植田実先生は、毎週木曜日の3限目に「日本大学生産工学部建築工学科 居住空間デザインコース」で講師をしている。「私の仕事・現在」というタイトルの今学期の授業は、「建築関係の仕事といっても設計が全てではない」ということを生徒たちに伝えたいということで、何らかの形で建築に関わる仕事をしている人を招き、植田先生の質問に答えるという授業形式。そこで、“建築を勉強していたが、建築に進まなかった人”というので私は適役だったみたい(?)なので、第二回の授業は私がゲストとして参加し、津田沼キャンパスにお出かけ。

 一日講師なんてそうあるものではない。しかも大学だし・・・喋れるかな~不安を除くためにアルコールの力を借りたい気分。私の場合、前もって話す内容を準備したら棒読みになるのは目に見えているので、アドリブで話すことにした。

 13時少し遅れて教室に入った。女性のみの生徒さんが30名くらい、後ろの方から席が埋まっていってた。(私も学生の頃は後ろに座るタイプだったが、最近では前の方に座りたいと思うようになった。)まず植田先生から紹介を与り、「ときの忘れもの」とは一体どんな会社なのかを説明した。これは前もって質問されるとわかっていたので、前日に「ときの忘れもの」とは一体どんな会社なのかを綿貫さんに聞いていた。版画を作家さんに描いてもらう話や、実際にどんな刊行物があるかを見てもらった。また、母校・神戸芸術工科大学での課題設計や卒業論文・制作の内容、一度は建築家になりたいと思った理由、もう図面描くのは嫌だと思ったこともあるけれど建築は好きだ、ということなど・・・あっという間に1時間半が過ぎた。

 あれでも私は精一杯でした。淡白だったかもしれないけど棒読みではなかったと思う。無意識に話を終わらせている私は、チラッと植田先生を見て何度もフォローしてもらった。緊張というよりは興奮に近いもので、終った後は心地よい疲労感を味わえた。エネルギーのいる仕事だ。19時近くまで院生の人たちと話した。同じようなことを学んできた同士、共感できることも多い。彼女たちも図面描くのを嫌だと思ったことがあるそうだが、やっぱりみんな建築が好きなんだな~。
               (おだちれいこ)