野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第44回
松下幸之助歴史館への大作の設置
以前から少し書いていた176×320cmの新作の大作ですが、先日無事に現場に設置が完了しました。
設置されたのは大阪の門真市にある3月7日にリニューアルオープンした松下幸之助歴史館のエントランス付近です。



実はこの作品の制作依頼はちょっと変わったご縁で頂きました。
パナソニックは今年創業100周年を迎え、日本全国にあるパナソニック直営の町の電気屋さん約7000店舗からメーカーのパナソニックへ記念の寄贈作品を送るという事になり、昨年末、その寄贈プロジェクトを仕切る4人の電気屋の社長さんが依頼する作家を探している時に、その中のお一人が偶然BSのテレビ番組に映った野口家を観て、すぐに家に来られ、父と僕の作品を気に入ってくださり、その後何度か打ち合わせをして正式に制作をする事になりました。
それにしても、そのBSの番組というのは京都の町家の庭に来る野鳥を撮るという番組で、作品は部屋が映る一瞬しか映っていないのに、よくそれでこんな大事なお仕事に繋がったものだと、何処にご縁があるかなんてわからないものだなと思いました。
それともう一つ不思議だったのが、テレビを観て初めに家に来られた三重県の電気屋の社長さんのお名前が東松さんだった事、アポイントのお電話を頂いた時に父がお名前を伺って、僕が東松照明さんの助手だった事もあり、珍しいお名前なので親戚の方かと思ったそうなのですが、全くご関係はありませんでした。
そんな事で年明けに現場の視察に行き、本格的に制作を始めたのですが、過去にも依頼作品に要望やお題がある事は何度かありましたが、寄贈作品というのは初めてのことで、構想はかなり悩みました。
依頼者の皆さんのコンセプトは「メーカー、町の電気屋、そしてお客様との絆」と「今までの100年、これからの100年」僕の作風でそれを表現するには、夜明けの光に向かって飛ぶ3羽の鳥という絵がわかりやすく浮かんだのですが、ただ現場の視察に行った時に、その内装や雰囲気を見て、この空間に合うのはLandscapeだなと感じました。
また、この現場の主役は松下幸之助さん、自分の作品はあまり主張しないで場に馴染むという事が大事なのではと考えたり、この建築や内装を設計されたデザイナーの方には空間全体のコンセプトがきっとあると思うので、統一感を壊すようなものはやめてくれよときっと思っておられると考えたり、、でも寄贈者の皆さんは、自分達がこの作品を寄贈したのだというインパクトを求めておられる空気はあったので、自分は何を優先すべきなのかと、少し混乱しました。
この悩みを寄贈者の代表者の方々に正直にお伝えした所、現場の責任者の方にも意見を聞いて頂き、野口さんの好きなようにやってくださいとの事だったので、悩むのはやめて、まずは依頼者皆さんの思いを優先しようと思い、初めに思いついたイメージ通り、夜明けの海を飛ぶ3羽の鳥の絵に決めました。
野口琢郎
「絆」
2018年
小さく鳥が3羽飛んでいます
そして2月半ばに作品は無事に完成し、いつもお世話になっている額屋の大地堂さんに特注で制作頂いていた大きな額を見事にはめて頂き、トラックで輸送、2月20日に無事に設置が済みました。
実はこの原稿を書いているのはまだ2月末で、3月1日に寄贈者の皆さんやパナソニックの方などが出席する贈呈式に出席致しますので、その時の事は来月以降に書こうと思います。



また、3月は昨年に続きときの忘れものさんのブースからニューヨークで開催されるArt on Paper 2018に出展致します。京都はせっかく暖かくなってきたのに、きっとニューヨークはものすごく寒いのだと思いますが、良い結果を残して元気に帰ってこられるように頑張りたいと思います。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は野口琢郎です。

野口琢郎 "Wish -Sound of the sky-"
2016年 箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
102.0×185.0cm Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
詳細な記録を収録した4分冊からなるカタログは、ときの忘れもので扱っています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約280点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。
【トークイベント】ウォーホルの版画ができるまで―現代版画センターの軌跡
日時:3月18日 (日) 14:00~16:30
第1部:西岡文彦 氏(伝統版画家 多摩美術大学教授)、聞き手:梅津元(当館学芸員)
第2部:石田了一 氏(刷師 石田了一工房主宰)、聞き手:西岡文彦 氏
場所:2階講堂
定員:100名 (当日先着順)/費用:無料
~~~
○<いつもメルマガをありがとうございます。
「版画の景色」展についてのフェースブック、様々な方々の発言を興味深く読ませていただいています。
当時のことをリアルタイムでは知らない人たちが、それでもこれだけ熱く語るというのは、版画センターの活動がただの歴史ではなく今なお継続し(形を変えて)、現在進行形で情報を発信しつずけていらっしゃるからこそだろうと感じています。
とりわけ「ときの忘れもの」の若いスタッフの皆さんの言葉が、心に残ります。
(中略)
埼玉県美には、もう一度くらいは観に行こうと思っています。
(20180314/堀浩哉さんからのメールより)>
○<きょう「埼玉県立近代美術館」に行ってきました。ゆっくり観ることが出来ました。
あらためて綿貫さんは凄い仕事をされたんだなあと驚嘆致しました。
綿貫さん、獅子奮迅東奔西走南船北馬。あぁ‥これでは体を壊すなぁ、なんて年表見てこころ傷みました。
それにしてもこの豊かな収穫‼︎お見事‼︎
綿貫さん一人の気高い魂の結晶だと思いました。
版画センター初期の頃ほんの少しその場において頂いた事、誇らしく無上の喜びと思っております。NHK日曜美術館で西岡文彦さん拝見致しました。当時と変わりませんね(笑)
お体大切に一層活躍されんことを祈念しております。
(20180313/OHさんからのメールより)>
○<埼玉県立近代美術館の版画の景色よかったよ!
草間彌生の帽子は銀河系をそのままかぶれそうだし
駒井哲郎の芽生えは宇宙の創生みたいだし。
でもなんだか宮脇愛子の、緻密な罅のようなラインで構成された図形や滝のような濃淡の抽象が一番観念的宇宙を感じて好きだった(N)
(20180312/北浦和朗読研究会さんのtwitterより)>
~~~
○西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色」は1月24日、2月14日、3月14日の全3回掲載しました。
草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。
○光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について」(1月28日ブログ)
○荒井由泰さんのエッセイ「版画の景色―現代版画センターの軌跡展を見て」(1月31日ブログ)
○スタッフたちが見た「版画の景色」(2月4日ブログ)
○倉垣光孝さんと浪漫堂のポスター(2月8日ブログ)
○嶋﨑吉信さんのエッセイ~「紙にインクがのっている」その先のこと(2月12日ブログ)
○大谷省吾さんのエッセイ~「版画の景色-現代版画センターの軌跡」はなぜ必見の展覧会なのか(2月16日ブログ)
○植田実さんのエッセイ「美術展のおこぼれ 第47回」(3月4日ブログ)
○土渕信彦さんのエッセイ<埼玉県立近代美術館「版画の景色ー現代版画センターの軌跡」展を見て>(3月8日ブログ)
○現代版画センターに参加した刷り師たち(3月11日ブログ)
○現代版画センターの生みの親 井上房一郎と久保貞次郎(3月13日ブログ)
○塩野哲也さんの編集思考室シオング発行のWEBマガジン[ Colla:J(コラージ)]2018 2月号が展覧会を取材し、87~95ページにかけて特集しています。
○毎日新聞2月7日夕刊の美術欄で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は永田晶子さん、見出しは<「志」追った運動体>。
○3月4日のNHK日曜美術館のアートシーンで紹介されました。
○朝日新聞3月13日夕刊の美術欄で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は小川雪さん、見出は<版画に込めた情熱と実験精神>。
○月刊誌『建築ジャーナル』2018年3月号43ページに特集が組まれ、見出しは<運動体としての版画表現 時代を疾走した「現代版画センター」を検証する>。
○埼玉県立近代美術館の広報誌 ソカロ87号で1983年のウォーホル全国展が紹介されています。
○同じく、同館の広報誌ソカロ88号には栗原敦さん(実践女子大学名誉教授)の特別寄稿「現代版画センター運動の傍らでー運動のはるかな精神について」が掲載されています。
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○現代版画センターエディションNo.628 磯崎新「MOCA #1」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
磯崎新
「MOCA #1」
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
73.0×103.5cm
Ed.75 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

出品作家45名:靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄
◆ときの忘れものは「植田正治写真展ー光と陰の世界ーPart Ⅱ」を開催しています。
会期:2018年3月13日[火]―3月31日[土] 11:00-19:00
※日・月・祝日休廊(但し3月25日[日]は開廊)
昨年5月に開催した「Part I」に続き、1970年代~80年代に制作された大判のカラー作品や新発掘のポラロイド写真など約20点をご覧いただきます。

●書籍・カタログのご案内
『植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録
2018年3月8日刊行
ときの忘れもの 発行
24ページ
B5判変形
図版18点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:800円(税込)※送料別途250円

『植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録
2017年
ときの忘れもの 発行
36ページ
B5判
図版33点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
価格:800円(税込)※送料別途250円
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・新連載・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。
●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。18~24頁にときの忘れものが特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
松下幸之助歴史館への大作の設置
以前から少し書いていた176×320cmの新作の大作ですが、先日無事に現場に設置が完了しました。
設置されたのは大阪の門真市にある3月7日にリニューアルオープンした松下幸之助歴史館のエントランス付近です。



実はこの作品の制作依頼はちょっと変わったご縁で頂きました。
パナソニックは今年創業100周年を迎え、日本全国にあるパナソニック直営の町の電気屋さん約7000店舗からメーカーのパナソニックへ記念の寄贈作品を送るという事になり、昨年末、その寄贈プロジェクトを仕切る4人の電気屋の社長さんが依頼する作家を探している時に、その中のお一人が偶然BSのテレビ番組に映った野口家を観て、すぐに家に来られ、父と僕の作品を気に入ってくださり、その後何度か打ち合わせをして正式に制作をする事になりました。
それにしても、そのBSの番組というのは京都の町家の庭に来る野鳥を撮るという番組で、作品は部屋が映る一瞬しか映っていないのに、よくそれでこんな大事なお仕事に繋がったものだと、何処にご縁があるかなんてわからないものだなと思いました。
それともう一つ不思議だったのが、テレビを観て初めに家に来られた三重県の電気屋の社長さんのお名前が東松さんだった事、アポイントのお電話を頂いた時に父がお名前を伺って、僕が東松照明さんの助手だった事もあり、珍しいお名前なので親戚の方かと思ったそうなのですが、全くご関係はありませんでした。
そんな事で年明けに現場の視察に行き、本格的に制作を始めたのですが、過去にも依頼作品に要望やお題がある事は何度かありましたが、寄贈作品というのは初めてのことで、構想はかなり悩みました。
依頼者の皆さんのコンセプトは「メーカー、町の電気屋、そしてお客様との絆」と「今までの100年、これからの100年」僕の作風でそれを表現するには、夜明けの光に向かって飛ぶ3羽の鳥という絵がわかりやすく浮かんだのですが、ただ現場の視察に行った時に、その内装や雰囲気を見て、この空間に合うのはLandscapeだなと感じました。
また、この現場の主役は松下幸之助さん、自分の作品はあまり主張しないで場に馴染むという事が大事なのではと考えたり、この建築や内装を設計されたデザイナーの方には空間全体のコンセプトがきっとあると思うので、統一感を壊すようなものはやめてくれよときっと思っておられると考えたり、、でも寄贈者の皆さんは、自分達がこの作品を寄贈したのだというインパクトを求めておられる空気はあったので、自分は何を優先すべきなのかと、少し混乱しました。
この悩みを寄贈者の代表者の方々に正直にお伝えした所、現場の責任者の方にも意見を聞いて頂き、野口さんの好きなようにやってくださいとの事だったので、悩むのはやめて、まずは依頼者皆さんの思いを優先しようと思い、初めに思いついたイメージ通り、夜明けの海を飛ぶ3羽の鳥の絵に決めました。
野口琢郎「絆」
2018年
小さく鳥が3羽飛んでいますそして2月半ばに作品は無事に完成し、いつもお世話になっている額屋の大地堂さんに特注で制作頂いていた大きな額を見事にはめて頂き、トラックで輸送、2月20日に無事に設置が済みました。
実はこの原稿を書いているのはまだ2月末で、3月1日に寄贈者の皆さんやパナソニックの方などが出席する贈呈式に出席致しますので、その時の事は来月以降に書こうと思います。



また、3月は昨年に続きときの忘れものさんのブースからニューヨークで開催されるArt on Paper 2018に出展致します。京都はせっかく暖かくなってきたのに、きっとニューヨークはものすごく寒いのだと思いますが、良い結果を残して元気に帰ってこられるように頑張りたいと思います。
(のぐち たくろう)
■野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
●今日のお勧め作品は野口琢郎です。

野口琢郎 "Wish -Sound of the sky-"
2016年 箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
102.0×185.0cm Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
詳細な記録を収録した4分冊からなるカタログは、ときの忘れもので扱っています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約280点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。【トークイベント】ウォーホルの版画ができるまで―現代版画センターの軌跡
日時:3月18日 (日) 14:00~16:30
第1部:西岡文彦 氏(伝統版画家 多摩美術大学教授)、聞き手:梅津元(当館学芸員)
第2部:石田了一 氏(刷師 石田了一工房主宰)、聞き手:西岡文彦 氏
場所:2階講堂
定員:100名 (当日先着順)/費用:無料
~~~
○<いつもメルマガをありがとうございます。
「版画の景色」展についてのフェースブック、様々な方々の発言を興味深く読ませていただいています。
当時のことをリアルタイムでは知らない人たちが、それでもこれだけ熱く語るというのは、版画センターの活動がただの歴史ではなく今なお継続し(形を変えて)、現在進行形で情報を発信しつずけていらっしゃるからこそだろうと感じています。
とりわけ「ときの忘れもの」の若いスタッフの皆さんの言葉が、心に残ります。
(中略)
埼玉県美には、もう一度くらいは観に行こうと思っています。
(20180314/堀浩哉さんからのメールより)>
○<きょう「埼玉県立近代美術館」に行ってきました。ゆっくり観ることが出来ました。
あらためて綿貫さんは凄い仕事をされたんだなあと驚嘆致しました。
綿貫さん、獅子奮迅東奔西走南船北馬。あぁ‥これでは体を壊すなぁ、なんて年表見てこころ傷みました。
それにしてもこの豊かな収穫‼︎お見事‼︎
綿貫さん一人の気高い魂の結晶だと思いました。
版画センター初期の頃ほんの少しその場において頂いた事、誇らしく無上の喜びと思っております。NHK日曜美術館で西岡文彦さん拝見致しました。当時と変わりませんね(笑)
お体大切に一層活躍されんことを祈念しております。
(20180313/OHさんからのメールより)>
○<埼玉県立近代美術館の版画の景色よかったよ!
草間彌生の帽子は銀河系をそのままかぶれそうだし
駒井哲郎の芽生えは宇宙の創生みたいだし。
でもなんだか宮脇愛子の、緻密な罅のようなラインで構成された図形や滝のような濃淡の抽象が一番観念的宇宙を感じて好きだった(N)
(20180312/北浦和朗読研究会さんのtwitterより)>
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○西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色」は1月24日、2月14日、3月14日の全3回掲載しました。
草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。
○光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について」(1月28日ブログ)
○荒井由泰さんのエッセイ「版画の景色―現代版画センターの軌跡展を見て」(1月31日ブログ)
○スタッフたちが見た「版画の景色」(2月4日ブログ)
○倉垣光孝さんと浪漫堂のポスター(2月8日ブログ)
○嶋﨑吉信さんのエッセイ~「紙にインクがのっている」その先のこと(2月12日ブログ)
○大谷省吾さんのエッセイ~「版画の景色-現代版画センターの軌跡」はなぜ必見の展覧会なのか(2月16日ブログ)
○植田実さんのエッセイ「美術展のおこぼれ 第47回」(3月4日ブログ)
○土渕信彦さんのエッセイ<埼玉県立近代美術館「版画の景色ー現代版画センターの軌跡」展を見て>(3月8日ブログ)
○現代版画センターに参加した刷り師たち(3月11日ブログ)
○現代版画センターの生みの親 井上房一郎と久保貞次郎(3月13日ブログ)
○塩野哲也さんの編集思考室シオング発行のWEBマガジン[ Colla:J(コラージ)]2018 2月号が展覧会を取材し、87~95ページにかけて特集しています。
○毎日新聞2月7日夕刊の美術欄で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は永田晶子さん、見出しは<「志」追った運動体>。
○3月4日のNHK日曜美術館のアートシーンで紹介されました。
○朝日新聞3月13日夕刊の美術欄で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は小川雪さん、見出は<版画に込めた情熱と実験精神>。
○月刊誌『建築ジャーナル』2018年3月号43ページに特集が組まれ、見出しは<運動体としての版画表現 時代を疾走した「現代版画センター」を検証する>。
○埼玉県立近代美術館の広報誌 ソカロ87号で1983年のウォーホル全国展が紹介されています。
○同じく、同館の広報誌ソカロ88号には栗原敦さん(実践女子大学名誉教授)の特別寄稿「現代版画センター運動の傍らでー運動のはるかな精神について」が掲載されています。
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○現代版画センターエディションNo.628 磯崎新「MOCA #1」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
磯崎新「MOCA #1」
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
73.0×103.5cm
Ed.75 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。

出品作家45名:靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄
◆ときの忘れものは「植田正治写真展ー光と陰の世界ーPart Ⅱ」を開催しています。
会期:2018年3月13日[火]―3月31日[土] 11:00-19:00
※日・月・祝日休廊(但し3月25日[日]は開廊)
昨年5月に開催した「Part I」に続き、1970年代~80年代に制作された大判のカラー作品や新発掘のポラロイド写真など約20点をご覧いただきます。

●書籍・カタログのご案内
『植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録2018年3月8日刊行
ときの忘れもの 発行
24ページ
B5判変形
図版18点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:800円(税込)※送料別途250円

『植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録
2017年
ときの忘れもの 発行
36ページ
B5判
図版33点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
価格:800円(税込)※送料別途250円
◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
・新連載・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」は英文版とともに随時更新します。
・深野一朗のエッセイは随時更新します。
・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。
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