瑛九へ

瀧口修造

彼の魂は扉の向うとこちらにいる。
その居ずまいが存在理由
ふと差出された真昼の夢は
陰と陽の落し子。

彼の魂は扉の向うとこちらに佇む
その居ずまいが存在理由
まひるの夢のランプは
陰と陽との間で
  燃えつづける
  匿名の魂

「ノートから 1951」
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ときの忘れものは、10月26日[土]―11月2日[土]、第24回瑛九展ー瑛九を瀧口修造ーを開催します。
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1996年3月に「第1回瑛九展」を開いて以来、24回目となる本展では、瑛九の良き理解者であった瀧口修造(没後は瑛九の会の呼びかけ人となる)との関係にスポットをあてます。
瀧口は、美術評論家・詩人として知られますが、タケミヤ画廊で瑛九らの展覧会を企画し若い作家をサポートする一方、自らデカルコマニーなど作品を制作しました。
また1954年には久保貞次郎福島辰夫らによって瀧口修造の詩による版画集『スフィンクス』が刊行されました。
この詩画集には、瑛九はじめ、北川民次泉茂、加藤正、利根山光人、青原俊子(内間)が挿画を制作し、デザイン・レイアウトは山城隆一が担当しました。
本展では瑛九の油彩、水彩、フォトデッサン、コラージュ、版画とともに、瀧口修造のデカルコマニーや詩画集『スフィンクス』を展示いたします。
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瀧口修造 
デカルコマニー

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瀧口修造 
デカルコマニー

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瀧口修造 
デカルコマニー

瀧口修造は美術評論家として瑛九についてたびたび執筆しています。
年代順に紹介すると、

●「瑛九へ」『ノートから、1951』/』『コレクション 瀧口修造 4』所収

●「瑛九のエッチング」『美術手帖』No.74 1953年10月号 美術出版社

●「瑛九のフォート・デッサン」『瑛九 フォート・デッサン展』図録 1955年1月 日本橋・高島屋 

●「ひとつの軌跡 瑛九をいたむ」『美術手帖』1960年5月号

●「通りすぎるもの……」1966年4月 瑛九の会機関誌『眠りの理由』創刊号

●「『瑛九』を待ちながら」山田光春著『瑛九』内容見本 1976年6月 青龍洞

●「瑛九の訪れ」『現代美術の父 瑛九展』図録 1979年6月 小田急グランドギャラリー(瑛九展開催委員会主催)

本日のブログで紹介(再録)した「瑛九へ」を含むこれら7つのテキストを、ご遺族のご許可をいただいて、このブログで順次再録します。
土渕信彦のエッセイ~瀧口修造の箱舟」とあわせ、お読みください。

ときの忘れものでは、来春2014年1月から数回にわたり「瀧口修造展」の開催を計画しています。これについては後ほど詳しくご案内いたします。
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昨日、菅原一剛さんの個展が終了しました。
多忙を極める菅原さんは北海道に撮影に行っていたのですが、最終日に帰京、羽田から画廊に直行されました。居合わせたお客様にワインをふるまい(下戸のご本人はウーロン茶)、ささやかなクロージングとなりました。
作品をご購入いただいたお客様はじめご来廊下さった皆様に心より御礼申し上げます。