マン・レイと宮脇愛子展」は大盛況のうちに昨日終了しました。
DMに使いながらご紹介できなかったマン・レイの「宮脇愛子ポートレート」について遅ればせながらご案内しましょう。

1962年、マン・レイは、唐突に宮脇にポートレートの撮影を申し出ます。それはもしかすると彼の最後のポートレート撮影であったかもしれません。
ManRay2
マン・レイ「宮脇愛子ポートレート(profile)」
1962年頃 23.8×17.0cm 
ヴィンテージ・ゼラチン・シルバー・プリント
サインあり


「しばらく写真はとっていないが・・・」といいながら、或る日、何を思ったか急に、マン・レイが私のポートレートをとるといい出しました。そういえば、それまで私はカメラを持っているマン・レイを見たことがありませんでした。すっかり戸惑ってしまっている私にはかまわず、マン・レイは中二階にある小アトリエに置かれてあった古い箱型のカメラをごそごそといじりはじめました。ライトを動かしてつまずいたりしているマン・レイに、私ははらはらさせ
られたりしました。昔、子供のころよく行かされた写真館で見たことのあるような黒い布をかぶって、マン・レイが私にポーズをとらせたのですが、その日、私が黒いフランネルの洋服につけていたブローチが気に入っていたらしく、あちらこちらにつけかえさせたりするのです。それに手の組み方もいろいろとやかましくいわれ、油彩具のしみこんだあまり美しくない手をとられるのがいやで、私はぶつぶつ文句をいい続けていました。あとで考えてみると、ダ・
ヴィンチのモナリザのポーズを真似させてとっていたのでした。ダ・ヴィンチとはおよそ似ても似つかないモナリザのポートレートではあるもののその写真が、おそらくマン・レイのとった最後のポートレートになってしまいました。

  宮脇愛子『はじめもなく終りもない―ある彫刻家の軌跡』(1991年、岩波書店)より抜粋

宮脇愛子ポートレイトGtr
マン・レイ「宮脇愛子ポートレート」
1962年 23.9×17.0cm
ヴィンテージ・ゼラチン・シルバープリント
サインあり

600
マン・レイ「les grands trans-parents」
64.2×49.1cm 
スクリーンプリント・鏡
Ed.100 アクリルに「MR」の刻サインあり、版上サイン

上掲2点のマン・レイの作品を巧みに組み合わせ、宮脇愛子の立体作品をあしらった「UTSUROHI」ポスターは磯崎新のデザインです。
うつろひポスター
AIKO MIYAWAKI 1959-1989 Utsurohi」ポスター
1989年 87.7×62.1cm
ポートレイト撮影:マン・レイ
デザイン:磯崎新
ミラー紙にスクリーンプリント(刷り:岡部徳三)
宮脇愛子の自筆サインあり

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宮脇愛子の新作エディション『マン・レイへのオマージュ』
マン・レイへのオマージュパンフ
マン・レイの折本仕立ての「回転扉(Pain Peint)」にインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイへのオマージュとして制作した新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き、限定25部)をぜひご購入ください。

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