昨日7月1日は瀧口修造の命日でした。
1979年(昭和54年)7月1日没、享年75。
先日ときの忘れものでは「アートブック・ラウンジVol.2~画廊のしごと(南画廊のカタログ)」を開催したばかりですが、瀧口先生の個展も開催し(1962年)、縁も深かった南画廊の志水楠男さんが亡くなって3ヶ月あまり後のことでした。

あれから30数年、その頃はまだ生まれていなかった若い世代の画商さんによって名古屋で「瀧口修造展」が開催されます。
shumoku_滝口_表shumoku_滝口_裏


瀧口修造展 
Takiguchi Shuzo

会期:2016年7月9日(土)~7月31日(日) *月・火休
会場:SHUMOKU GALLERY
   〒461-0014名古屋市東区橦木町2-25
   ℡:052-982-8858
   http://www.shumoku.net/

●ギャラリートーク:7月10日(日) 15:00-17:00 
講師:馬場駿吉(名古屋ボストン美術館館長)× 島敦彦(愛知県美術館館長)

オープニングレセプション7月10日(日) 17:00-19:00

●イベント 瀧口修造の講演「美というもの」(録音)を聴く:7月24日(日)15:00-
1962年に瀧口が母校の県立富山高校で行った貴重な講演「美というもの」の録音を聴く(同時に上映する資料映像を見ながら)。瀧口研究の第一人者である土渕信彦氏に解説していただきます。

各イベントとも定員25名、予約優先です。
お問合せは電話かメール info@shumoku.net にてお願いします。

SHUMOKU GALLERYでは、詩人・美術評論家・芸術家として幅広く活躍した瀧口修造(1903-1979、富山県生)の作品展を行います。
瀧口は慶應義塾大学在学中にシュルレアリスム運動を知って深く共鳴し、1927~31年頃には、日本の前衛詩の極北と位置付けられる詩を集中的に発表しています。1930年にアンドレ・ブルトン『超現実主義と絵画』を翻訳したのを契機に、美術評論家としての活動を開始し、シュルレアリスムの紹介・普及活動を繰り広げました。1937年に山中散生とともに開催した「海外超現実主義作品展」(春鳥会)は、その代表的な成果といえるでしょう。戦後は新聞・雑誌に膨大な美術評論を発表する傍ら、1951~57年には「タケミヤ画廊」の208回に及ぶ企画展の運営を引き受け、また「実験工房」の活動に顧問格として関与するなど、その後国際的に活躍する多くの前衛芸術家を発掘・紹介し、彼らからも「唯一の理解者」として絶大な信頼を寄せられました。
1958年のヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表・審査員として訪欧し、ブルトンやルーチョ・フォンターナ、マルセル・デュシャンらと面談してからは、その活動は大きく変化します。美術評論の筆を擱く一方、多くの造形作家に私信の形で詩や展覧会序文を提供するようになり、ジョアン・ミロやサム・フランシスら内外の多くの造形作家と詩画集を共作しました。また自らも数多くの美術作品を制作するようになり、1960年からわずか数年の間にドローイング、バーント・ドローイング、デカルコマニー、ロトデッサンなど、多彩な手法を開拓しました。一人の造形作家として評価されるべき質と量を具えており、個展も5回ほど開催しています。あらゆる現代美術の元祖であるデュシャンとの親密な交流も、見落とすことはできません。1963年頃に瀧口が構想した架空の「オブジェの店」に対して、デュシャンからその女性変名「ローズ・セラヴィ」を贈られ、その返礼として『マルセル・デュシャン語録』(1968年)を製作しています。デュシャンの「大ガラス」の一部を立体化したマルチプル「檢眼圖」(1977年。美術家岡崎和郎との共作)も製作しました。
本展覧会では、造形作家瀧口修造に焦点を当て、その代表的な手法の一つであるデカルコマニーの作品を中心に展示いたします。瀧口の活動や作品を名古屋で紹介する機会としては、2003年の名古屋市美術館「瀧口修造 オートマティスムの彼岸」展以来13年ぶりの、貴重な展覧会となります。是非ご高覧ください。(主催者のプレスリリースより)
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*画廊亭主敬白
今日7月2日は亭主の71歳の誕生日です。徒に馬齢を重ねてしまったという苦い思いがあります。
先月6月25日、人口30万人の小都市で現代美術一筋に50年を超えるギャラリー活動を展開されたMORIOKA第一画廊の上田浩司さんが亡くなられました。
亭主が1974年に創立した現代版画センターの旗揚げに駆けつけてくれ、全国縦断「現代版画への招待展」を全国に先駆けて開催してくれました。若いばかりで、何も知らなかった私たちに惜しげもなく大事な顧客や作家を紹介してくださり、版画センターの文字通り基礎をつくってくれた方でした。
享年85。小さくなった上田さんの体は、松田松雄展、舟越保武展の大きなポスターに包まれ、百瀬寿さんはじめ上田さんが愛した作家たちの個展案内状がご家族によって棺に納められました。
今はご冥福を祈るばかりですが、いずれ詳しく上田さんのことは皆さんにお伝えしたいと思っています。

今回瀧口修造展を開催する画廊のオーナーの居松 篤彦(すえまつ あつひこ)さんとは、昨年秋の福岡のアートフェアで初めてお会いしました。
同じホテルフェアに居松さんも出展していたのですが、お若いのにえらく渋い好みのラインナップでした。そのときは名刺を交換しただけでしたが、やがて私どもの画廊に来られた居松さんが瀧口作品をお買いになったことから、今回の展覧会の話が進みました。
亭主は瀧口先生のご存命中にかろうじて間に合った世代ですが、作品というのは世代を超えて受け継がれてこそ真の評価につながります。
一昨年の大阪での瀧口修造展もそうでしたが、瀧口先生を直接は知らない世代の人たちが「作品」だけを相手にそれを愛し、共感の輪を拡げようとつとめてくださる。ありがたいことだと思います。

イベントが10日(日)と、24日(日)の二回ありますが、亭主と社長は二度とも名古屋にお伺いする予定です。
どうぞお近くの皆さんもご高覧ください。

●今日のお勧めは加納光於です。
加納光於 加納光於
"llumination-1986 PF-No.1"
1986
リトグラフ
49.0×61.0cm
Ed.50 Signed

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●お勧め書籍のご案内
201606大谷省吾大谷省吾
激動期のアヴァンギャルドシュルレアリスムと日本の絵画 一九二八-一九五三

2016年
国書刊行会 発行
664ページ
21.7x17.0cm
8,800円(税別)
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