画商にとって自分の画廊や倉庫で、自分の好きな作家の作品をひとり眺めることほど幸せはない。ないけれど、それでは商売になりません。
ちょっぴりさびしいことですが、好きな作品ほど早く嫁に出すことが画商のつとめ。

昨年末のある日、あるお客様が小野隆生の作品をご覧になりたいとご所望、だがご存知の通り小野先生の作品は大きなものが多い。
2Mを越すものも少なくない。一点や二点ならまだしもまとまってご覧にいれるには倉庫から運び出し、画廊を空っぽにして展示する以外にありません。
ちょうど開催中の細江英公展は2009~2010年にかけて二年越しの展示だったので、展示可能なのは年末年始の休みの期間しかない。
小野隆生展示2小野隆生展示1

小野隆生展示3小野隆生展示4

かくして、倉庫から2tトラックで作品を運び込み、細江作品の一時的撤去と小野作品の展示を大車輪で仕上げたのが上の画像です。
お客様はじっくりと2時間、作品をご覧になり数点を選ばれました。
ご夫婦が師走の町に消えたあと、私たちは大急ぎで、さっきの逆の作業を行ない、作品を倉庫に戻したのはもう深夜でした。
観客は二人、僅か2時間の展示でしたが、私にとっては2009年で最も印象深い「個展」でした。
そういえば詐欺師たちが短時間だけ名画を展示してあっという間に消えてしまう映画があったなあ。
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