間たち」を開きました。
その経緯については、当時、亭主が発行していた現代版画センター機関誌から引用してみましょう。
今から30年近く前の文章で気恥ずかしいのですが、靉嘔先生の制作経緯を知る上の資料と思ってお読みください。
以下『PRINT COMMUNICATION 版画センターニュース』No.99(1983年12月1日発行)より引用
----------------------------------------
アメリカ現代版画と写真展
―ジョナス・メカスと26人の仲間たち
東京・原美術館でジョナス・メカスを迎え12月2日より開催!
我が国実験映画界にも多大な影響を与え続ける巨匠ジョナス・メカス、いま彼はその実験映画の殿堂ともいうべき映画美術館建設のために、26人の芸術家の協力を得、大規模な展覧会を私たちにプレゼントしてきた。文字通りジャンルを超えての気宇壮大な企画、多くの方々にその夢の一端を担って頂きたい。
戦後30数年経って、やっと我が国でも美術館の幅というものが出て来つつあるようだ。例えばこれまでの日本画や近代洋画一辺倒の神話が、ほんの少しずつではあるが、写真やらマンガという所謂サブ・カルチャーにも道を譲り出す、そんな気配が各地に出つつある。勿論、なんでもコレクションすればいいというものではないが、その二次利用、三次利用ということを考えれば、まずはやはりコレクションしないことには話しにならない。特に戦後のマス・メディアの異常かつ急速な発達は、メディア自身の自己点検も許さぬくらいにめまぐるしいからなおさらだろう。
さて、ジョナス・メカスという人をご存じだろうか。1960年代、全世界で湧き上った実験映画の巨匠といえば名前くらいはお聞きになった方も多い筈だ。あるいはアンディ・ウォーホルとのからみでご存知の方もいるだろう。そのジョナス・メカス氏、現在、前衛映画・実験映画の美術館づくりに全精力を傾けている。ここで皆さんにご紹介する原美術館での「アメリカ現代版画と写真展」は、そのメカス氏の奔走する美術館造りの援助の一環として企画されたものだ。この美術館、前衛映画の保存、上映、研究、あるいは制作の援助を目的とする世界でも例を見ない画期的なものなのだが、実は1970年度に「ANTHOLOGY FILM ARCHIVES」という組織のもとに出発した。ところがその後、当初
予定の国家からの援助が期待できなくなるという危機に陥ってしまった。そこで登場したのが彼を取巻く多くのアーティストたちで、自ら作品を提供し、その売り上げを建設資金に、という文字通りの草の根的な運動に発展、その日本での公開が今回の原美術館での企画となったという次第である。作品を提供した芸術家は後段で見る通りのスーパースターばかり、作品の質もかなりのもので、26人の芸術家たちのこの企画にかける意気込みというものがどういうものか、どなたも作品を見ればよく了解されることだろう。
さてこの「アメリカ現代版画と写真展―ジョナス・メカスと26人の仲間たち―」、我が国では谷川俊太郎、磯崎新、松本俊夫、山口勝弘、かわなかのぶひろの五氏を呼びかけ人として「ジョナス・メカス展実行委員会」を組織し、原美術館を皮切りに各地を巡回する予定だが、現代版画センターも、RYU、イメージフォーラムとともに全面的にバック・アップすることになった。そこで、展覧会の案内と共に、後段の「ジョナス・メカス基金」への参加・協力を皆さんにお願いしたい。彼の国の美術館とはいえ、アートの新しい地平を切り拓くこの壮大な夢の実現に、現代に生きる同時代人として、一人でも多くの人の参加を願いたい。
▼アメリカ現代版画と写真展―ジョナス・メカスと26人の仲間たち
▼(1983年)12月2日(金)~25日(日)
12月1日午後5時~7時にオープニングパーティを開催
▼原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
▼出品作品/版画13点・写真13点・ジョナス・メカス版画7点 他にメカスの映画「リトアニアへの旅の追憶」を毎日上映
▼シンポジウム「映像と詩」を12月10日(土)午後3時より開催 パネラー・飯田善国、正津勉、佐々木幹郎、他 会費/一般は千円、学生は七百円
▼なお、オープニング・パーティ、シンポジウム、ともにメカス氏本人が出席。
「アメリカ現代版画と写真展」カタログは、現代版画センターの手により制作される。
メカス氏の他に、AY-O、大沢昌助両氏、計3点のオリジナルシルクが挿入される。執筆はメカス、山口勝弘、鈴木志郎康の三氏というちょっと豪華版、ご期待下さい。
出品作家:版画
A.ウォーホル
カール・アンドレ
J.ローゼンクイスト
C.オルデンバーグ
R.セラ
アニス・ニール
J.ボイス
R.バラニック
R.エイブラム
ハリー・スミス
R.ラウシェンバーグ
W.ウェグマン
M.スティーブンス
出品作家:写真
W.ヴァン・ダイク
オリヴィア・パーカー
スティーブン・ショア
A.シスキンド
J.マイエロヴィッツ
L.グリーンフィールド
エレイン・メイズ
H.フランプトン
ピーター・ビアード
ラルフ・スタイナー
マイケル・スノウ
ヘレン・レヴィット
R.バークハート
--------------------------------------------
ピーター・ビアードはじめ錚々たる写真家の作品をメカスさんから託されたのですが、当時の亭主はとんと写真には疎く、その価値も正直言ってわからなかった。
いまさらながら上掲のリストの豪華さに驚く次第です。
ともあれ、フルクサスに参加した靉嘔先生が旧友メカスさんのためにと一肌脱いでくださったのが「Crashed Rainbow」です。
東京都現代美術館で開催中の大回顧展「靉嘔 再び虹のかなたに」にも出品されています(~5月6日まで)。
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昨日は雨の中、特別セールにお運びいただきありがとうございます。
一番乗りは栃木県のIさん、続いて岩手県のUさんでした。
最終日の今日も天気はよくないようですが、19時まで開廊していますのでぜひおでかけください。

オノサト・トシノブの初期シルクスクリーンを6点出品しましたが、おかげさまで全部売れました。
水彩や油彩もありますので、ぜひコレクションしてください。
◆版画が全点売れてしまったので、オノサト・トシノブの初期リトグラフの名作2点を追加出品します。

番外2)オノサト・トシノブ
「64-B」
1964年 リトグラフ
17.0x25.0cm Ed.120
Signed

番外3)オノサト・トシノブ
「64-A」
1964年 リトグラフ
15.0x25.0cm
Ed.120 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆靉嘔先生の「Crashed Rainbow」について、「いったいどういう作品なのか」というご質問がありましたので、簡単にご説明します。
文字通り、靉嘔先生が名手・岡部徳三さんが刷り上げた作品を、手で握ってぐしゃりとつぶした作品です。
ですから500部が一枚一枚異なります。潰された虹の版画をそのまま箱型のケースにおさめたのが下の写真です。

12)靉嘔
「クラッシュドレインボー」
1983年 シルクスクリーン
26.0x20.0x2.0cm
Ed.500 Signed
そもそもこの作品は「ジョナス・メカス映画美術館建設賛助計画 オリジナル版画入りカタログ」のために制作していただいたものです。
レゾネ(阿部出版、495番)には、限定1000部(版元:現代版画センター)と記載されていますが、正しくは500部です。亭主が版元としてエディションし、そのときのジョナス・メカス展実行委員会発行のカタログにも500部と記載されていますので、間違いありません。
靉嘔先生が版画を握ってぐしゃりと潰す、それを社長が受け取り丁寧に延ばす、その繰り返しを500回。延ばした作品をカタログに挿入した(挟み込んだ)わけです。
それを知らないで後に買ったお客様が「なんだ、これは折れているではないか」とお怒りになるのはもっともなわけですが、もともと「潰された虹」の作品なのです。
こういう「冒険」ができたのは「ジョナス・メカス映画美術館建設賛助計画」の寄付金集めが目的のエディションだったからです。
先日開催したジョナス・メカス写真展の折にもご説明しましたが、1983年にジョナス・メカスさんを初めて日本にお招きし、原美術館で「アメリカ現代版画と写真展ージョナス・メカスと26人の仲間たち」を開きました。
その経緯については、当時、亭主が発行していた現代版画センター機関誌から引用してみましょう。
今から30年近く前の文章で気恥ずかしいのですが、靉嘔先生の制作経緯を知る上の資料と思ってお読みください。
以下『PRINT COMMUNICATION 版画センターニュース』No.99(1983年12月1日発行)より引用
----------------------------------------
アメリカ現代版画と写真展
―ジョナス・メカスと26人の仲間たち
東京・原美術館でジョナス・メカスを迎え12月2日より開催!
我が国実験映画界にも多大な影響を与え続ける巨匠ジョナス・メカス、いま彼はその実験映画の殿堂ともいうべき映画美術館建設のために、26人の芸術家の協力を得、大規模な展覧会を私たちにプレゼントしてきた。文字通りジャンルを超えての気宇壮大な企画、多くの方々にその夢の一端を担って頂きたい。
戦後30数年経って、やっと我が国でも美術館の幅というものが出て来つつあるようだ。例えばこれまでの日本画や近代洋画一辺倒の神話が、ほんの少しずつではあるが、写真やらマンガという所謂サブ・カルチャーにも道を譲り出す、そんな気配が各地に出つつある。勿論、なんでもコレクションすればいいというものではないが、その二次利用、三次利用ということを考えれば、まずはやはりコレクションしないことには話しにならない。特に戦後のマス・メディアの異常かつ急速な発達は、メディア自身の自己点検も許さぬくらいにめまぐるしいからなおさらだろう。
さて、ジョナス・メカスという人をご存じだろうか。1960年代、全世界で湧き上った実験映画の巨匠といえば名前くらいはお聞きになった方も多い筈だ。あるいはアンディ・ウォーホルとのからみでご存知の方もいるだろう。そのジョナス・メカス氏、現在、前衛映画・実験映画の美術館づくりに全精力を傾けている。ここで皆さんにご紹介する原美術館での「アメリカ現代版画と写真展」は、そのメカス氏の奔走する美術館造りの援助の一環として企画されたものだ。この美術館、前衛映画の保存、上映、研究、あるいは制作の援助を目的とする世界でも例を見ない画期的なものなのだが、実は1970年度に「ANTHOLOGY FILM ARCHIVES」という組織のもとに出発した。ところがその後、当初
予定の国家からの援助が期待できなくなるという危機に陥ってしまった。そこで登場したのが彼を取巻く多くのアーティストたちで、自ら作品を提供し、その売り上げを建設資金に、という文字通りの草の根的な運動に発展、その日本での公開が今回の原美術館での企画となったという次第である。作品を提供した芸術家は後段で見る通りのスーパースターばかり、作品の質もかなりのもので、26人の芸術家たちのこの企画にかける意気込みというものがどういうものか、どなたも作品を見ればよく了解されることだろう。
さてこの「アメリカ現代版画と写真展―ジョナス・メカスと26人の仲間たち―」、我が国では谷川俊太郎、磯崎新、松本俊夫、山口勝弘、かわなかのぶひろの五氏を呼びかけ人として「ジョナス・メカス展実行委員会」を組織し、原美術館を皮切りに各地を巡回する予定だが、現代版画センターも、RYU、イメージフォーラムとともに全面的にバック・アップすることになった。そこで、展覧会の案内と共に、後段の「ジョナス・メカス基金」への参加・協力を皆さんにお願いしたい。彼の国の美術館とはいえ、アートの新しい地平を切り拓くこの壮大な夢の実現に、現代に生きる同時代人として、一人でも多くの人の参加を願いたい。
▼アメリカ現代版画と写真展―ジョナス・メカスと26人の仲間たち
▼(1983年)12月2日(金)~25日(日)
12月1日午後5時~7時にオープニングパーティを開催
▼原美術館
東京都品川区北品川4-7-25
▼出品作品/版画13点・写真13点・ジョナス・メカス版画7点 他にメカスの映画「リトアニアへの旅の追憶」を毎日上映
▼シンポジウム「映像と詩」を12月10日(土)午後3時より開催 パネラー・飯田善国、正津勉、佐々木幹郎、他 会費/一般は千円、学生は七百円
▼なお、オープニング・パーティ、シンポジウム、ともにメカス氏本人が出席。
「アメリカ現代版画と写真展」カタログは、現代版画センターの手により制作される。
メカス氏の他に、AY-O、大沢昌助両氏、計3点のオリジナルシルクが挿入される。執筆はメカス、山口勝弘、鈴木志郎康の三氏というちょっと豪華版、ご期待下さい。
出品作家:版画
A.ウォーホル
カール・アンドレ
J.ローゼンクイスト
C.オルデンバーグ
R.セラ
アニス・ニール
J.ボイス
R.バラニック
R.エイブラム
ハリー・スミス
R.ラウシェンバーグ
W.ウェグマン
M.スティーブンス
出品作家:写真
W.ヴァン・ダイク
オリヴィア・パーカー
スティーブン・ショア
A.シスキンド
J.マイエロヴィッツ
L.グリーンフィールド
エレイン・メイズ
H.フランプトン
ピーター・ビアード
ラルフ・スタイナー
マイケル・スノウ
ヘレン・レヴィット
R.バークハート
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ピーター・ビアードはじめ錚々たる写真家の作品をメカスさんから託されたのですが、当時の亭主はとんと写真には疎く、その価値も正直言ってわからなかった。
いまさらながら上掲のリストの豪華さに驚く次第です。
ともあれ、フルクサスに参加した靉嘔先生が旧友メカスさんのためにと一肌脱いでくださったのが「Crashed Rainbow」です。
東京都現代美術館で開催中の大回顧展「靉嘔 再び虹のかなたに」にも出品されています(~5月6日まで)。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
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