朝出勤時に駅の売店で週刊誌を買う。
たまたま27日に買ったのは『週刊新潮』7月3日号。
ページを開くと特集<認知障害「浅利慶太」>の大文字が目に飛び込んできました。
浅利さんの写真にならび、おや見慣れた顔が。
画廊の常連の安倍寧さんで写真のキャプションには<親友に”引退勧告”>とありました。
詳しくは同誌をお読みいただくとして、その日、そのご本人がふらっと現れた。
いやそういう言い方は不正確で、亭主が興味のある新聞記事をいくつも持ってきてくださったのです。
20140627安倍寧さん深野さん来廊
左から亭主、安倍寧さん、深野一朗さん

安倍さんほど、紳士でおしゃれなお客はいません。
とても80歳過ぎとは思えない。
安倍さんのブログがまたとても面白い。
先日も、野地秩嘉著『ヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズがやって来た/伝説の呼び屋・永島達司の生涯』(幻冬舎、1999)から心にしみるエピソードを紹介されていました。
以下、<>が安倍さんのブログからの引用です。

<この本でいちばん感動的なのは、64年7月3日朝、全行程を終えたビートルズが、宿泊先、東京ヒルトンホテル(現 ザ・キャピトルホテル東急)の、全フロア借り切った10階から出発するときの光景である。

「彼等が部屋を出ようとした時、永島が『ひとつだけお願いがある』とブライアン・エプスタインの耳にささやいた。ブライアンはうなずき、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴに内容を告げる。
 永島はエレベーターまでずっとホテル通路の片側に、ビートルズのメンバーたちの世話をした協同企画の社員、読売新聞の関係者たちを並べ、ひとりひとりの名前を紹介することにしたのだった。」

 現場で苦労に苦労を重ねたスタッフたちへのなんという思い遣りだろうか。>


安倍さんのお人柄がうかがえるブログです。
ぜひご一読ください。

さて、話かわって、宇都宮の栃木県立美術館の「真岡発:瑛九と前衛画家たち展―久保貞次郎と宇佐美コレクションを中心に」(22日で終了)に合わせて、ときの忘れものでも「第25回 瑛九展 瑛九と久保貞次郎」を開催しました。
久保貞次郎先生には社長は18歳から亭主は28歳から薫陶を受けました。
大恩ある久保先生のコレクションを今までもご紹介してきましたが、今回はシリーズ企画「瑛九展」の25回目として企画した次第です。
最終日の28日(土)はあいにくの雨でしたが、常連の皆さんはじめ、美術館の学芸員、新聞の記事をみていらした初めての方など、遠くは山形からも、次から次へと来廊者が絶えませんでした。
来場された皆さん、作品をご提供くださった久保家の皆様、作品や書籍をお買い上げいただいたお客様には厚く御礼を申し上げます。

栃木の展示風景はユーチューブでご覧になれます。栃木では久保コレクションを中心に以下の作家の作品が展示されました。

靉嘔、飯野農夫也、池田満寿夫、泉茂、磯辺行久、飯塚国雄、内間安王星、青原(内間)俊子、瑛九、小田まゆみ、オノサト・トシノブ、オノサト・トモコ、小此木眞三郎、小野忠重、桂ゆき(ユキ子)、加藤正、北川民次、木村光佑、木村直道、木村利三郎、草間彌生、久保卓治、笹島喜平、島州一、関根伸夫、滝川太郎、瀧口修造、竹田鎮三郎、玉井瑞夫、利根山光人、殿敷侃、新居広治、深沢史朗、福沢一郎、藤本よし子、古川龍生、細江英公、山城隆一、吉田克朗、吉原英雄、山口薫、脇田和、ワルワーラ・ブブノワ、ヘンリー・ミラー、エメット・ウィリアムス 他

ときの忘れものでは、栃木と重複しますが、<瑛九を時代をともにし、久保先生が支持した>12作家を選び、油彩、水彩、写真、版画などを展示しましたが、久保先生が支持した作家は上掲にとどまらず膨大な数にのぼります。
このブログでも「久保貞次郎のエッセイ」として久保先生の作家を支持する言葉を再録掲載していますので、お読みください。

下に掲載するのは、今からちょうど30年前の久保先生の著作集の出版記念会の案内です。
発起人の方の幾人かを挙げれば、
作家は、靉嘔、池田満寿夫、泉茂、オノサト・トシノブ、小田襄、ガストン・プチ、北川民次、細江英公・・・
評論家は、朝日晃(東京都美術館)、大島清次(栃木県立美術館館長、世田谷美術館館長)、小倉忠夫(京都国立近代美術館館長)、嘉門安雄(ブリヂストン美術館館長、東京都現代美術館館長)、瀬木慎一、本間正義(国立国際美術館館長、埼玉県立近代美術館館長)、三木多聞(国立国際美術館長、徳島県立近代美術館長、東京都写真美術館館長)、山田智三郎(国立西洋美術館館長)・・・
画商は、青木治男(南天子画廊)、飯田祐三(飯田画廊)、植松竹二郎(JAA、日本美術品競売)、海上雅臣(ウナックトウキョウ)、栗田玲子(ガレリア・グラフィカ)、塚原操(ストライプハウス)、山本孝(東京画廊)・・・
大下敦(美術出版社)、山崎省三(芸術新潮編集長)、創美のメンバー、木水育男はじめ瑛九の会会員、杉田都(瑛九夫人)らの諸氏も名を連ねました。
久保先生の幅広い人脈がおわかりになると思います。
名称未設定 2
久保貞次郎 美術の世界 出版記念会のご案内
1984年3月27日
会場:東京ガーデンパレス(湯島会館)
*画像をクリックしてください。

当日は発起人の末席に連なった亭主が司会を務めました。

1991年7月27日軽井沢_久保貞次郎と令子
1991年7月
旧軽井沢の久保先生の別荘にて、
久保先生と社長。
壁に飾られているのは北川民次のリトグラフ。

昨年、久保先生の栃木県真岡のお屋敷が真岡市に寄贈されました。同市の手で整備された後に久保記念館として公開される予定です。
私たちの画商人生は久保先生の導きで始まり、今年でちょうど40年を迎えました。
これからも久保先生の事績の顕彰と、「久保エディション」はじめ、久保先生の遺された作品の紹介に一層務めて行きたいと思います。