野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第32回
ニューヨークでのart on paperを終えて
2月28日、ニューヨークでのアートフェア、art on paper出展の為に出発、成田でときの忘れものスタッフの新澤さんと松下さんと合流し、ANAでJFK空港まで乗ったのですが、松下さんがエコノミーが満席でビジネスクラスにアップグレードになり、野口さんどうぞと譲ってくださったので、お言葉に甘えて人生初のビジネスクラス乗りました!
座席が広く、リクライニングは水平までできて食事は豪華!ちょうど腰痛がキツくなっていたので、なんとも快適な空の旅でした。
今後自腹でビジネスクラス乗る事なんてまず無いと思うので、有り難い棚からぼた餅でした、松下さん本当にありがとうございました。
ビジネスクラスの食事
到着後、初日の晩御飯はちょうどニューヨークに来られていた、シンガポールで通訳でお世話になった柳さんと合流して中華を食べました。
今回の宿はアパートで、夜に建築家の光嶋さんも合流して男4人の共同生活が始まりました。
アパートは快適でしたが、周りがチャイナタウンなので、初めはアメリカなのかアジアなのか何処に来たのかわかりませんでした 笑
アパートの部屋
初日、柳さんとの食事
3月1日、昼から展示作業、雨でしたが暖かい日でした。
夜7時に展示終了、とても個性豊かなブースになりました。

ときの忘れものブース


3月2日、この日は夕方6時からVIPだけのプレビューだったので、昼前から夕方まで一人で少し観光しました。
MoMA→セント・パトリック大聖堂→せっかくなのでタイムズスクエア付近を少し歩き→ホイットニー美術館に行き、会場へ。
6時にプレビュー開始、今まで主にアジア圏のアートフェアに色々と参加させて頂いた経験では、VIPプレビューはそれほど混雑しないイメージだったのですが、このart on peparはまだ新しいフェアなので、とにかくスタートを盛り上げる為に集客優先でVIPチケットをかなり多く撒いたそうで、6時のオープンと同時にもの凄い勢いで来場され、あっという間に大混雑状態で、とても活気がありました。

MoMA
セント・パトリック大聖堂
セント・パトリック大聖堂内部

ホイットニー美術館からの景色


自分の作品は3点展示していて、スペースの都合上縦積みの展示で少し位置が高めなのですが、そこに光によっては暗めに見えてしまう青い「Quiet hope」を展示したので、ちょうどライトに反射して美しく輝き、これは遠くからでも目に着きやすいかなと思っていたら見事的中、さらに入り口からの人の流れが自分の作品が目に入る方向だったので、「歩きながら美しいブルーが目に入ったよ」というお客様が多くおられ、嬉しい言葉もたくさん頂けました。
会場入口に行列
プレビュー風景


3月3日、一般公開の初日、昨日の大混雑に比べるとさすがに来場者数は少なかったですが、アメージングだ、美しいと嬉しいお言葉もたくさん頂けました。
開場前には光嶋さんオススメのパスタラミサンドのお店、KATZ'Sに行ったのですが、その肉量がもの凄く、初めは美味しいけど完食は無理でした、、
この日からニューヨークは急に寒くなり氷点下でした。
KATZ'S
3月4日、一般公開2日目、土曜日なので午後から来場者数はかなり多く、ときの忘れものブースも一日バタバタしていました。
そして自分の一番大きな作品「Quiet hope」を購入頂く事ができ、とても嬉しかったです。夕方に持って帰られたので、残り2点の配置を変えました。





夜、光嶋さんが明日の夜は一緒に晩御飯を食べられないという事で、せっかくニューヨークに来たのだから一度タイムズスクエアまで行ってミーハーにみんなで記念写真撮って飯を食おうという事になり、ちょうどフェア終了間近に来られたNY在住の大山さんがお店を探してくださり、車に乗せて頂いて、雰囲気の良い店でイタリアンを食べる事ができました。
当初4人でタイムズスクエアまで来て適当に店を探そうと思っていたのですが、この日はマイナス6℃、風が強く体感温度はさらに低く、きっと4人で来ていたら数分で店探しは断念していたと思うので本当に有り難かったです。


タイムズスクエア記念写真
NY在住の大山さんと食事
3月5日、フェア最終日。日曜という事で午後から来場者数もかなり多く混雑していました。
そして一時間程経った時に来られたお客様を、英語が堪能な光嶋さんが接客してくださっていたのですが、なんと残り2作品「Landscape#40」「Infinite」両方を購入頂けました。光嶋さんは初めてのアートフェアの現場なのにすぐに慣れ、とても接客上手で頼りになりました。
光嶋裕介さんと
という事で、今回大作が無かったとはいえ、初めて海外アートフェアで完売という嬉しい結果になりました。
海外アートフェア出展は今回で12回目、国によって無名の外国人作家にとっては難しい場所もありましたが、本場のニューヨークで、無名でも作品を純粋に評価して頂けて、買って頂けた事は自信になり、本当に嬉しかったです。
また、この時期のニューヨークはアートウィークで、アーモリー・ショーをメインにアートフェアが10箇所位で開催されているそうなのですが、普通の都市であればそんなに同時開催のフェアがあればお客様は分散しそうなものなのに、あれだけの来場者数があるというのは、アートに対するニューヨークの土壌の規模の違いを感じました。
そして、新澤さん、松下さん、光嶋さんには本当にお世話になり、男4人毎日色々話し合い、バカな話もしたり、まるで何かの合宿のようでしたが、楽しい日々でした。
またニューヨークで出展するチャンスを頂ける事があれば、できれば大作を展示して、どんな反応をして頂けるのかを見てみたいです。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
野口琢郎
「Landscape#39」
2017年
箔画(Lacquer, Gold/Silver/Platinum foil, Charcoal, Resin, Acrylic paint on Wood panel)
91×65.2cm
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
*画廊亭主敬白
ニューヨーク初挑戦は紙に特化したアートフェア Art on Paperでしたが、そのレポートを参加作家の野口琢郎さんが書いてくれました。売上げゼロのサンタフェの悲劇から立ち直り、スタッフも参加作家(今回は野口さんと光嶋裕介さん)も大きな自信を持てたようです。
昨年の今頃は亭主は病院のベッドでうんうん唸り、社長は画廊始まって以来の緊急事態に真っ青。亭主が対応するはずだった大型商談はすべてキャンセル、売り上げは激減し、いまさらながら個人商店の危うさを感じたことでした。
今回のNY挑戦は、若いスタッフたちが準備からすべてを担当し、男4人のチームで大健闘してくれました。若い作家が自作を引っさげてフェアに参加、自分の言葉で相手(コレクターたち)に伝える、そのことの可能性を大きく感じることができました(今まではどうしても草間や安藤など定番に頼ることが多かったのですが)。
明日から有楽町駅前の東京国際フォーラムで「アートフェア東京 2017」が始まります。
「海外はいいけれど国内はね」というのが従来の通り相場でしたが、昨年あたりからアートフェア東京には海外からの客も増え、売上げ的にも上昇機運にあるようです。
そのせいでしょうか、今年は招待券の希望者が今までで一番多い。例年ならチケットが余るくらいでしたが、今年は申込みが殺到し皆さんに「申し訳ありません、ご用意できません」と謝っりぱなしです。
アートフェアが一般にも認知されてきたのでしょう、いい成果を期待したいものです。

会期:2017年3月16日[木]~3月19日[日]
※プレビュー:3月16日[木]
会場:東京国際フォーラム
公式サイト:Art fair Tokyo 2017
出品:堀尾貞治、六角鬼丈、小野隆生、秋葉シスイ、松本竣介、瑛九、オノサト・トシノブ、植田正治、瀧口修造


左)小野隆生《船が見える場所 I》
2008年 テンペラ・画布 170.0×60.0cm サインあり
右)小野隆生《船が見える場所 II》
2008年 テンペラ・画布 170.0×60.0cm サインあり
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◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
ニューヨークでのart on paperを終えて
2月28日、ニューヨークでのアートフェア、art on paper出展の為に出発、成田でときの忘れものスタッフの新澤さんと松下さんと合流し、ANAでJFK空港まで乗ったのですが、松下さんがエコノミーが満席でビジネスクラスにアップグレードになり、野口さんどうぞと譲ってくださったので、お言葉に甘えて人生初のビジネスクラス乗りました!
座席が広く、リクライニングは水平までできて食事は豪華!ちょうど腰痛がキツくなっていたので、なんとも快適な空の旅でした。
今後自腹でビジネスクラス乗る事なんてまず無いと思うので、有り難い棚からぼた餅でした、松下さん本当にありがとうございました。
ビジネスクラスの食事到着後、初日の晩御飯はちょうどニューヨークに来られていた、シンガポールで通訳でお世話になった柳さんと合流して中華を食べました。
今回の宿はアパートで、夜に建築家の光嶋さんも合流して男4人の共同生活が始まりました。
アパートは快適でしたが、周りがチャイナタウンなので、初めはアメリカなのかアジアなのか何処に来たのかわかりませんでした 笑
アパートの部屋
初日、柳さんとの食事3月1日、昼から展示作業、雨でしたが暖かい日でした。
夜7時に展示終了、とても個性豊かなブースになりました。

ときの忘れものブース

3月2日、この日は夕方6時からVIPだけのプレビューだったので、昼前から夕方まで一人で少し観光しました。
MoMA→セント・パトリック大聖堂→せっかくなのでタイムズスクエア付近を少し歩き→ホイットニー美術館に行き、会場へ。
6時にプレビュー開始、今まで主にアジア圏のアートフェアに色々と参加させて頂いた経験では、VIPプレビューはそれほど混雑しないイメージだったのですが、このart on peparはまだ新しいフェアなので、とにかくスタートを盛り上げる為に集客優先でVIPチケットをかなり多く撒いたそうで、6時のオープンと同時にもの凄い勢いで来場され、あっという間に大混雑状態で、とても活気がありました。

MoMA
セント・パトリック大聖堂
セント・パトリック大聖堂内部
ホイットニー美術館からの景色

自分の作品は3点展示していて、スペースの都合上縦積みの展示で少し位置が高めなのですが、そこに光によっては暗めに見えてしまう青い「Quiet hope」を展示したので、ちょうどライトに反射して美しく輝き、これは遠くからでも目に着きやすいかなと思っていたら見事的中、さらに入り口からの人の流れが自分の作品が目に入る方向だったので、「歩きながら美しいブルーが目に入ったよ」というお客様が多くおられ、嬉しい言葉もたくさん頂けました。
会場入口に行列
プレビュー風景

3月3日、一般公開の初日、昨日の大混雑に比べるとさすがに来場者数は少なかったですが、アメージングだ、美しいと嬉しいお言葉もたくさん頂けました。
開場前には光嶋さんオススメのパスタラミサンドのお店、KATZ'Sに行ったのですが、その肉量がもの凄く、初めは美味しいけど完食は無理でした、、
この日からニューヨークは急に寒くなり氷点下でした。
KATZ'S3月4日、一般公開2日目、土曜日なので午後から来場者数はかなり多く、ときの忘れものブースも一日バタバタしていました。
そして自分の一番大きな作品「Quiet hope」を購入頂く事ができ、とても嬉しかったです。夕方に持って帰られたので、残り2点の配置を変えました。





夜、光嶋さんが明日の夜は一緒に晩御飯を食べられないという事で、せっかくニューヨークに来たのだから一度タイムズスクエアまで行ってミーハーにみんなで記念写真撮って飯を食おうという事になり、ちょうどフェア終了間近に来られたNY在住の大山さんがお店を探してくださり、車に乗せて頂いて、雰囲気の良い店でイタリアンを食べる事ができました。
当初4人でタイムズスクエアまで来て適当に店を探そうと思っていたのですが、この日はマイナス6℃、風が強く体感温度はさらに低く、きっと4人で来ていたら数分で店探しは断念していたと思うので本当に有り難かったです。


タイムズスクエア記念写真
NY在住の大山さんと食事3月5日、フェア最終日。日曜という事で午後から来場者数もかなり多く混雑していました。
そして一時間程経った時に来られたお客様を、英語が堪能な光嶋さんが接客してくださっていたのですが、なんと残り2作品「Landscape#40」「Infinite」両方を購入頂けました。光嶋さんは初めてのアートフェアの現場なのにすぐに慣れ、とても接客上手で頼りになりました。
光嶋裕介さんとという事で、今回大作が無かったとはいえ、初めて海外アートフェアで完売という嬉しい結果になりました。
海外アートフェア出展は今回で12回目、国によって無名の外国人作家にとっては難しい場所もありましたが、本場のニューヨークで、無名でも作品を純粋に評価して頂けて、買って頂けた事は自信になり、本当に嬉しかったです。
また、この時期のニューヨークはアートウィークで、アーモリー・ショーをメインにアートフェアが10箇所位で開催されているそうなのですが、普通の都市であればそんなに同時開催のフェアがあればお客様は分散しそうなものなのに、あれだけの来場者数があるというのは、アートに対するニューヨークの土壌の規模の違いを感じました。
そして、新澤さん、松下さん、光嶋さんには本当にお世話になり、男4人毎日色々話し合い、バカな話もしたり、まるで何かの合宿のようでしたが、楽しい日々でした。
またニューヨークで出展するチャンスを頂ける事があれば、できれば大作を展示して、どんな反応をして頂けるのかを見てみたいです。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
野口琢郎「Landscape#39」
2017年
箔画(Lacquer, Gold/Silver/Platinum foil, Charcoal, Resin, Acrylic paint on Wood panel)
91×65.2cm
Signed
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
*画廊亭主敬白
ニューヨーク初挑戦は紙に特化したアートフェア Art on Paperでしたが、そのレポートを参加作家の野口琢郎さんが書いてくれました。売上げゼロのサンタフェの悲劇から立ち直り、スタッフも参加作家(今回は野口さんと光嶋裕介さん)も大きな自信を持てたようです。
昨年の今頃は亭主は病院のベッドでうんうん唸り、社長は画廊始まって以来の緊急事態に真っ青。亭主が対応するはずだった大型商談はすべてキャンセル、売り上げは激減し、いまさらながら個人商店の危うさを感じたことでした。
今回のNY挑戦は、若いスタッフたちが準備からすべてを担当し、男4人のチームで大健闘してくれました。若い作家が自作を引っさげてフェアに参加、自分の言葉で相手(コレクターたち)に伝える、そのことの可能性を大きく感じることができました(今まではどうしても草間や安藤など定番に頼ることが多かったのですが)。
明日から有楽町駅前の東京国際フォーラムで「アートフェア東京 2017」が始まります。
「海外はいいけれど国内はね」というのが従来の通り相場でしたが、昨年あたりからアートフェア東京には海外からの客も増え、売上げ的にも上昇機運にあるようです。
そのせいでしょうか、今年は招待券の希望者が今までで一番多い。例年ならチケットが余るくらいでしたが、今年は申込みが殺到し皆さんに「申し訳ありません、ご用意できません」と謝っりぱなしです。
アートフェアが一般にも認知されてきたのでしょう、いい成果を期待したいものです。

会期:2017年3月16日[木]~3月19日[日]
※プレビュー:3月16日[木]
会場:東京国際フォーラム
公式サイト:Art fair Tokyo 2017
出品:堀尾貞治、六角鬼丈、小野隆生、秋葉シスイ、松本竣介、瑛九、オノサト・トシノブ、植田正治、瀧口修造


左)小野隆生《船が見える場所 I》
2008年 テンペラ・画布 170.0×60.0cm サインあり
右)小野隆生《船が見える場所 II》
2008年 テンペラ・画布 170.0×60.0cm サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
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