久保エディション第5回~久保卓治
久保貞次郎先生は、国内外の数多くの作品をコレクションするだけでなく、まだ版画を手がけていない作家には版画制作を勧め、駆け出しの作家からは気前よくまとめて買うことによって彼らを励ましました。
久保エディションについては、この連載第1回桂ゆきの項で詳しく述べましたが、久保先生が直接版元となってエディションしたもの、制作された版画を全部数まるごと(または大半を)買取ったものなど、久保先生の支援がなければ誕生しなかったであろう版画作品のことをここではいいます。
第2回は瀧口修造の詩による版画集『スフィンクス』を、第3回は吉田克朗を、第4回は殿敷侃を紹介しました。
今回は久保先生がその才能を高く評価したビュランの名手・久保卓治です。

久保卓治「On the street」
1991年 engraving
19.5×24.8cm
Ed.100 Singed
拡大画面
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久保卓治「Bascule bridge in Wapping」
1989年 engraving
39.4×24.5cm
Ed.100 Singed

久保卓治「Gun wharves and warehouse」
1992年 銅版(engraving
22.1×31.8cm
Ed.100 Singed

久保卓治「Wapping entrance」
1991年 engraving
19.5×30.0cm
Ed.100 Singed
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エングレーヴィング(ENGRAVING)は、銅版技法のひとつで、ビュラン(断面が正方形か菱形の刃をもつ彫刻刀)で直接彫りこむ直刻技法。
ビュランで版材を完全に刻り取ってしまうので、ドライポイントのようなまくれもエッチングのような腐蝕による線のくずれもない、冷たく硬質な線が最大の特徴である。
単純な技法ではあるが、抵抗の大きいビュランを自在に操り、髪の毛の数分の一の線からあらゆる太さの線までを彫刻するには相当の熟練を必要とする。
「3年ばかり前からパリの風景を描き始めた。ロンドンの建築物の煉瓦を基調にしたスクエアーなかたちと比べると、パリの建築物にはトライアングルなかたちが随所に配置されていて興味深い。パリの風景画といえば、シャルル・メリヨンのエッチングを思い浮かべるが、学生の頃から大好きでずっと僕を魅了し続けてきた。メリヨンが描いた当時の風景は、シャトル街のように130余年もほとんど変わらない所もあるが、それは例外で、多くの風景は失われたり、当時の面影もなくなってしまった。とはいえ、パリは魅力的な街であることは今も昔も変わらない。現代のパリをメリヨンとは違った技法で描いてみたい。」
久保卓治(「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
■久保卓治(くぼ たくじ)
1948年愛媛県生まれ
1971年多摩美術大学駒井哲郎教室にて銅版画を始める
1974年多摩美術大学油絵科卒業
1976年多摩美術大学美術研修科修了
銅版画集『オープン ユア マインド』刊行
1977年-1979年 ロンドン、モーリー・カレッジ美術科修了 素描 銅版画 製本技術を学ぶ
ロンドン、プリント・ワークショップにてビルギット ショールドのもとで銅版画を学ぶ
大英博物館 版画素描室にて古典銅版画を研究
1978年エングレーヴィング画集『ナチュレ モーテ』刊行
1981年ガレリア・グラフィカ(東京)で個展(以後各地で多数開催)
1985年1980日本の版画(栃木県立美術館)
1987年現代の版画1987(渋谷区立松濤美術館)
1988年エングレーヴィング画集『ナチュレ モーテ』刊行
1994年エングレーヴィング画集『エングレーヴド ロンドン』刊行
2007年 多摩美術大学にて銅版画、ソーラープレート版画を教える
2007年 上海大学美術学院にて銅版画を教える
久保貞次郎先生は、国内外の数多くの作品をコレクションするだけでなく、まだ版画を手がけていない作家には版画制作を勧め、駆け出しの作家からは気前よくまとめて買うことによって彼らを励ましました。
久保エディションについては、この連載第1回桂ゆきの項で詳しく述べましたが、久保先生が直接版元となってエディションしたもの、制作された版画を全部数まるごと(または大半を)買取ったものなど、久保先生の支援がなければ誕生しなかったであろう版画作品のことをここではいいます。
第2回は瀧口修造の詩による版画集『スフィンクス』を、第3回は吉田克朗を、第4回は殿敷侃を紹介しました。
今回は久保先生がその才能を高く評価したビュランの名手・久保卓治です。

久保卓治「On the street」
1991年 engraving
19.5×24.8cm
Ed.100 Singed
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久保卓治「Bascule bridge in Wapping」
1989年 engraving
39.4×24.5cm
Ed.100 Singed

久保卓治「Gun wharves and warehouse」
1992年 銅版(engraving
22.1×31.8cm
Ed.100 Singed

久保卓治「Wapping entrance」
1991年 engraving
19.5×30.0cm
Ed.100 Singed
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エングレーヴィング(ENGRAVING)は、銅版技法のひとつで、ビュラン(断面が正方形か菱形の刃をもつ彫刻刀)で直接彫りこむ直刻技法。
ビュランで版材を完全に刻り取ってしまうので、ドライポイントのようなまくれもエッチングのような腐蝕による線のくずれもない、冷たく硬質な線が最大の特徴である。
単純な技法ではあるが、抵抗の大きいビュランを自在に操り、髪の毛の数分の一の線からあらゆる太さの線までを彫刻するには相当の熟練を必要とする。
「3年ばかり前からパリの風景を描き始めた。ロンドンの建築物の煉瓦を基調にしたスクエアーなかたちと比べると、パリの建築物にはトライアングルなかたちが随所に配置されていて興味深い。パリの風景画といえば、シャルル・メリヨンのエッチングを思い浮かべるが、学生の頃から大好きでずっと僕を魅了し続けてきた。メリヨンが描いた当時の風景は、シャトル街のように130余年もほとんど変わらない所もあるが、それは例外で、多くの風景は失われたり、当時の面影もなくなってしまった。とはいえ、パリは魅力的な街であることは今も昔も変わらない。現代のパリをメリヨンとは違った技法で描いてみたい。」
久保卓治(「わたしのかたち」『版画年鑑1999』阿部出版より)
■久保卓治(くぼ たくじ)
1948年愛媛県生まれ
1971年多摩美術大学駒井哲郎教室にて銅版画を始める
1974年多摩美術大学油絵科卒業
1976年多摩美術大学美術研修科修了
銅版画集『オープン ユア マインド』刊行
1977年-1979年 ロンドン、モーリー・カレッジ美術科修了 素描 銅版画 製本技術を学ぶ
ロンドン、プリント・ワークショップにてビルギット ショールドのもとで銅版画を学ぶ
大英博物館 版画素描室にて古典銅版画を研究
1978年エングレーヴィング画集『ナチュレ モーテ』刊行
1981年ガレリア・グラフィカ(東京)で個展(以後各地で多数開催)
1985年1980日本の版画(栃木県立美術館)
1987年現代の版画1987(渋谷区立松濤美術館)
1988年エングレーヴィング画集『ナチュレ モーテ』刊行
1994年エングレーヴィング画集『エングレーヴド ロンドン』刊行
2007年 多摩美術大学にて銅版画、ソーラープレート版画を教える
2007年 上海大学美術学院にて銅版画を教える
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