野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第21回
東松照明先生との出会いと、助手を務めさせて頂いた一年の事 (4)
前回、東松照明先生の助手としてのだいたいの仕事内容を箇条書きにしていたので、
今回はその中からいくつかの仕事の内容について詳しく説明しようと思います。
まず、
・車の運転、先生は運転がお好きだったので、先生が運転の時は地図を見ながら隣でナビについて、近い長崎市内での撮影は電車やバスなど交通機関で移動する事も多かったですが、長崎は盆地のため坂道が多いので、まず車で行ける所まで先生を運び、車を何処か駐車場に停めてから、坂道を下りながら撮影の助手をして、ほぼ下まで来た位で私はダッシュで戻り車をとってくるような事もありました。
また市外や少し離れた場所への撮影は車で行く事が多く、先生が運転される時は私は助手席で地図を見ながらナビをするのですが(2000年にはまだ車にナビは搭載されてなかったので)、道を迷わないように地図を念入りに見ていると先生に怒られるんですね
「前を見ろ!僕は左側が弱いから、擦らないように見ていないとダメだよ!」と、
かと言って前を見ていて道に迷うとこれも強く怒られるもので、、悩んだ結果、、
運転席の先生からは前を見ているように見えるように顔は真っ直ぐ前を向けておき、目だけ動かして下の地図と、車の左側をチラチラ見る、これが最善の方法でした。
それでも、ややこしい場所で迷ってしまった場合は地元の人を見つけ、私は車から降りて道を尋ねに行くのですが、夏なんかに「いやぁ今日は暑いですね、ありがとうございました。」なんて言って車に帰ってくると、「余計な事は話さなくてイイ!」と怒られました 笑
次に
・撮影時の荷物持ち、坂道では先生の腰を下から押す。
について、先程も書いたように長崎は坂の町、撮影の為にどうしても坂を歩いて登らないといけない時はあるので、そういう時は先生の腰を下から押しながら登ります。
しかも先生は坂道を登っているのに、より楽に登れるように体全体を後ろに反らせて歩くものでなかなか重く、僕がバランスでも崩してこけたら先生転がり落ちるな…と思うとちょっと恐ろしかったです。
東松先生
東松先生にPC作業を教える泰子さん
2つ説明しただけで長くなってしまい、全部説明するにのいつまでかかるか解りませんが、今回はこの辺にして、あと一つ宣伝をさせて頂きます。
4月30日~5月14日まで、大阪の北浜にあるギャラリー、Nii Fine Artsさんにて個展を開催させて頂きます。
珍しく小さなSMサイズなどの小作品なども含む新作10点程と、在庫作の手直しと合わせて16点程を出展致しますので、ぜひご高覧くださいませ。
よろしくお願い致します。


箔画 野口琢郎展
2016年4月30日(土)~5月14日(土)〈会期中無休〉
11:00~19:00〈日曜日-17:00まで〉
※オープニングパーティ4月30日(土)17時から
Nii Fine Arts
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋2-3-9 星和高麗橋ビルB1
Tel:(06)4708-7839
http://www.niifinearts.com/
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
野口琢郎
「HANABI #9」
2011年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
91x72.7 cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・新連載・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は毎月5日の更新です。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
・新連載・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・森下泰輔のエッセイ「 戦後・現代美術事件簿」は毎月18日の更新です。
・新連載・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
・新連載・浜田宏司のエッセイ「“ART&BOOK”ナナメ読み」は毎月20日の更新です。
・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は毎月22日の更新です。
・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は毎月24日の更新です。
・新連載・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました。
・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。
◆ときの忘れものでは2016年4月8日(金)~4月23日(土)まで「浮田要三展」を開催しています(日・月・祝日休廊)。
浮田要三の生涯と作品については河﨑晃一さんのエッセイをお読みください。
第1回:浮田要三のいろとかたち、浮田要三と『きりん』
第2回:吉原治良と浮田要三、
第3回:画家浮田要三
1954年に関西在住の若手作家を中心に結成された「具体(具体美術協会)」。1950年代にはまだパフォーマンスやインスタレーションといった表現が新奇の眼で見られるだけで、美術作品としての評価はなかなかされにくい時代でした。
しかし近年では国際的にも注目をあび、1950~70年代の日本のアートを再評価し検証する動きが活発です。2013年2月にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された「GUTAI」展は大反響を呼びました。
具体のリーダーであった吉原治良の「人の真似をするな」という言葉に象徴されるように、具体美術協会に参加した作家たちは従来の表現や素材を次々と否定して新しい美術表現を旺盛に展開していきました。
本展では「具体」に参加した浮田要三に焦点を当て、油彩作品をご覧いただきます。
●作品集のご案内
『浮田要三の仕事』
2015年7月21日発行
発行所 りいぶる・とふん
編集人 浮田要三作品集編集委員会
制作人 浮田綾子、小崎唯
テキスト:浮田要三、貞久秀紀、加藤瑞穂、平井章一、井上明彦、おーなり由子
25.7×27.2cm、316ページ
全テキスト英訳
税込10,800円 ※別途送料250円
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
東松照明先生との出会いと、助手を務めさせて頂いた一年の事 (4)
前回、東松照明先生の助手としてのだいたいの仕事内容を箇条書きにしていたので、
今回はその中からいくつかの仕事の内容について詳しく説明しようと思います。
まず、
・車の運転、先生は運転がお好きだったので、先生が運転の時は地図を見ながら隣でナビについて、近い長崎市内での撮影は電車やバスなど交通機関で移動する事も多かったですが、長崎は盆地のため坂道が多いので、まず車で行ける所まで先生を運び、車を何処か駐車場に停めてから、坂道を下りながら撮影の助手をして、ほぼ下まで来た位で私はダッシュで戻り車をとってくるような事もありました。
また市外や少し離れた場所への撮影は車で行く事が多く、先生が運転される時は私は助手席で地図を見ながらナビをするのですが(2000年にはまだ車にナビは搭載されてなかったので)、道を迷わないように地図を念入りに見ていると先生に怒られるんですね
「前を見ろ!僕は左側が弱いから、擦らないように見ていないとダメだよ!」と、
かと言って前を見ていて道に迷うとこれも強く怒られるもので、、悩んだ結果、、
運転席の先生からは前を見ているように見えるように顔は真っ直ぐ前を向けておき、目だけ動かして下の地図と、車の左側をチラチラ見る、これが最善の方法でした。
それでも、ややこしい場所で迷ってしまった場合は地元の人を見つけ、私は車から降りて道を尋ねに行くのですが、夏なんかに「いやぁ今日は暑いですね、ありがとうございました。」なんて言って車に帰ってくると、「余計な事は話さなくてイイ!」と怒られました 笑
次に
・撮影時の荷物持ち、坂道では先生の腰を下から押す。
について、先程も書いたように長崎は坂の町、撮影の為にどうしても坂を歩いて登らないといけない時はあるので、そういう時は先生の腰を下から押しながら登ります。
しかも先生は坂道を登っているのに、より楽に登れるように体全体を後ろに反らせて歩くものでなかなか重く、僕がバランスでも崩してこけたら先生転がり落ちるな…と思うとちょっと恐ろしかったです。
東松先生
東松先生にPC作業を教える泰子さん2つ説明しただけで長くなってしまい、全部説明するにのいつまでかかるか解りませんが、今回はこの辺にして、あと一つ宣伝をさせて頂きます。
4月30日~5月14日まで、大阪の北浜にあるギャラリー、Nii Fine Artsさんにて個展を開催させて頂きます。
珍しく小さなSMサイズなどの小作品なども含む新作10点程と、在庫作の手直しと合わせて16点程を出展致しますので、ぜひご高覧くださいませ。
よろしくお願い致します。


箔画 野口琢郎展
2016年4月30日(土)~5月14日(土)〈会期中無休〉
11:00~19:00〈日曜日-17:00まで〉
※オープニングパーティ4月30日(土)17時から
Nii Fine Arts
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋2-3-9 星和高麗橋ビルB1
Tel:(06)4708-7839
http://www.niifinearts.com/
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
野口琢郎「HANABI #9」
2011年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
91x72.7 cm
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・新連載・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は毎月5日の更新です。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
・新連載・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・森下泰輔のエッセイ「 戦後・現代美術事件簿」は毎月18日の更新です。
・新連載・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
・新連載・浜田宏司のエッセイ「“ART&BOOK”ナナメ読み」は毎月20日の更新です。
・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は毎月22日の更新です。
・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は毎月24日の更新です。
・新連載・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました。
・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。
◆ときの忘れものでは2016年4月8日(金)~4月23日(土)まで「浮田要三展」を開催しています(日・月・祝日休廊)。
浮田要三の生涯と作品については河﨑晃一さんのエッセイをお読みください。第1回:浮田要三のいろとかたち、浮田要三と『きりん』
第2回:吉原治良と浮田要三、
第3回:画家浮田要三
1954年に関西在住の若手作家を中心に結成された「具体(具体美術協会)」。1950年代にはまだパフォーマンスやインスタレーションといった表現が新奇の眼で見られるだけで、美術作品としての評価はなかなかされにくい時代でした。
しかし近年では国際的にも注目をあび、1950~70年代の日本のアートを再評価し検証する動きが活発です。2013年2月にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された「GUTAI」展は大反響を呼びました。
具体のリーダーであった吉原治良の「人の真似をするな」という言葉に象徴されるように、具体美術協会に参加した作家たちは従来の表現や素材を次々と否定して新しい美術表現を旺盛に展開していきました。
本展では「具体」に参加した浮田要三に焦点を当て、油彩作品をご覧いただきます。
●作品集のご案内
『浮田要三の仕事』2015年7月21日発行
発行所 りいぶる・とふん
編集人 浮田要三作品集編集委員会
制作人 浮田綾子、小崎唯
テキスト:浮田要三、貞久秀紀、加藤瑞穂、平井章一、井上明彦、おーなり由子
25.7×27.2cm、316ページ
全テキスト英訳
税込10,800円 ※別途送料250円
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
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