[ソフトカバーからハードカバーへ 写真家植田実の誕生] 原茂  

植田実写真展が展示換えになったということで駆けつけました。ブログでは一番横幅の短い壁面が総とっかえになったということですが、よく見ると変わっているのはそれだけではありません。
ギャラリーに置いてあった指示書によると最初の展示プランは次の通りです。
植田実No.37
入り口から入ってすぐ右側に一点あるのがNo.37「ウィーン Wien. Austria」。木々の間から覗く女神像。植田さんは「私のジョコンダです」と言っておられました。これが写真集の表紙になるはずだとか。

それに続く展示台の上に正方形の額で6点並ぶのが
 窓・階段 ← 3536 1516 0910 → 入口
植田展示正方形額

そこで振り返って後ろの壁に二段掛けに16点並んでいるのが
 入口 ← 0102 1112 5152 1718 → 窓・階段
 入口 ← 0304 0506 5354 1314 → 窓・階段 
植田展示16点の壁

奥に進んでまた右側の一番横幅の長い壁に二段掛けに20点並ぶのが
 窓・階段 ← 3433 2526 2324 1920 5556 → 入口
 窓・階段 ← 7069 4546 2728 2122 2930 → 入口 
植田実展示換え前

そしてその向かいの一番幅の短い壁に二段掛けで8点並んでいたのが、ブログにあるように
 入口 ← 4950 4344 → 窓・階段
 入口 ← 6665 6768 → 窓・階段 
植田展示1植田実No.38そしてちょっと見つけにくいのですが入り口左側の壁の裏にちょっとなまめかしいNo.38「ティヴォリTivoli. Italy」があります。これが写真集の裏表紙とのことでした。

これが今回はこうなっていました。

入り口すぐ右の「ジョコンダ」から展示台の上の6点、さらに振り返っての後ろの壁の16点は変更なし。

奥の一番横幅の長い壁の20点のうち8点が入れ替わって
 窓・階段 ← [47][48] [34][33]  23 24  19・20 55・56 → 入口
 窓・階段 ←  70 [58] [25][26] [69] 28  21・22 29・30 → 入口
このうちNo.47、No.48、No.58はミュージアムケースから壁面への登場です。

展示替え3最終版
そして今回総とっかえになった一番幅の短い壁に、当然壁面初登場の8点。
 入口 ← [61][62] [07][08] → 窓・階段
 入口 ← [39][40] [41][42] → 窓・階段
植田実展示替え2
 
出品作品リストのNo.と照らしていただければ分かると思うのですが、第一版のちょっと夢見るような、疾走感と浮遊感のあるリズミックな展示が、さらに幅と厚みとを増して、乱石積みから切石積みになったような、重厚で端正なたたずまいを見せるようになったような気がします。これには、これまで細く間があいていた二枚組の額がぴったりとくっつけられて、写真集の見開きを見る感じがいっそう強くなったこともあずかっているでしょう。かすかに残っていたかもしれない隙が無くなり、素人臭さが払拭されて、余技としてではない、どこに出しても恥ずかしくない一人の写真家の作品としての展示空間となっていたように思います。

ブログのご報告のように、この展示替えは大竹昭子さんではなく植田さんご自身によるもの。
大竹昭子キュレーションの展示はまた次のお楽しみとして、ここでは植田さんご自身のキュレーションの進化を楽しむべきでしょう。

もっともそんなことは毛の生えた素人が言うまでもなく、作品リストにちりばめられた売約済みの赤丸シールがすでに示していました。エディションがすでに3まで進んだ、つまり42.000円にステップアップしたプライスで購入された作品がありましたが、これは決して「お付き合い」などではなく、本気でその写真が気に入って購入して下さった方がいるこということですし、それよりもなによりも、「ときの忘れもの」の写真販売最高記録を更新したということがそれを証明しています。記録更新の場面に居合わせた喜びもひとしおでしたが、記録更新にあたって3枚(!)購入された方が、第一回木村木村伊兵衛賞受賞作家北井一夫さんのコレクターで、柳沢信さんの作品にも興味があると仰っておられたのには一同喫驚。その3枚の選択も実にあたりを唸らせるチョイスで、今や「ときの忘れもの」の一番の売れっ子作家(?)となった写真家植田実が「写真の目利き」からどのように評価されているかが分かるというものです。
今回の展示は今日が最終日ですが、一日も早く次回の展示が実現するように祈ってやみません。(はら しげる)

*画廊亭主敬白
昨日(5日)、画廊はたいへんな賑わいでしたが、ときの忘れもの写真応援団長の原さんもかけつけてくれ、展示替えされた作品群を詳細にレポートしてくれました(掲示板より転載)。
このブログで、2月3日の展示替えをレポートしたのですが、実は植田さん、昨日また展示を変更されました。つまり3回目の展示となったわけです。上記の原さんのレポートが最新版展示です。
私たちも新記録更新(昨日現在38点売れています)をしてくれたコレクターOさんが北井一夫さんのコレクターであるということにも感動しました。
いよいよ本日が最終日です。
植田さんは午後1時ころには画廊に出てこられるはず、ぜひ皆さんお出かけください。

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