スタッフSの海外ネットサーフィン No.27
「Between Action and the Unknown: The Art of Kazuo Shiraga and Sadamasa Motonaga」

The Dallas Museum of Art/DMA


読者の皆様こんにちわ。一時の真夏日も落ち着き、暖かな昼と涼しい夜が続く今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか? 布団で寝るには暑く、タオルケットで寝るには寒い日々に痛し痒しなスタッフSこと新澤です。

前回のスタッフSの海外ネットサーフィン No.26では亭主に勧められてのこととはいえ、ついに訪れた事のない場所を話題に挙げてしまい、いささか「やってしまった」感のある当連載ですが、今回もその辺りがビミョーな国、アメリカがターゲットです。国自体は訪れたことはありますが、今回の取り上げるダラスは自分が訪れたニューヨークからは約2500km(日本の本州は全長約1300kmです)離れており、7月に参加するArt Santa Feからも1000km程離れています。昔の人は何故このように膨大な土地を一つの国に纏めようと思ったのか…。

ともあれ、今回はそんな広大すぎるアメリカのへそ、テキサス州はダラスにある、その名もThe Dallas Museum of Art(ダラス美術館)で開催中の「Between Action and the Unknown: The Art of Kazuo Shiraga and Sadamasa Motonaga」をご紹介します。

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ダラス美術館はダラスのアート・ディストリクトにある美術館で、紀元前3000年から現代まで、24,000点以上の芸術品を収蔵している大美術館です。開館当初はフェア・パークの中にありましたが、1984年に収蔵品の拡張と展覧会プログラムの増大に伴ってアート・ディストリクトに移転しました。現在の建物の設計は、ニューヨークのIBMビルの設計を手がけ、2007年にはアメリカ建築家協会AIAゴールドメダルを受賞したエドワード・ララビー・バーンズによるものです。ちなみにフェア・パーク内の美術館は1932年に開館していますが、運営団体であるダラス美術協会は、1903年からダラス公立図書館で美術作品の展示をおこなっています。
大胆な展示方針や受賞歴のある教育プログラムでも知られており、また付属の図書館であるミルドレッド・R&フレデリック・M・メイヤー図書館では、50,000冊以上の本がキュレーターや一般の利用者に公開されています(貸し出しは行っていません)。

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このダラス美術館で2月8日から再来月の7月19日まで、入場料無料で開催中なのが「Between Action and the Unknown: The Art of Kazuo Shiraga and Sadamasa Motonaga」です。この展覧会は国際交流基金(ジャパン・ファウンデーション)と共催されており、日本の戦後美術を語る上で避けては通れない「具体」(具体美術協会)、その中でも代表的な存在といわれる白髪一雄元永定正を、創作初期から晩年にいたる約60点の作品で振り返るものです。以下に展示作品を数点、ご紹介します。

20150526_dallas_10Kazuo Shiraga
"Difficult Voyage"

1949
Oil on canvas
90.2×71.3cm
Amagasaki City, courtesy Amagasaki Cultural Center c 2015 Shiraga Hisao

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"Daiitokuson"

1973
Oil on canvas
196×195cm
Amagasaki City, courtesy Amagasaki Cultural Center c 2015 Shiraga Hisao

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"Imayō Ranbu"

2000
Oil on canvas
260×194.5cm
Dallas Museum of Art through the DMA/amfAR Benefit Auction Fund and promised gift of The Rachofsky Collection, 2013.21 c 2015 Shiraga Hisao

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"Work"

1962
Oil and synthetic resin on canvas
172×229.3cm
Hyōgo Prefectural Museum of Art (Yamamura Collection) c 2015 Estate of Motonaga Sadamasa

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"Red and Yellow"

1963
Oil, synthetic resin, and gravel on canvas
177×275cm
Mie Prefectural Art Museum c 2015 Estate of Motonaga Sadamasa

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"Piron Piron"

1975
Acrylic on canvas
275×183cm
Mie Prefectural Art Museum c 2015 Estate of Motonaga Sadamasa

*Images courtesy Dallas Museum of Art

いずれも当画廊にて扱いのある作家ですが、白髪一雄はともかくとして、元永定正は70年代後半以降の版画作品しか馴染みがなかった新米スタッフSは、今回展覧会ページで紹介されている油彩作品の暴力的なイメージは驚かされました。
ときの忘れものでは、6月上旬(6月3日[水]~6月13日[土])に「元永定正 もこもこワールド」と題して元永の版画作品約50点を準備しておりますので、アメリカは遠い! という方は是非こちらにお出掛け下さい。

少々どころではない手抜きとなってしまいますが、今回は共催者である国際交流基金ホームページにて展覧会の紹介と、日米キュレーター2名のステートメントも掲載されています。ご興味のある方は以下のリンクよりご移動ください。

(しんざわ ゆう)

ダラス美術館ホームページ
ダラス美術館「Between Action and the Unknown: The Art of Kazuo Shiraga and Sadamasa Motonaga」紹介ページ
国際交流基金「アクションと未知の間で―白髪一雄と元永定正」紹介ページ

●今日のお勧めは、6月3日から開催する「元永定正 もこもこワールド」出品作品からです。
moto070515元永定正 Sadamasa MOTONAGA
《オレンジの中で》
1977年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:47.0×61.0cm
シートサイズ:50.0×65.0cm
Ed.100
サインあり

moto071004元永定正 Sadamasa MOTONAGA
《かさねいろだま》
1984年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:66.0×46.0cm
シートサイズ:75.0×55.0cm
Ed.150
サインあり

◆ときの忘れものは2015年6月3日[水]―6月13日[土]「元永定正 もこもこワールド」を開催します(*会期中無休)。
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具体グループで活躍した元永定正は1970年代から本格的に版画制作に取り組みます。本展では1977~1984年に制作された版画代表作30点をご紹介します。
出品リストは既にホームページに掲載しました。価格リストをご希望の方は、「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してメールにてお申し込みください
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「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。