本日1月26日(土)、井桁裕子による舞踏家の肖像人形3点の特別展示「舞踏とひとがたの日」を一日だけ行ないます。

12時~19時まで、どなたでも入場できますが、15時~16時の舞踏パフォーマンスは予約制のため予約者の方以外はご入場できません(満席で受付は終了しました)。
舞踏パフォーマンス終了後は舞踏家3人(石川慶さん、吉本大輔さん、高橋理通子さん)を交えてささやかなパーティを催します。パーティは予約不要、どなたでも参加できますのでどうぞお出かけください。

わが瑛九と同い年、女性銅版画家のパイオニアである南桂子の銅版画をご紹介します。

一昨年に生誕100年を迎え巡回展が開かれるなど、近年再び注目を集めている南桂子。特に若い世代を中心に静かな人気が広がっています。
DSCF5558_600南桂子
《花》
1988年
エッチング
42.4×35.0cm
Ed.100
サインあり
※レゾネNo.227

172_600南桂子
《二本の木と鳥》
1988年
エッチング
34.3×28.3cm
Ed.100
サインあり
※レゾネNo.230

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南桂子は1911年現在の富山県高岡市に生まれ、高等女学校在学中から詩作や絵画制作を行います。戦後まもなく上京、壺井栄に師事して童話を学び、この頃通っていた森芳雄のアトリエで出会った版画家浜口陽三によって銅版画の世界にも目覚めていきます。
1954年日本に子供を残し、浜口を追いかけるかたちでパリに渡った南は、版画家フリードランデルの研究所で本格的に銅版画を学び、以後、活動の場を国際的に広げました。
ユニセフのカレンダーやグリーティングカードに採用されるなど、現在でも世界中の人々に愛されています。

40代に入ってから銅版画制作を始めて93歳で亡くなるまで、南は一貫して少女や鳥や樹木などを題材にした叙情的で繊細な世界を描き続けました。

彼女が描く詩情豊かな銅版画の世界は、穏やかでやさしい空気が流れる一方、時に哀愁と孤独といった雰囲気も湛えています。それは、彼女が自分の人生と引き換えに抱えることになった想いが線や色となって滲み出ているのかもしれません。

南桂子 Keiko MINAMI(1911-2004)
1911年富山県高岡市生まれ。1928年高岡の女学校卒業。 この頃から詩作と絵画に興味を持つ。1945年東京に移住し、小説家・佐多稲子の紹介で壷井栄に師事し童話を学ぶ。 1949年自由美術展に出品。以後1958年まで毎回出品。この頃油絵を習っていた森芳雄のアトリエで、後の夫となる 浜口陽三と出会い版画の面白さを知る。
1954年渡仏、銅版画指導者・フリードランデルの研究所で2年学ぶ。 1961年神奈川県立近代美術館で「フリードランデル・浜口陽三・南桂子版画展」開催。 1982年にパリからサンフランシスコに移り、1996年に帰国。
世界各地で個展を開くほか、本の挿画も数多く手掛けた。2004年、歿。