新人スタッフのアートフェア挑戦記 第一回

先月でようやっと入社半年を迎えました、新人の新澤悠(しんざわゆう)です。
既にART KYOTO 2012と、五味彬先生のギャラリートークに関する記事でお目汚しをしている自分ですが、今週末に韓国、釜山にて開催されるホテルアートフェア、Busan Alternative Market of Art 2012(BAMA2012)に単身参加し、その様子をレポートするよう言い付けられました。まさかこの年齢(33)で「はじめてのおつかい」をする羽目になるとは……

今回の記事では私の自己紹介と、BAMA2012について説明させていただきます。

まずは自己紹介ですが、自分は皆様が呼ぶところの帰国子女、というヤツです。日本にいたのは9歳までで、海外に出た後は親の希望で日本人が通っていない学校に通い、中学以降は親はフランスで自分はイギリスの寮学校に入ったので、長期休暇以外ではコミュニケーションは全て英語という環境で育ちました。おかげで英語は不自由なく喋れると自負しているのですが、反面日本語は小学三年生までしか習っておらず、以後の教科書は漫画と小説という体たらくです。よって、自分のレポートは何かと大仰な言い回しやらが目立つかと思いますが、どうかご容赦ください。

社会人となってからは主にウェブデザインを仕事にしてきた自分ですが、去年末にそれまで勤めていた会社を辞め、自分の強みである英語力を活かせる仕事がないかと思っていた矢先に、デザイナー系の求人サイトでみつけたのが、ときの忘れものでした。ウェブサイトの作成、海外顧客の対応に展示会の設営補助。美術品関係ではありませんが、どれも経験したことがある業務とあって飛びついたら、トントン拍子に雇用が決まり、以前の就職活動で悪戦苦闘した身としては「え、こんな簡単でいいの?」という気持ちでした。後日聞いた所、合格の決め手は、面接した中で自分だけが質問したから、と言われて少々複雑でしたが。

自分のことはこのくらいにしておいて、4月末にあったART KYOTO 2012について少し。
アートフェアは初参加だったために右も左も全く分からず、アレを運んでコレを詰めて、と率直に言ってアルバイト以上のことが出来た気はしなかったのですが、場の雰囲気を知る、という意味では非常に有効でした。嗜好品であること、また高額品であることから、もっと粛々としたものを想像していたのですが、始まってみれば活気のあるイベントで、これが今年だけでも後4回(釜山、大阪、名古屋、ソウル)あると考えると、楽しみやら恐ろしいやらです。

続いてその4回の内の一つ、Busan Alternative Market of Art 2012、BAMA2012について紹介させていただきます。

近年海洋観光と東北アジアロジスティクスの中継点として栄える釜山。日々開発が進むこの地で、アジアのアートフェアにおけるニュースタンダードとなるべく企画されたのがBAMA2012です。第一回のテーマは「出会いと出発」。世界的不況の例に洩れず、美術業界も厳しい状況が続く中、お互いに知り合い、助け合うための出発点となりたいとの願いを込めてあるそうです。

会場は2007年5月にオープンしたセンタムホテル。地上21階・地下3階のレジデンス式ホテルの客室で、すぐ近くに展示会場や大型デパート、地下鉄駅、エアポートバスの停留所があり、釜山でも有名なホテルのようです。

会期は6月7日の17時にオープニングがあり、翌日8日の11時から10日の20時まで開催されます。
ときの忘れものが出品するのは安藤忠雄先生、小野隆生先生、草間彌生先生に菅井汲先生の作品計20点です。

参加する76画廊の大半は韓国ですが、日本からもときの忘れものを含めて5つのギャラリーが参加しており、1軒だけですがドイツからの参加もあります。

立派です。大変立派です。立派なんですが……現実は控えめに言って微妙です。なんせ公式ホームページが一ヶ月前までオープンしませんでしたし、オープンしても韓国語ページしかない。英語ページはリンクこそあるものの、リンク先はないという、かなり片手落ちな状態になっています。招待状についても、質問したら「いるなら送りますよ?」との返信が。これは向こうの対応を責めるべきか、日本の至れり尽くせりぶりに慣れきった自分を責めるべきなのか……先に書きましたが今回のイベント、実働は自分一人のみ。色々な意味で今からドキドキが止まりません。
(しんざわゆう)

*画廊亭主敬白
このところ懇意なお客様から聞かれることはただ一つ。
「尾立さんがいなくなって、大丈夫なの?」
2005年6月に入社、以来無遅刻無欠勤だった尾立が明日から産休に入ります。
本人は直ぐにでも復帰したいようですが・・・・・・
半年か一年か、大番頭不在に備え、それをカバーする人材を探して昨年から今年にかけて大騒ぎでした。
ようやく新澤悠と李秀香という二人の新人が入社し、韓国語(ハングル)、英語、フランス語に即応できる体制になりました。
可愛い子には旅をさせろといいますから、新人の新澤悠に単身出張を命じました。
釜山のアートフェアには当初出展の予定はなかったのですが、このところ韓国づいている強力助っ人・浜田さんの「一点も売れなくても、そう経費はかからないし(ブース代はじめ、飛行機代は京都往復の新幹線より安いし、手持ちでいけば輸送費もゼロ)、新人にはいい経験になるんじゃあないですか」という無責任な助言で、急遽決まった次第です。
釜山からの発信を含め、5回ほど連載します。
釜山にご旅行なさる方、ぜひお立ち寄りください。

■韓国釜山「Busan Alternative Market of Art」
2012年6月7日(木)ー6月10日(日)
公式ホームページ:http://www.bama.or.kr/
参加画廊数:76

安藤忠雄「光の教会」600
安藤忠雄
光の教会
1998年  シルクスクリーン
イメージサイズ:28.6×75.2cm
シートサイズ:60.0×90.0cm
A版(和紙):Ed.10
B版(洋紙):Ed.35
サインあり

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