野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第46回

新作制作

3月のニューヨークのアートフェアが終わり、少しだけのんびり時間を過ごしました。
だいたいアートフェアなどの展示機会は夏以降、秋冬に集中していたので、年末年始もバタバタ制作して、この2年は締めがニューヨークのアートフェアという形でした。
とはいえのんびりもしていられないので、9月に予定しているときの忘れものさんでの個展の為の新作制作を開始しました。

まず1点目、昨年一度作って、これは面白いから進化系を作ろうと思っていた凸凹作品です。
サイズは前作F4号より大きなM8号(45.5×27.3cm)で、凸凹の分もう一回り大きくなっています。
前作は平面のパネルに立方体を貼っただけでしたが、今回は凹部分を彫刻刀で彫り、凸部分に半分の高さのものもあるのでだいぶ変化がでました。
あと、前作は角材を電鋸で切っていたのですが、家にある電鋸が安物で、取替え刃も細かいものが無く切断面が荒かったので、今回は手ノコで切った分美しいです、ただ何百個と切るのはなかなか疲れました。

前作の「conflict」2017前作の「conflict」2017


1点目下地作り1点目下地作り


1点目下地a


1点目下地b


1点目箔押し途中1点目箔押し途中


そしてこの1点目に金箔を押している時に、もう1点対になる作品を作ろうと考え、新作2点目、凸凹作品縦長バージョン(53×24cm)の制作に入りました。
またまた手ノコで切って一つ一つヤスリがけして、もう何かの駒作り職人にでもなった気分でした 笑
そしてこうゆう作品制作はたいがい何点も作るごとにエスカレートしてくるので、より貼り付ける数が多くなりました。
箔押しは全体をプラチナ箔にしたので、凸凹2点並べると対照的で、共に面白い作品になったと思いますので、個展でぜひ現物を観て頂ければと思います。

2点目下地作り2点目下地作り


2点目下地a


2点目下地b


2点目箔押し途中2点目箔押し途中


のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
20180515_Landscape#43_600野口琢郎
"Landscape#43"
2018年
箔画(紙、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
102.0×185.0cm
Signed

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


◆ときの忘れものは「没後70年 松本竣介展」を開催しています。
会期:2018年5月8日[火]―6月2日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

ときの忘れものは生誕100年だった2012年に初めて「松本竣介展」を前期・後期にわけて開催しました。あれから6年、このたびは小規模ですが「没後70年 松本竣介展」を開催します。本展では素描約16点をご覧いただきます。
201804MATSUMOTO_DM


「没後70年 松本竣介展」出品作品を順次ご紹介します
14出品No.7)
松本竣介
《作品》

紙に鉛筆
Image size: 33.0x24.0cm
Sheet size: 35.7x28.0cm


14_裏(裏面)


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●本展の図録を刊行しました
MATSUMOTO_catalogue『没後70年 松本竣介展』
2018年
ときの忘れもの 刊行
B5判 24ページ 
テキスト:大谷省吾(東京国立近代美術館美術課長)
作品図版:16点
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
税込800円 ※送料別途250円


◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18~24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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