毎日通勤電車の中で文庫本を開く。
ここ一週間ほどは、田口久美子さんの『書店風雲録』と『書店繁盛記』を読みふけりました。
編集者や古書店のご主人の書いた本はゴマンとあるが、書店員さんの書いた本はそうはない。
70年代から今日まで、リブロ、ジュンク堂という日本の最も先鋭的な書店で働く人の視点から見た日本の文化史としてもとても面白い本でした。
本好きの亭主も最近はもっぱらアマゾンでしたが、この二冊を読んで、やっぱ「リアル書店」で本の背をみなきゃあと反省しきり。
そんなわけで出勤前に久しぶりに池袋のジュンク堂に寄りました。
いやあるある、美術書のコーナーをのぞいたら、いつの間にこんな本が出ていたの、という次第で手当たり次第カゴに入れてレジへ行ったのはいいのですが、お勘定はしめて4万ン千円!
カードだったからいいようなものの、社長が知ったら激怒するだろうなあ・・・

しかしあらためて「実物」を手にすることの大切さを痛感しました。
ネットばかりに頼っていると、ネットの網にかからない小さいけれど重要なものを見落としてしまいますね。

ときの忘れものもアマゾンにはくらぶべくもありませんが、ネットの売上げが大きくなる一方です。特に海外のお客様はほとんどがネット上の情報だけで大枚はたいてくださる。
ありがたいことですが、お客様の期待にそむかぬよう、「リアル」展示をきちんと積み重ねて行くことが大事だと肝に銘じています。

具体美術協会、実験工房、もの派、そしてわが瑛九とデモクラートの作家たち。
昨年あたりから上記の作家たちに関して、海外からの問合せが増えてきました。
1950~1970年代の日本の現代美術がなぜか海外のコレクターたちの蒐集欲をかりたてているようです。

今春3月に開催した「GUTAI 具体 Gコレクションより」には堀尾貞治作品を2点出品しました。
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右の2点が堀尾作品。
左は、上前智祐作品。

同時期に開催されたNYのグッゲンハイムの具体展のオープニングでは松谷武判先生と堀尾貞治先生によるファミリーワークショップも開催され、大きな注目を浴びました。
Family Tour and Workshop with Gutai Artists Matsutani Takesada and Horio Sadaharu


堀尾先生の1968年の具体時代の大作が入りましたので、ご紹介しましょう。
堀尾貞治
堀尾貞治 Sadaharu HORIO
《作品68・B》
1968年
布、板、アクリル
130.0×130.0×22.0cm
裏面にペンサインあり

堀尾作品


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堀尾貞治 Sadaharu HORIO
1939年神戸生まれ。
三菱重工に勤務する傍ら、美術活動を精力的に継続。1957年より芦屋市展に連続出品。1964年より京都アンデパンダンに連続出品。
1965年第15回具体美術展に出品、翌年会員となり、1972年の解散まで参加。
「あたりまえのこと」をテーマに、年間100回以上の展示・パフォーマンスを行なっている。

■Sadaharu HORIO 1939-(1939-)
Born in Kobe. Continued artist activity energetically while working at Mitsubishi Heavy Industries. Exhibited continuously at Ashiya City Museum of Art and History from 1957, and at Kyoto Independants from 1964. Exhibited work in the 15th Gutai Exhibition in 1965. Became a member of Gutai in 1966 and stayed until its dissolution in 1972. Studied under Jiro YOSHIHARA in 1968. With the theme “matter of course”, holds over 100 exhibitions and performances during a year.

表紙『具体 Gコレクションより』展図録
2013年 16ページ 25.6x18.1cm
執筆:石山修武 図版15点
略歴:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高崎元尚、鷲見康夫
価格:800円(税込)
※送料別途250円
※お申し込みはコチラから。