“ときの忘れもの”今週のオークション 2008.03.14
------------------------------
<<ギャラリーときの忘れものだより>>
------------------------------
20080314ヴァンニ220080314ヴァンニ本日より画廊では「ジャン・ベルト・ヴァンニ『love-ラブ-』出版記念展」が始まりました。早速若い女性たちがサインを貰いに来廊され、ヴァンニさんゴキゲンで、一冊一冊に相手のお名前と絵(スケッチ)まで描いている。
展示作品は、半透明の薄い紙に着色したものをキャンバスの上に幾重にも貼り、部分的に剥すことで多様な色彩世界をその独特のマチエールの画面に現出させています。また、メタリックな画材を使うことで、光を作品の一部としています。ほかにも、エッグ・テンペラに金を使った作品や、幻想的な水彩作品を併せて展示してます。また、絵本『love-ラブ-』のオリジナルや、そのコンセプトに関する資料などもご覧いただけます。
明日15日(土)16時から作家によるサイン会、17時からはオープニングパーテイを行いますので、ぜひお出かけください。
------------------------------
<<今週の話題~オリジナル・プリント>>
------------------------------
先日、「オリジナル・プリント販売の現状と展望」というセミナーで、写真家の細江英公先生のお話を伺いました。アメリカでは、20世紀初頭、アルフレッド・スティーグリッツがいかに写真をアートとして認めさせ、美術館に収蔵させるか奔走したのに対し、日本では、長い間写真のプリントは、印刷原稿として扱われ、ネガがあればまた焼けるからと大切にされませんでした。その結果、写真の重要な役割の一つが「記録」であるのに、そのプリント自体が残されていなかったという現象が起きたわけです。あの木村伊兵衛は、わざわざ三日三晩かけて自分のプリントを燃やしてしまったということも伺いました。どうして、そこまでする必要があったのかと思いますが、細江先生はその原因のひとつとして、日本家屋の狭さがあるのではないかとおっしゃっていました。家業が質屋だった桑原甲子雄は蔵があったため膨大な量のプリントを保存できたそうです。木村のプリントも、もし、残っていればヴィンテージとして非常に貴重なものになっていたはずです。もう少し早く意識の転換があったらと悔やまれます。
写真家の方のためのセミナーでしたが、たいへん貴重な話を伺うことができました。(スタッフ 三浦次郎)
------------------------------
<<今週の一点>>
------------------------------
◎木村茂 銅版画集「武蔵野」1975年銅版5点入 文/松永伍一
武蔵野
繊細なタッチで風景を叙情的に描く版画家、木村茂が武蔵野の風景を5点の銅版画に定着させた版画集です。この版画集には、先日亡くなった詩人で評論家の松永伍一さんが「武蔵野の風韻」という題で武蔵野への思いを寄せています。

-----------------------
<<今週のオークションから>>
-----------------------
今週も引き続きD氏旧蔵の作品をご紹介します。お好きな方に楽しんでいただけたらと思います。
◎D氏コレクション特集/増井英 銅版画「西方の人」
増井英