私の駒井哲郎コレクション・その1  M.S.
 <S氏コレクション 駒井哲郎PART II展>より

昨年と今年、コレクション展をさせて頂いているSです。
駒井さんの作品を長い事、少しづつ集めて来ましたが、今まで、人に見せたこともなく、たまたまアートフェアで久しぶりに「ときの忘れもの」さんに顔を出したところ、駒井さんの生誕90年ということでコレクション展の話を頂きました。
駒井さんはファンも多く、それぞれ人により好きな作品もだいぶちがうように思います。
私のは人に見せるつもりもなく、好きで集めたものなので、年代的にもかなり片よりがありますが、60年代の作品が好きです。
中でも、(《鏡》や《審判》、《毒又は魚》などの)62年の作品と(《食卓にて、夏の終りに》、《腐刻画》などの)65年~66年の反歌関連の作品が特に好きです。
駒井さんを集めるきっかけとなった作品は《食卓にて、夏の終りに》です。これは70年代初め頃、月刊誌の版画特集に載っていたもので、当時の取り扱い画廊、J画廊に問い合わせて見たのですが、既に売れてしまったようで買えませんでした。
この作品がいつか出会ったら欲しい作品となり、その後、だんだんと増えて行きました。
以前、佐谷画廊で開かれた駒井哲郎展(1997年)のパンフレットのあとがきで佐谷さんが、駒井さんとの出会いを書いており、当時サラリーマンコレクターとしてエスパース画廊をさがしあて、詩画集『人それを呼んで反歌という』を買い求めたこと、その中の《食卓にて、夏の終りに》に心を打たれた事などが書かれていました。
この一文に出会った時、あの佐谷さんにも、こんな時代があったのだと知り、うれしかったのをおぼえています。
私が版画を買い始めた頃は、銀座の画廊は敷居が高く、なかなか入って行けませんでしたが、駒井さんを扱う画廊を少しづつ回ってゆく間に自然と平気で画廊を回れるようになりました。
駒井さんを入口にして好きな作家の幅も拡がっていったように思います。
作家との出会い、作品との出会いも長い時間で見るとほとんど運のようなものですが、今回のコレクション(良い作家にはめぐり合っているのですが)良い作品を集められたかどうかはあまり自信がありません。
でも、知り合いに今回のDMを配っているとあらためて、駒井ファンの多い事に気が付きました。
駒井ファンの皆さん、もし、この会期中、お時間があれば、ぜひ「ときの忘れもの」に立ち寄って頂きたいと思っております。(つづく)
駒井哲郎食卓にて
駒井哲郎「食卓にて、夏の終りに」
昨年の展示より

◆ときの忘れものは、10月26日(火)~11月6日(土)「S氏コレクション 駒井哲郎PART II展」を開催しています(会期中無休)。
駒井哲郎展DM
昨秋の第一回展では、同じ版から刷られた同じ作品を敢えて複数コレクションするという「コレクションの異端」ぶりで観る人を驚かせたS氏コレクションの二回目は「生命あるものへ」の視点を凝縮した30点を展観します。

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