大坂寛写真展―唖月色の森[あずきいろのもり](maroon)」は本日が最終日です。
大坂寛展案内状画像600
双子の姉妹の姿を自然に託し、そこに宿る気配を写し撮った新作シリーズの発表で、銀塩印画紙に硫化調色を施したプリントのしっとりとした美しさをご覧いただいています。
大坂先生は午後15時頃から在廊予定です。
今回の作品については、飯沢耕太郎のエッセイ/「唖月色の森(maroon)」--大坂寛の新作の行方/をお読み下さい。


昨日このブログで掲載した植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ第29回~ジャクソン・ポロック展」はいかがでしたでしょうか。
いつもより長文の力作で、長年建築家の盛衰を見てきた植田さんならではの視点が鮮やかです。

<ポロックはその生の始まりから死までがあまりにも劇的であったために、彼の作品について考える前に、ひとりの生涯にきりもみ状に呑みこまれてしまい、作品は閃光の如き短い時間の出来事のように思いこんでしまいそうになる。その絶頂期(図録では1947-50年の4年間)は、あとに苦悩の晩期が控えているためにとくに一瞬の輝きとも見えてしまうのだが、それらの作品1点1点を仕上げるのにどれほどの精神的集中と身体的消耗をもって贖ったか想像もつかない。その4年間は100年間に相当するにちがいない。>
--------------------------------------------------------

話変わって先日Wさんからメールをいただきました。
埼玉県の博物館や図書館の館長を歴任されているWさんは山歩きや音楽のお好きな方ですが(亭主の毎夏のマンドリンの演奏会にもつきあってくださる)、ご自分のホームページ<山を歩いて美術館へ>を持っていて、これが凄い。
中でも<今日は遠くの図書館>が図書館好きの亭主としてはたまりません。
例えば、「図書館ベスト3」という項目を見ると、
http://cms.blog.livedoor.com/cms/article/preview?blog_id=488951
(---------内が引用)
-----------------------------------------
このところ集中的に未知の図書館を見てきた。
まだ限られた数だけれど、どこがよかったろうと振り返ってみた。
博物館なら、ただ1つあげるとすればパリの国立自然史博物館を迷わずにあげる。でも図書館では「この図書館こそ!」というのにはまだ出会っていない。
国会図書館と町の図書館を同列に比較してもしかたがないし、いくつか項目をたててベスト3を考えてみた。
(ベスト3とはいいながら、5つもあったり、2つしかなかったりする...)

■ 驚いた図書館
1 ニュ-ヨ-ク公共図書館
1週間ほどいてニューヨークをうろついていたある日、図書館にも行ってみようと軽い気持ちで寄ってみると、目の前に素晴らしい閲覧室が広がった。(あとでその閲覧室にはRose Roomという名があることを知った。)
クラシックな意匠の大きな部屋に、ずらっと机が並ぶ。机ごとの照明スタンドがつくるリズム感も心地よい。
巨大なのに、精神的な深みもたたえている。
図書館がこんなにも美しいことがあるのか!
まだこの図書館の存在の大きさを知らなかった頃のことで、知識も先入観もなしに入ったから余計に衝撃的だった。

2 茨城県立図書館
もと県議会の議事堂をリノベーションした。
階段状の議場が閲覧室になっている!!
本当にこんなものがあるのかと、目の前に見ていても、目を疑うくらい。
茨城県の議員の?図書館員の?大胆さに脱帽。
僕はかねて「空港を図書館に」という構想(妄想)をもっている。
経営不良の地方空港は、赤字を重ねるより図書館のほうがいい。
議事堂が図書館になるくらいだから、現実性がないともいえないだろう。

3 仙台メディアテーク
柱らしい柱がない。部屋を隅まで行くと、スッとガラスの壁面がさえぎるだけで、宙に浮いたふう。
ポンピドーセンターに匹敵するような図書館が、ポンピドーとは違う形で日本にもできたかという感慨があった。
(ポンピドーセンターも、建物全面にとびだしたエスカレータを上がりながら、おおおお!という感じがあった。)
-----------------------------------------

というようなコメント付のベスト3がいろいろあげてある。
■ 精神の図書館
■ 驚いた図書館
■ 資料に驚いた図書館
■ 円形図書館の快楽
■ 近くにあるといい図書館
■ コーヒーがおいしかった図書館
どうです、行ってみたいと思いませんか。
網羅されている図書館は北海道から九州まではもちろん、大連、アレキサンドリアなど海外の図書館までよくもこれだけ歩いたかと思うほど。

以下(---------内が引用)は、Wさんからのメールです。
-----------------------------------------
井上房一郎と山本鼎の出会いの地の軽井沢の別荘がしばらく気にかかっていましたが、このところいくつかわかってきたので、現段階で整理してまとめてみました。
「井上房一郎と山本鼎の出会い -軽井沢・星野温泉の別荘-」
http://www.ma-museum.com/109/index.html
http://www.ma-museum.com/109/hoshino-besso.pdf
山本鼎が使った別荘を、その後、内村鑑三とか、荒井寛方とか、南薫造とかが使ったというので、わかりかけてきたら次々に広がっていくので驚きました。
-----------------------------------------

驚いたのはこっちで、わが恩人・井上房一郎さんのことをこれほど克明においかけてくださる方がいらっしゃるなんて、群馬県人としては感謝にたえません。
このブログでも昨年刊行された熊倉浩靖著『井上房一郎・人と功績』を3回にわたり紹介しました(第一回二回三回)。

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから