瑛九見にときの忘れものへ。
瑛九好きだわー。ここまで来たらトキさんとこ寄る。

(Hasu no hana ‏さんのtwitterより)

ギャラリー・ときの忘れもので瑛九展「光を求めて」を見る。フォトデッサンやその型紙、油彩の吹き付け作品など。非常に見ごたえのある展覧会であった。
(中村惠一さんのtwitterより)

先日、瑛九展を拝見しました。
ブログにも書かれていますが、作品と資料を見比べることが出来て、たいへん見ごたえのある内容でした。
型紙ひとつからさまざまに世界が展開していくことを想像すると制作の現場でどれだけ驚きと感動があったことか、瑛九が「制作過程」を楽すむ様子が目に浮ぶようです。
「トップス・イン・フォトグラフィー」に関しても確かに再調査の必要なところであると感じております。
出品目録や会場写真などがあると良いです。たいへん勉強になる記事でした。

(Nさんからのメール)

ただいま開催中の「第26回瑛九展 光を求めて」には、瑛九のいわばデビュー作ともいうべきフォトデッサン作品集「眠りの理由」(1936年 10点組だが一点欠)はじめ、フォトデッサンを中心に展示しています。
フォトデッサンというのは瑛九の造語で、1920年代初頭にマン・レイとモホリ=ナジがさかんに制作した「フォトグラム」と同義です。
カメラを用いずに、印画紙の上に直接物を置いて感光させるなどの方法により制作された写真作品のことで、技法的にはゼラチン・シルバープリントと表記されます。

瑛九はフォトデッサン(フォトグラム)を制作する際に自ら鋏を使って切り抜いた「型紙」を使うことが多かったのですが、それら型紙はアトリエに膨大に残されていて、現在は宮崎県立美術館、北九州市立美術館、埼玉県立近代美術館などに「資料」として多数収蔵されています。

今回の展示では型紙を3点出品しています。
26出品No.26)
瑛九
「フォトデッサン型紙 37」
切り抜き、厚紙
38.0×56.2cm

37
同作品の表裏

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
27出品No.27)
瑛九
「フォトデッサン型紙 38」
切り抜き、厚紙
45.6×56.0cm

38
同作品の表裏

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
28出品No.28)
瑛九
フォトデッサン型紙 47
切り抜き、厚紙
55.2×40.4cm

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

フォトデッサンの型紙は美術館などでは単なる資料として扱われてきたのですが、「作品」として評価し、販売されることは随分早い時期から行なわれていました。
亭主の知る範囲では1970年代には、いまはない銀座のギャルリームカイのオーナー向井加寿枝さんが都夫人からわけてもらった型紙やセロファン紙を積極的に売っていました。

ときの忘れものもいくつかの型紙を販売していたのですが、本格的には2011年9月に「第21回瑛九展 46の光のかけら/フォトデッサン型紙」を開催し、型紙だけの展示販売をしました。
瑛九展DM600DM

型紙だけの展示は思った以上に好評で出品した大半が売れました。
長年所蔵していた身としては、「売るか」「資料として将来の研究に役立てるか」悩んだのですが、資料ではなく「作品として流通」させることこそが「評価」への道であるとの「画商の信念」に従って思いきって販売に踏み切ったわけです。

ただ右から左に売ってしまったのでは、「散逸」という言葉しか残らない。そこで出品全型紙(このときは46種類)の表面と裏面を撮影し、それらを同じ位置にデザイン(もちろん北澤敏彦さんによる)し、かつ裏表両面に印刷した大判のポスターを製作しました。
poster_A_600瑛九展ポスター(表)
限定200部
デザイン:DIX-HOUSE
サイズ:84.1x59.4cm(A1)
限定200部(番号入り)
価格:1,500円(税込)
+梱包送料:1,000円


poster_B_600瑛九展ポスター(裏)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから


さらに近代美術史の研究者である浅野智子さんに私どもが所蔵していた型紙の実物、及び資料類を見ていただき、このブログのために瑛九の型紙についての考察をご執筆いただきました。

浅野智子「瑛九の型紙考」第1回
浅野智子「瑛九の型紙考」第2回
浅野智子「瑛九の型紙考」第3回

「型紙」に関して詳しく論じたものは今までなかったので、この浅野さんの論考はたいへん勉強になりました。
瑛九は大量の型紙を捨てずに残し、それらは宮崎、北九州、埼玉などの美術館に「資料」として収蔵保管されています。しかしそれらを完成されたフォトデッサンと比較するなどの実物検証はまだ本格的にはなされていません。
浅野さんも<作家が大量の型紙を保管していたという事実は、制作された「型紙」は、フォトデッサン作品と同様に、単なる創作過程における一技法、一要素に留まらないものであったことを示唆している。その型紙の重要性とは、地の要素から新たな造形を取り出すと同時に、残された地そのものも新たな造形物として意味を持ちだすという型抜き独特の造形の連続性に関連するものではないだろうか。>と述べられています。
0807

0109


◆ときの忘れものは2015年5月16日[土]―5月30日[土]「第26回瑛九展 光を求めて」を開催しています(*会期中無休)。
262_qei261995年の開廊以来、シリーズ企画として取り組んできた「瑛九展」ですが、第26回となる今回は「光を求めて」と題して、フォトデッサンを中心に、油彩、水彩、フォトデッサンの制作材料とした型紙など約30点を展示します。
価格リストをご希望の方は、「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してメールにてお申し込みください
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから