小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第18回
先日、山本夏彦が創刊した伝説の雑誌『室内』のバックナンバーを大量に仕入れてきました。
年代は80年代~90年代が中心の「少し古いかな?」というあたりです。

創刊間もない『木工界』(のちに『室内』に改題)は古書としての価値がありますが、80年代くらいのバックナンバーは、まさにいま読むためのもの。
「建築家が工夫した小さい家」「トイレ変身」「ディスコ」(!)「名作椅子のある室内」・・・なんていう特集タイトルだけ眺めてもおもしろいですが、中身も最高です。

「図面が読めるわけではないし・・・」「専門的過ぎて・・・」なんて思うあなた!
編集しているのは、当代きってのコラムニストでもあったあの山本夏彦。読み物部分がおもしろくないわけがありません。
吉村昭、武田百合子などの作家から建築関係者、歴史家など様々な職業の方々が、コラムを寄せる「百家争鳴」のコーナーは、これだけで一冊の本にしてもいいくらいの面白さ。書き手の気合と、いい具合に肩の力が抜けた感じが、矛盾せず程よいバランスで、いつ読んでも面白い。

また個人的には、話題のショップ関連や流通小売の方々のインタビューが載っている号が多いのも〇。こういうのは一冊の本にまとまらないので、雑誌で読むしかないんですよね。
食い入るように読んだのは、「西友『無印良品』物語」や「増田通二 パルコが始めるインテリアビル」など。今では当たり前のようなショップや企画が、同時代的にどういう記事になって、どのように捉えられていたのか、その臨場感を味わうのが少し古めの雑誌を読む醍醐味でもあります。


しかし、今回たくさんのバックナンバーにざっと目を通して、あらためて『室内』の完成度の高さに目を見張りました。硬軟あわせもつ素晴らしい雑誌だったんだなぁ。

そんな雑誌が、なんと100円!十年後に手に入れようと思ったら、この何倍もしてしまうかもしれません。買うなら今です!
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●今日のお勧めは笹島喜平です。
笹島喜平
《不動明王No68》
1976年
木版・拓刷り(作家自摺り)
61.0x46.0cm
Ed.30(9/30) Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ただいま冬季休廊中
ときの忘れものは1月7日(月)までは冬季休廊中、新年の営業は1月8日(火)からです。
ブログは年中無休、毎日更新していますのでお楽しみください。
◆ときの忘れものは「第27回瑛九展 」を開催します。
会期:2019年1月8日[火]―1月26日[土] 11:00-19:00※日・月・祝日休廊

ときの忘れものは3月末開催のアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展することになりました。
香港に作品を持って行く前に、ギャラリーで出品作品を公開いたします。
瑛九がさまざまな技法で試みた「光の絵画」への志向が最後に行き着いたのが点描で画面全体を埋め尽くす独自の抽象絵画でした。本展では輝くばかりの100号の油彩大作《海の原型》(1958年)など代表作ほか、カメラを使わず印画紙に直接光を当ててデッサンする「フォトデッサン(フォトグラム)」など1930年代最初期から最晩年までの作品をご覧いただきます。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

先日、山本夏彦が創刊した伝説の雑誌『室内』のバックナンバーを大量に仕入れてきました。
年代は80年代~90年代が中心の「少し古いかな?」というあたりです。

創刊間もない『木工界』(のちに『室内』に改題)は古書としての価値がありますが、80年代くらいのバックナンバーは、まさにいま読むためのもの。
「建築家が工夫した小さい家」「トイレ変身」「ディスコ」(!)「名作椅子のある室内」・・・なんていう特集タイトルだけ眺めてもおもしろいですが、中身も最高です。

「図面が読めるわけではないし・・・」「専門的過ぎて・・・」なんて思うあなた!
編集しているのは、当代きってのコラムニストでもあったあの山本夏彦。読み物部分がおもしろくないわけがありません。
吉村昭、武田百合子などの作家から建築関係者、歴史家など様々な職業の方々が、コラムを寄せる「百家争鳴」のコーナーは、これだけで一冊の本にしてもいいくらいの面白さ。書き手の気合と、いい具合に肩の力が抜けた感じが、矛盾せず程よいバランスで、いつ読んでも面白い。

また個人的には、話題のショップ関連や流通小売の方々のインタビューが載っている号が多いのも〇。こういうのは一冊の本にまとまらないので、雑誌で読むしかないんですよね。
食い入るように読んだのは、「西友『無印良品』物語」や「増田通二 パルコが始めるインテリアビル」など。今では当たり前のようなショップや企画が、同時代的にどういう記事になって、どのように捉えられていたのか、その臨場感を味わうのが少し古めの雑誌を読む醍醐味でもあります。


しかし、今回たくさんのバックナンバーにざっと目を通して、あらためて『室内』の完成度の高さに目を見張りました。硬軟あわせもつ素晴らしい雑誌だったんだなぁ。

そんな雑誌が、なんと100円!十年後に手に入れようと思ったら、この何倍もしてしまうかもしれません。買うなら今です!
(おくに たかし)
■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。
●今日のお勧めは笹島喜平です。
笹島喜平《不動明王No68》
1976年
木版・拓刷り(作家自摺り)
61.0x46.0cm
Ed.30(9/30) Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ただいま冬季休廊中
ときの忘れものは1月7日(月)までは冬季休廊中、新年の営業は1月8日(火)からです。
ブログは年中無休、毎日更新していますのでお楽しみください。
◆ときの忘れものは「第27回瑛九展 」を開催します。
会期:2019年1月8日[火]―1月26日[土] 11:00-19:00※日・月・祝日休廊

ときの忘れものは3月末開催のアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展することになりました。
香港に作品を持って行く前に、ギャラリーで出品作品を公開いたします。
瑛九がさまざまな技法で試みた「光の絵画」への志向が最後に行き着いたのが点描で画面全体を埋め尽くす独自の抽象絵画でした。本展では輝くばかりの100号の油彩大作《海の原型》(1958年)など代表作ほか、カメラを使わず印画紙に直接光を当ててデッサンする「フォトデッサン(フォトグラム)」など1930年代最初期から最晩年までの作品をご覧いただきます。
●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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