昨日終了した「ジョック・スタージス新作写真展」には全国からたくさんのお客様にご来廊いただきありがとうございました。
さて休む間もなく、次回展覧会を8月27日(金)を開催します。
昨年たいへん好評をいただきました「銀塩写真の魅力」展の第2回として、ゼラチン・シルバー・プリントの持つ豊かな表現力と創造性を、国内外の作家の名品を通してあらためてご覧いただきたいと思います。
また、写真作品を買って家に飾ることの楽しみを、コレクターの原茂氏から語っていただくと同時に、推薦していただいた写真家の作品のビューイングを行うギャラリービューイングも9月3日に第一回を開催します。

それでは、「銀塩写真の魅力II-Noir et Blanc」に出品する作品を順次ご紹介してまいります。
第1回目は、篠山紀信「宮本はるえ」です。

篠山さんは、明らかに写真集または印刷媒体を作品の最終形と考えていらした写真家であったと思います。過去20年間で、プリントを売る個展が企画されたのは、筆者の記憶にある限りでは3回、しかもそのうちの1回は宮沢りえの「Santa Fe」のポラロイドに、りえちゃんが絵を描き加えたというもので、マスコミでも話題になりましたが、展覧会初日に中止が決定され、実際には開催はされませんでした。そのときの価格は、1点100万円でした。
それが近年、恵比寿NADiffやG/P GALLERYなどで過去の作品を含め、プリントを売る展覧会を開催するようになりました。40年ほど前のヴィンテージプリントが100万円という価格です。
今回ご紹介する作品は、ミラノやパリコレクションでモデルとして活躍していた宮本はるえさんを撮影した写真集が1994年に朝日出版社から刊行されたのに併せて、篠山紀信事務所の隣にあったギャラリーSAKAで開催された個展に出品されたもので、間違いなくヴィンテージ・プリントと言えます。現時点ではまだ16年ですが、だからこそ今回のような価格で出品できるわけです。この機会に、コレクションに加えていただければと思います。
篠山紀信600
篠山紀信「宮本はるえ
1994年 24.5x19.5cm
ゼラチンシルバープリント
サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

篠山紀信(しのやまきしん)1940年東京生まれ。日本大学藝術学部写真学科、および東京綜合写真専門学校を卒業。1961年にライトパブリシティに入社後、APA賞等数々の賞を受賞。写真集『Death Valley』『Twins』『Nude』など従来の枠を超える意欲的な作品を発表。1975年に雑誌『GORO』で始めた「激写」シリーズは流行語にもなり、1980年には篠山をメインにした写真雑誌『写楽』が創刊されるなど、一写真家にとどまらない影響力を発揮した。1991年女優の樋口可南子をモデルにした写真集「Water Fruit 不測の事態」は、ヘアヌード解禁という社会現象を引き起こし、同年に出版した宮沢りえのヌード写真集「Santa Fe」は新聞に出した全面広告が評判を呼び、大ベストセラーとなった。そのような話題作を発表する反面、ガウディの建築写真やシルクロードのドキュメント写真、また、坂東玉三郎などの歌舞伎役者を撮り続けるなど、記録写真にも優れた作品がある。2009年に出版された写真集『20XX TOKYO』では、公然わいせつ罪に問われるといった事件を起こしたが、社会を挑発し続ける姿勢は変わっていない。

◆ときの忘れものは、2010年8月27日[金]―9月4日[土]に「銀塩写真の魅力II―Noir et Blanc」を開催します(会期中無休)。
案内状画像600
マン・レイやアンドレ・ケルテス、篠山紀信、荒木経惟、植田正治らによるゼラチン・シルバー・プリント作品を展示します。
会期中の9月3日(金)19時より、原茂さんをホストに、大河原良子さんをゲストにお招きして「第一回写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイング」を開催します(要予約、参加費1000円)。
第一回目となる今回は、原さんご自身のコレクションから、アジェ、ベロック、植田正治、高梨豊、荒木経惟などオールドマスタークラスのプリントをご覧いただきながら、ギャラリーとコレクターの関係についてゲストの大河原さんとお話しいただきます。また、ときの忘れもののコレクションからマン・レイ、細江英公のプリントを当日限りの特別価格で頒布するほか、原さんのコレクションもご購入いただけます。