スタッフSの「井桁裕子×森田かずよ」ギャラリートーク・レポート
先月15日から27日にかけて開催された「井桁裕子新作展―片脚で立つ森田かずよの肖像」展。作家の井桁裕子さんが全日いらっしゃったこともあり、休日、平日を問わず多くのお客様にご来廊いただきました。ブログの方もかつてない盛況ぶりで、新作展に関する記事は他の記事の倍以上の観閲数を記録しており、スタッフ一同驚かされました。
そのように賑わう中、最終日前日の9月26日(土)に、今展の新作のモデルである舞踏家、森田かずよさんをお招きしてのギャラリートークを開催しました。画廊の広さの関係上、すぐに予約が埋まってしまったのですが、ホームページ上でそれを告知した後もお問合せが絶えなかったのですからスゴイものです。
人形作家の井桁裕子さん(左)と舞踏家の森田かずよさん(右)
井桁さんは以前より《桝形山の鬼 舞踏家・吉本大輔氏肖像》、《Kei doll 舞踏家・石川慶氏肖像》や《加速する私たち 舞踏家・高橋理通子氏肖像》等、舞踏家の方の肖像作品を作られていますが、普段は井桁さんからモデルとなる人物へ依頼するところ、今回は2012年4月、ART KYOTO 2012で知り合った森田さんの方から自分の作品を作って欲しいと依頼があったそうです。とはいえ森田さんが意図していたのは自分の体形を客観視できる卓上サイズのフィギュアで、最終的にこのようなサイズの作品になるとは思ってもみなかったようですが。
2012年4月、ART KYOTO 2012でときの忘れものが出展した《桝形山の鬼 舞踏家・吉本大輔氏肖像》
頭頂から指先までを含むと2mある大作です。
出だしは普段とは逆なれど、作品制作自体には大いに乗り気となった井桁さん。翌2013年の1月には早速大阪の森田さんを訪ねられたそうですが、先天性の身障者である森田さんの骨格や肉付きを再現することは難しく、展示作品の一点で、大作のプロトタイプでもある《森田かずよ全身像》の制作には2年の月日が必要とされたそうです。《片脚で立つ森田かずよの肖像》はその後の8ヶ月で完成されたとのことですので、いかに森田さんの体格への理解が難航したのかが伺えます。通常であれば自分の体に置き換えれば体の可動範囲やバランス配分は大まかに推察できますが、「片側の肋骨を二本欠いた状態」でのバランスなど、本人でなければ分かることではありませんし、ましてや骨格と筋肉がどのように組み合わさってそのバランスを保っているのかなど、本人にも早々理解できるものではありません。森田さんが今回の製作を望まれたのも、舞踏の先生の動きをトレースできない自分の身体を客観的に見ることで、自分なりの舞踏の動きを模索するためでした。井桁さんも自分と向き合うためにポートレートドールの作成をされていますので、この点でも大いに共感されたそうです。

この後も話題は様々な題材が挙がり、お二人の朗らかさもあってアッという間もなく1時間は過ぎてしまい、入場制限がなくなった途端に人が来はじめ、何時にも増して賑やかな打ち上げとなりました。
以下がその風景と、恒例の集合写真です。




この記事が公開される時点で既に半ばを過ぎていますが、明日は秋の恒例、KIAFレポートを掲載予定です。ART SANTA FEでは時差ボケを理由に現地レポートをサボってしまったので、今回はちゃんと書かせていただきます。筆者が自分ですので内容はお察しですが…お時間がある方はどうぞお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
●ときの忘れものは韓国ソウルのアートフェア「KIAF 2015 / ART SEOUL」に出展します

今年は日本がゲストカントリーで、11ヶ国から180のギャラリーが参加します。
会期:2015年10月7日[水]―10月12日[日]
会場:COEX HALL A / B(韓国、ソウル)
ときの忘れものブースナンバー:B156
公式サイト:http://www.kiaf.org/
出品作家(予定):野口琢郎、秋葉シスイ、安藤忠雄、磯崎新、草間彌生、内間安瑆、元永定正、ナム・ジュン・パイク
韓国にご旅行される方はぜひお立ち寄りください。
先月15日から27日にかけて開催された「井桁裕子新作展―片脚で立つ森田かずよの肖像」展。作家の井桁裕子さんが全日いらっしゃったこともあり、休日、平日を問わず多くのお客様にご来廊いただきました。ブログの方もかつてない盛況ぶりで、新作展に関する記事は他の記事の倍以上の観閲数を記録しており、スタッフ一同驚かされました。
そのように賑わう中、最終日前日の9月26日(土)に、今展の新作のモデルである舞踏家、森田かずよさんをお招きしてのギャラリートークを開催しました。画廊の広さの関係上、すぐに予約が埋まってしまったのですが、ホームページ上でそれを告知した後もお問合せが絶えなかったのですからスゴイものです。
人形作家の井桁裕子さん(左)と舞踏家の森田かずよさん(右)井桁さんは以前より《桝形山の鬼 舞踏家・吉本大輔氏肖像》、《Kei doll 舞踏家・石川慶氏肖像》や《加速する私たち 舞踏家・高橋理通子氏肖像》等、舞踏家の方の肖像作品を作られていますが、普段は井桁さんからモデルとなる人物へ依頼するところ、今回は2012年4月、ART KYOTO 2012で知り合った森田さんの方から自分の作品を作って欲しいと依頼があったそうです。とはいえ森田さんが意図していたのは自分の体形を客観視できる卓上サイズのフィギュアで、最終的にこのようなサイズの作品になるとは思ってもみなかったようですが。
2012年4月、ART KYOTO 2012でときの忘れものが出展した《桝形山の鬼 舞踏家・吉本大輔氏肖像》頭頂から指先までを含むと2mある大作です。
出だしは普段とは逆なれど、作品制作自体には大いに乗り気となった井桁さん。翌2013年の1月には早速大阪の森田さんを訪ねられたそうですが、先天性の身障者である森田さんの骨格や肉付きを再現することは難しく、展示作品の一点で、大作のプロトタイプでもある《森田かずよ全身像》の制作には2年の月日が必要とされたそうです。《片脚で立つ森田かずよの肖像》はその後の8ヶ月で完成されたとのことですので、いかに森田さんの体格への理解が難航したのかが伺えます。通常であれば自分の体に置き換えれば体の可動範囲やバランス配分は大まかに推察できますが、「片側の肋骨を二本欠いた状態」でのバランスなど、本人でなければ分かることではありませんし、ましてや骨格と筋肉がどのように組み合わさってそのバランスを保っているのかなど、本人にも早々理解できるものではありません。森田さんが今回の製作を望まれたのも、舞踏の先生の動きをトレースできない自分の身体を客観的に見ることで、自分なりの舞踏の動きを模索するためでした。井桁さんも自分と向き合うためにポートレートドールの作成をされていますので、この点でも大いに共感されたそうです。

この後も話題は様々な題材が挙がり、お二人の朗らかさもあってアッという間もなく1時間は過ぎてしまい、入場制限がなくなった途端に人が来はじめ、何時にも増して賑やかな打ち上げとなりました。
以下がその風景と、恒例の集合写真です。




この記事が公開される時点で既に半ばを過ぎていますが、明日は秋の恒例、KIAFレポートを掲載予定です。ART SANTA FEでは時差ボケを理由に現地レポートをサボってしまったので、今回はちゃんと書かせていただきます。筆者が自分ですので内容はお察しですが…お時間がある方はどうぞお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
●ときの忘れものは韓国ソウルのアートフェア「KIAF 2015 / ART SEOUL」に出展します

今年は日本がゲストカントリーで、11ヶ国から180のギャラリーが参加します。
会期:2015年10月7日[水]―10月12日[日]
会場:COEX HALL A / B(韓国、ソウル)
ときの忘れものブースナンバー:B156
公式サイト:http://www.kiaf.org/
出品作家(予定):野口琢郎、秋葉シスイ、安藤忠雄、磯崎新、草間彌生、内間安瑆、元永定正、ナム・ジュン・パイク
韓国にご旅行される方はぜひお立ち寄りください。
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