「恋する版画展」
会期=2012年8月23日(木)~10月30日(火)
会場=須坂版画美術館
昨日は都会の中のオアシスのごとき小規模美術館のご紹介をしましたが、本日は遥か離れた信州須坂の、それも思いっきり便の悪い(最寄の駅からはタクシーしかない)美術館で開催されている版画展の紹介です。
小さくても、遠くても、予算もなくても頑張っている美術館は応援したい。


展覧会のタイトルというのはなかなか難しいもので、ときの忘れものでもいつもスタッフたちが四苦八苦しています。
この須坂版画美術館の「恋する版画展」なんて、考えた学芸員たちの思案顔が浮かびますね。
同館HPによれば、
<2011年9月、「恋人の聖地」須坂アートパークに、リングの影がハートの形を結ぶデザインのモニュメントができました。モニュメント設置1周年となる2012年秋、ハートの影がもっともきれいに見える秋分の日にあわせ、「恋人たち」や「家族」にちなんだ版画作品を特集する展覧会を開催>とのことですが、どうやら瑛九の銅版画も出品されているらしい。
常々亭主は「瑛九ほど学芸員に愛されている作家はいない。それが証拠に亡くなった1960年から毎年必ずどこかの美術館で瑛九の回顧展や関連展が開かれている」と言ってきました。
昨年は生誕100年記念で宮崎、埼玉、浦和の各美術館で大規模な回顧展が開催されたばかりですが、今年も例外にはならなかった。めでたい!
早速、同美術館に電話して出品リストをファックスしてもらいました。
直ぐに対応してくれるのも気持ちいいですね。いつぞや某公立美術館が出品リストも作らずに企画展を開催し、亭主はいたく腹をたてたことがあります(大人げないねえ)。
同館所蔵の瑛九の銅版画(作家自刷り)2点が出品されているようです。
◆出品リストより
マルク・シャガール 版画集『ダフニスとクロエ』 より 1957年-60年(1961年刊行) 群馬県立近代美術館所蔵
ヘンリー・ムア 『母子』より 1983年刊行 高崎市美術館所蔵
アンディ・ウォーホル 《マリリン・モンロー》 1967年 高崎市美術館所蔵
ロバート・インディアナ 《ア・ガーデン・オブ・ラブ》 1982年 高崎市美術館所蔵
靉嘔 《レインボー・キス》 1968年 高崎市美術館所蔵
靉嘔 《Rainbow》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Kisses》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Hearts》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Trees》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
池田満寿夫 《海のスカート》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《ロマンチックな風景》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《花園にて》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《シンデレラの広告》 1966年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《ファッション》 1969年 高崎市美術館所蔵
瑛九 《街角》 1953年 須坂版画美術館所蔵
瑛九 《せまい道(1)》 1952年 須坂版画美術館所蔵

瑛九「街角」
1953年
エッチング
18.1x23.4cm サインあり
*須坂版画美術館所蔵
お近くの方、ご旅行で信州を回られる方、どうぞご覧ください。
同美術館はtwitterでも発信しています。
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同展のメインはマルク・シャガールのようなので、ついでにといってはなんですが、ときの忘れもののコレクションからも一点シャガールの銅版画をご紹介しましょう。

マルク・シャガール
「DE MAUVAIS SUJETS(悪童たち)」よりNo.9
1958年 カラー銅版
37.1×27.2cm
Ed.112
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
今はほとんど扱うこともありませんが、亭主は20数年前になりますが、フランス人経営の会社に一時ご厄介になっておりまして、その時期シャガール漬けになっていたことがあります。
ちょうどシャガール生誕100年にあたり、フランス人のボスは母国の人脈を生かしてシャガール関係のライセンスを獲得し、日本での展開を亭主に担当させたのでした。
1989年前後に担当し実現したシャガール企画は以下のようなものでした。
1)シャガールのリトグラフ・レゾネの出版
アンドレ・ソーレから出ていたカタログ・レゾネの日本語版を中山公男先生に監修をお願いして講談社から全3巻で刊行。
2)1982年の「古代ペルシャ秘宝展」贋作問題で美術催事を自粛していた三越の坂倉芳明社長を口説いて「シャガール回顧展 生誕100年・版画のすべて」を日本橋本店で開催し、その後群馬県立近代美術館他、各地を巡回。
既にシャガールは亡くなっていましたが、ニースにバランティーナ夫人を訪ね、日本にお招きしました。
3)フランス・ニースの国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館での生誕100年記念展に協力、シャガールの誕生日7月7日に開催された記念レセプションにも出席しました。
とまあ、フランス語はおろか英語もできない身で日仏を何度も往来し、展覧会のためにシャガールの版画を世界中から集め、明けても暮れてもシャガールの毎日でした。
そんなわけで少々シャガールには詳しいのであります。
会期=2012年8月23日(木)~10月30日(火)
会場=須坂版画美術館
昨日は都会の中のオアシスのごとき小規模美術館のご紹介をしましたが、本日は遥か離れた信州須坂の、それも思いっきり便の悪い(最寄の駅からはタクシーしかない)美術館で開催されている版画展の紹介です。
小さくても、遠くても、予算もなくても頑張っている美術館は応援したい。


展覧会のタイトルというのはなかなか難しいもので、ときの忘れものでもいつもスタッフたちが四苦八苦しています。
この須坂版画美術館の「恋する版画展」なんて、考えた学芸員たちの思案顔が浮かびますね。
同館HPによれば、
<2011年9月、「恋人の聖地」須坂アートパークに、リングの影がハートの形を結ぶデザインのモニュメントができました。モニュメント設置1周年となる2012年秋、ハートの影がもっともきれいに見える秋分の日にあわせ、「恋人たち」や「家族」にちなんだ版画作品を特集する展覧会を開催>とのことですが、どうやら瑛九の銅版画も出品されているらしい。
常々亭主は「瑛九ほど学芸員に愛されている作家はいない。それが証拠に亡くなった1960年から毎年必ずどこかの美術館で瑛九の回顧展や関連展が開かれている」と言ってきました。
昨年は生誕100年記念で宮崎、埼玉、浦和の各美術館で大規模な回顧展が開催されたばかりですが、今年も例外にはならなかった。めでたい!
早速、同美術館に電話して出品リストをファックスしてもらいました。
直ぐに対応してくれるのも気持ちいいですね。いつぞや某公立美術館が出品リストも作らずに企画展を開催し、亭主はいたく腹をたてたことがあります(大人げないねえ)。
同館所蔵の瑛九の銅版画(作家自刷り)2点が出品されているようです。
◆出品リストより
マルク・シャガール 版画集『ダフニスとクロエ』 より 1957年-60年(1961年刊行) 群馬県立近代美術館所蔵
ヘンリー・ムア 『母子』より 1983年刊行 高崎市美術館所蔵
アンディ・ウォーホル 《マリリン・モンロー》 1967年 高崎市美術館所蔵
ロバート・インディアナ 《ア・ガーデン・オブ・ラブ》 1982年 高崎市美術館所蔵
靉嘔 《レインボー・キス》 1968年 高崎市美術館所蔵
靉嘔 《Rainbow》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Kisses》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Hearts》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
靉嘔 《Trees》 1976年 長野県信濃美術館所蔵
池田満寿夫 《海のスカート》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《ロマンチックな風景》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《花園にて》 1965年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《シンデレラの広告》 1966年 高崎市美術館所蔵
池田満寿夫 《ファッション》 1969年 高崎市美術館所蔵
瑛九 《街角》 1953年 須坂版画美術館所蔵
瑛九 《せまい道(1)》 1952年 須坂版画美術館所蔵

瑛九「街角」
1953年
エッチング
18.1x23.4cm サインあり
*須坂版画美術館所蔵
お近くの方、ご旅行で信州を回られる方、どうぞご覧ください。
同美術館はtwitterでも発信しています。
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同展のメインはマルク・シャガールのようなので、ついでにといってはなんですが、ときの忘れもののコレクションからも一点シャガールの銅版画をご紹介しましょう。

マルク・シャガール
「DE MAUVAIS SUJETS(悪童たち)」よりNo.9
1958年 カラー銅版
37.1×27.2cm
Ed.112
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
今はほとんど扱うこともありませんが、亭主は20数年前になりますが、フランス人経営の会社に一時ご厄介になっておりまして、その時期シャガール漬けになっていたことがあります。
ちょうどシャガール生誕100年にあたり、フランス人のボスは母国の人脈を生かしてシャガール関係のライセンスを獲得し、日本での展開を亭主に担当させたのでした。
1989年前後に担当し実現したシャガール企画は以下のようなものでした。
1)シャガールのリトグラフ・レゾネの出版
アンドレ・ソーレから出ていたカタログ・レゾネの日本語版を中山公男先生に監修をお願いして講談社から全3巻で刊行。
2)1982年の「古代ペルシャ秘宝展」贋作問題で美術催事を自粛していた三越の坂倉芳明社長を口説いて「シャガール回顧展 生誕100年・版画のすべて」を日本橋本店で開催し、その後群馬県立近代美術館他、各地を巡回。
既にシャガールは亡くなっていましたが、ニースにバランティーナ夫人を訪ね、日本にお招きしました。
3)フランス・ニースの国立マルク・シャガール聖書のメッセージ美術館での生誕100年記念展に協力、シャガールの誕生日7月7日に開催された記念レセプションにも出席しました。
とまあ、フランス語はおろか英語もできない身で日仏を何度も往来し、展覧会のためにシャガールの版画を世界中から集め、明けても暮れてもシャガールの毎日でした。
そんなわけで少々シャガールには詳しいのであります。
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