人形作家の井桁裕子さんの連載エッセイは今月は休載です。
理由は、井桁裕子さんが内外への出品で多忙をきわめているからです。
先日送られてきた井桁さんからの近況報告メールから一部を抜粋してご紹介します。

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突然の季節の変化に戸惑わされる日々ですが、皆様いかがお過ごしですか。
展覧会のお知らせをお送りいたします。
■「飛鳥から奈良へ 国際彫刻展2010
10月26日(火)~11月7日(日)9:00~17:00(11/1、4は休館)
会場は奈良市の大乗院庭園文化館です。
奈良市高畑町1380-1 電話0742-24-0808

平城遷都1300年祭のイベントの一環として行われる展覧会です。
この歴史ある壮麗な庭園、そして1300年祭という大きな企画の一部であること、また私にとっては初めて彫刻の展覧会への参加で、実に大きなイベントと感じております。
残念ながら私が会場にいられるのは25日の搬入と初日くらいまでなのです。
搬入作業をなるべく素早く終わらせて、見学するのを本当に楽しみにしています。
お近くの方はもちろん、遠方の方にもご旅行として大変おすすめです。

<関連HP>
大乗院庭園・一般公開
奈良大乗院庭園花探訪」(庭園の写真が豊富。観光のお役にたちそうです!)

■以下は近況報告も兼ねたお知らせです。
映画の話
奈良でなぜゆっくりできないか...というと、実は29日より、福島県は会津若松の先、昭和村に行くことになっているからです。
2006年に映画「アリア」を制作した坪川拓史監督の最新作の撮影が始まっていて、そのロケが昭和村で行われています。
映画には、人形遣いの一座が出てきます。
私は今回も人形の制作をさせていただき、さらに嬉しいのは人形遣いの役を人形遣い・黒谷都さんが演じられるということです。
黒谷さんは、モノとヒトとの織りなす大人のための舞台作品を発表し続けておられ、ご存じの方も多いと思います。
10月末はいよいよその人形部分の撮影なのです。

最新作は「ハーメルン」。
監督からはこの2年ほど準備が進められてくる間、折があれば進行具合を知らせて頂いていました。
私にとって坪川監督の印象的な姿の一つは、大切な歴史を刻んだ建物が取り壊される、といったニュースがあるたびにそれを無念そうに語る様子でした。
昨年、途中段階のシナリオを読ませていただいたときも、そんな怒りに似た惜別の思いが、やさしく全編に漂っていると感じました。
やがて、監督は福島とご縁がつながって、その地での多くの素晴らしい出会いが生まれていきました。
具体的な地域の事に取材し人々の現実を吸収して、しだいに映画そのものが豊かになって行きつつあるのが伝わってきました。
先日、大きくふくらんだ新しいシナリオを送っていただきました。
そこにはかつては静かに流れていた個人的な思いが、大きな現代のテーマとはっきり重なりあい、地下水がついに吹き出して奔流となったようにあらわされていました。
坪川ワールドの大きな魅力である、あの幻想的な空気と同時に、確かな手応えと大地の匂いがありました。
いつの日か、ロードショウのお知らせをお送りできる日が来るのを、私は心から願っています。

ご関心を持ってくださった方は、ぜひこちらを。インタビューその他お読みくだされば、嬉しいです。

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10月1日~31まで、ポーランド・カトヴィツェにて、四谷シモンさんの展覧会が行われています。
【参考URL】
http://www.cameralis.art.pl/
http://www.muzeumslaskie.pl/en/
http://www.kronika.org.pl/

私もその企画の中で「Fujita-doll」を展示してもらっています。
また、この展覧会の搬入・搬出のお手伝いもしています。
8月は国内の作品集荷に付き添いましたが、美術梱包さんの4トントラックに乗せていただきたいへん嬉しかったです。
11月は搬出で、展覧会終了後のカトヴィツェに行ってきます。
福島から帰った翌日には飛行機に乗ってポーランドに飛ぶ予定です。
ちなみに、私は旅慣れていません。一人で飛行機に乗ることさえ、「アリア」で帯広に行ったときが初めてでした。
そんな私がいきなり東欧の一人旅...。
素敵すぎて心配です。

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ときの忘れものブログでの連載は、10月はお休みいたします。
次回は11月20日の予定です。
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長文を失礼いたしました。
今年の冬は寒くなるとのこと。
いよいよ芸術の秋からいっそう慌ただしい年末へとつながるこれからの時期...。
どうぞ夏の疲れを回復してお元気にお過ごしくださいますよう。
それではまた!

井桁裕子
IGETA Hiroko
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*画廊亭主敬白
井桁裕子さんが「国際彫刻展」に出品する!
いわば人形が石やら鉄やらの彫刻界に殴りこみをかけるようなものですが、その仕掛け人は亭主の長年のパトロンの一人でもあり、現代美術の師匠でもある奈良・西田画廊のご主人です。

飛鳥から奈良へ ~国際彫刻展2010

国際彫刻展2010_DM
 平城遷都1300年祭で賑わう古都奈良から、新しい創造の風「奈良国際彫刻展・2010」のご案内を申し上げます。
奈良は古来、シルクロードの終着点として、中国や朝鮮半島はもとより、はるかギリシア・ローマに至るまで広く芸術・文化を取り入れ、日本人の美意識の源流を育んで参りました。8世紀・盛唐の文化を受け入れた往時の奈良の芸術力は、現存する文化財からその国際性、創造性などはまさに世界的なレベルであったことがうかがえます。
 この歴史的な土壌でこれまで芸術活動に携わってきた奈良の作家、画廊、キュレーターたちが集い、奈良を将来的な創造発信の拠点にと夢を抱き、昨年2009年6月に、古代・石の都、飛鳥の古刹岡本寺で「飛鳥から奈良へ~国際彫刻展序章」と題し、17名(海外3名)の作家たちによる作品展を実現いたしました。
 遷都祭で盛り上がりを見せる今年、会場を奈良公園に隣接する旧興福寺門跡寺院の大乗院庭園(国の名勝指定)に移し、「奈良国際彫刻展・2010」を開催いたします。

●主催  奈良国際彫刻展実行委員会
     http://narasculpture.web.fc2.com/

●事務局 西田画廊
     奈良県奈良市大宮町6丁目3−29−2F−I
     TEL:0742-35-2455

●開催日時 2010年10月26日(火)~11月7日(日)
      9:00~17:00(11月1日、4日は休館)

●出品作家:シュウゾウ アヅチ ガリバー、井川健、井桁裕子、井上寛子、岡普司、角谷真人、久保極、小清水漸、坂口紀代美、信ヶ原良和、下谷千尋、高岡典男、藤本由紀夫 + 武田晋一、堀健、宮永甲太郎、ブルニーボ・ブッタレイリ、金章義、朴東驥 + 菊池孝、梶本良衛、栄利秋、竹股桂、塚脇淳、富松留幹、ふじい忠一、森田耕太郎、アレクサンダー・リクトフェルト、セバスティアン、ホセ・バネガス

●会場   
【第一会場】名勝大乗院庭園文化館・名勝旧大乗院庭園
 奈良市高畑町1083-1
 Tel 0742-24-0808

【第二会場】ならまち工房Ⅱ・ギャラリー9号室
 奈良市高畑町1097-2

【第三会場】サードギャラリー
 奈良市橋本町26-3 3F

ちなみに、第一会場の文化館と大乗院庭園は近鉄奈良駅から徒歩20分。
奈良公園、興福寺境内を抜けるもよし、奈良のさびれかけた繁華街を通るもよし。
井桁裕子さんの作品は文化館の二階に展示されます
タクシーで来られるときは、奈良ホテルの南にある「大乗院庭園文化館」と告げて下さい。
運転手の中には、奈良ホテルから入ると勘違いされている方もありますので。ホテルを越えた最初の信号を右折した角にあります。庭園、文化館は5時閉館です。
関西の皆さん、ぜひお越しください。

Kei doll x600
井桁裕子「Kei Doll
2010年 桐塑
H100.0cm
H70.0cm
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宮脇愛子の新作エディション『マン・レイへのオマージュ
マン・レイへのオマージュパンフ
マン・レイの折本仕立ての「回転扉(Pain Peint)」にインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイへのオマージュとして制作した新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き、限定25部)をぜひご購入ください。

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