スタッフSの海外ネットサーフィン
No.101「Duchamp Research Portal」
Philadelphia Museum of Art、Centre Pompidou, Association Marcel Duchamp


 読者の皆様こんにちは。春(?)の陽気が続き、布団もそろそろしまい時かと思いきや、連日の雨で冷え冷えとした日々が戻ってきた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? 今年の桜は陽気と雨であっという間に咲いて散ってしまい、物悲しく思う暇もなかったスタッフSこと新澤です。

 本日ご紹介するのは期間限定のイベントではなく、恒常的に利用できるポータルサイト「Duchamp Research Portal」です。その名前の通り、20世紀の美術界に最も大きな影響を与えたと言っても過言ではないだろう作家、マルセル・デュシャンの作品や資料を網羅するウェブサイトです。

20220426_01
Duchamp Research Portalトップページ。総数18,000以上の作品・資料の中からランダムで6点が表示されます。

 サイトの開設にはフィラデルフィア美術館、ポンピドゥー・センター、マルセル・デュシャン協会の3団体が関わっています。デュシャンの作品の大部分を所蔵するフィラデルフィア美術館と、絵画や自筆ノート、マン・レイによるデュシャンの写真コレクションなど、デュシャンの全キャリアを辿ることのできる包括的な作品群を収蔵するポンピドゥー・センター、この2館が手を取り合うことにより、合計1万8000点以上の資料や作品に無料でアクセスできる、夢のようなサービスが実現しました。

20220426_02
デュシャンの代表作《泉》の項目。作品・資料によっては画像と数値だけではなく、文章による説明も掲載されています。

 デュシャンといえば、後半生ではほぼ制作を行わず、チェスに没頭したことで有名ですが、このサイトにかかればかの有名なレディメイドの代表作である《泉》や、1910年代初期の油彩作品やドローイング作品も見放題ですし、資料として作家のアイデアノートから米国の滞在延長申請書までデジタル化されて参照可能という、まさに「網羅」と言葉に相応しい規模を誇っています。

20220426_03
デュシャンの米国滞在期間延長申請書。このような公文書も一文字単位にまで拡大して見分することが可能です。

 マルセル・デュシャンという作家に少しでも興味があれば、何処を見ても宝の山ですので是非ともご覧になってみてください。サイトは英語とフランス語でしか表示されませんが、そもそも項目が4つのみと非常にシンプルなサイト構成になっているので、迷うことはありません。
(しんざわ ゆう)

Duchamp Research Portal(英語/フランス語)

・「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。

生誕110年 松本竣介展
会期=2022年5月10日(火)~5月28日(土)※日・月・祝日休廊
生誕110年 松本竣介展DM表生誕110年 松本竣介展DM裏


●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。