持つべきは客。
最後の最後にときの忘れもののご意見番・廣瀬さんから掲示板にご投稿をいただきました。
[2010年をふりかえれてよかったです。 廣瀬]
昨年は「できることなら触れて欲しくなかった」2009年をふりかえらせてしまってスミマセンでした。
今年は、2010年を語っていただけるようで安心しました。私も月一回は上京?して展覧会のハシゴを心がけていますが、ときの忘れものさまの企画展を今年も半分も拝見できませんでした。(それどころか売り上げにも貢献できずスミマセン。) ただ拝見するたびに眼の保養と学ぶべきものが多いです。さらに亭主様や三浦さまと話も興味深く楽しませていただいてます。(いつも長居をしてこれまたスミマセン。)
集中が分散かという書き込みがありましたが、人生の峠を過ぎてくると自分のたいしたことのないコレクションにもいくつかの「柱」をつくりたいと思いはじめています。コレクションは、自分自身が満足できれはそんな考えは不要なのでしょうが‥。その点、S氏コレクションはうらやましい限りです。
価格が安い、受賞作だから、人気があるからなどだけではただ集めたということで終わってしまうように思えます。いったい何のためにこんなことしているんだろうと疑問に思う時もありました。ただ、作品たちをみているといろいろな辛さを忘れさせてくれることも多くあり、本当に助けられました。年末のせいか、とりとめのないことを書き込ませていただきましたが、年末年始もブログが更新されるようなので楽しみにしています。
追伸 亭主さま、体調崩されているようですがご自愛ください。
*************
廣瀬さん、今年も貴重なアドバイスをありがとうございます。
おっしゃるとおり、今年は振り返っても苦々しい思いのする企画は一つもありませんでした。
作家や所蔵家、お客様たちのご愛顧を暖かく感じられる一年でした。
このブログやホームページのおかげでたくさんのお客様が増えました。
ありがたい一年でした。
昨日までいくつかのことを回顧してきましたが、まだまだ書いておかねばならぬことがあります。
(足の傷みで)恐縮ですがはしょりながらラストスパート!
◆新しい作家たちの登場
植田実さんの写真家登場については既に述べました。
亭主と植田さんとつるんでパリを往復していたとき、何人もの通訳に助けてもらったのですが(もちろん亭主が。植田さんは早稲田仏文卒ですから通訳不要)、そのとき最も優秀な通訳だったのが当時まだ10代の美少女津由さんでした。はじめバレリーナを目指していた津由さんが女優TSUYUになり、遂にアーティストTSUYUとなって仕事を一緒できるなんて、長生きはするもんですね。彼女の作品はソウル、テグのアートフェアに出品しました。国内でのお披露目は目下検討中です。ご期待ください。
尾形一郎・尾形優さんのユニットとの出会いと個展開催は亭主にとって衝撃の事件でした。いままでのときの忘れものの取扱作家は以前からの付き合いのあった方が多い。いきなり会って(それも奇跡のような偶然で)いきなり個展を開いたなんて初めてでした。これほど豊かな才能を持った作家をあまたの画廊がほっておいたのが先ず信じられない。残り物に福があるなんていったら尾形さんたちに叱られそうですが、神のご加護に感謝するばかりです。来年はエンジン全開、尾形イヤーにするつもりです。
敬愛する三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで開いたグループ展Tricolore2010で招いた若い三人の女性作家たち若宮彩子さん、君島綾子さん、渡辺貴子さんもときの忘れものに新風を吹き込んでくれました。三人ともときの忘れものが苦手とする分野での仕事で新鮮な魅力をお客様に提示してくれました。
◆井桁裕子さん大暴れ
井桁裕子さんはときの忘れものの古いお客さまでした。まだ一軒家時代からいらしてくれて、当時「リンク」なんて言葉すら亭主が知らなかった頃、ご自分のサイトで「お気に入り」の画廊として紹介して下さっていた方でした。
井桁さんがお客じゃあなかったたら、ときの忘れものが球体関節人形などというおどろおどろしいモノを扱うことは金輪際なかったでしょう。
3月の個展、7月のART OSAKA 2010への出展(個展)、11月の9人のミューズたちへの出品、そして特筆すべきは10月の飛鳥から奈良へ 国際彫刻展2010への参加出品です。詳しくは井桁さんの長期連載エッセイ「私の人形制作」第17回をお読みください。
亭主の師匠であり、盟友とも恃む奈良の西田画廊さんのご尽力で、井桁さんの球体関節人形を国際彫刻展という大舞台に押し上げることができました。
◆写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイングの開催
廣瀬さん同様ときの忘れもののご意見番、論客の写真コレクター原茂さんがホストとなり開催するフォトビューイングをスタートさせることができました。コレクターの視点で選んだ写真家を招き、作家の言葉を聴き、作品を堪能する。ときの忘れものの定番企画に成長してくれることを祈っています。
◆ヤフーオークションの終了
先日、お知らせしたとおり、年内でいったんヤフーオークションへの出品を終了しました。
中村哲医師とペシャワール会への支援チャリティーオークションは初志とおり続行しますので新たな体制で再出発する予定ですが、詳細は白紙です。
長年のご愛顧に対しこの場を借りて御礼申し上げます。
◆亭主、各地で漫談
どういう風の吹き回しか、今年は各地から講演という名の漫談を依頼され、お調子者の亭主はうかうかと乗ってしまい、弘前、富山、吉祥寺を訪ねました。
5月、弘前の「前川國男の建物を大切にする会」に呼ばれ、畏れ多くも大建築家前川國男についての素人の感想を、弘前という稀有な建築都市の魅力をおりまぜながらおしゃべりさせていただきました。
6月、富山県立美術館に呼ばれ、開催中の「可能性への挑戦 池田満寿夫の版画 京都国立近代美術館所蔵 M&Yコレクション」展の関連企画として、「画商が見たマスオ版画の魅力、そのスター性」という演題でしゃべらされました。ご承知の通り、亭主は瑛九や駒井哲郎は得意ですが、池田満寿夫はむしろ不得手の作家です。扱い数も少ないし(その割にはドラマチックな経験はいくつもある)、親しい間柄でもありませんでした。適任者はゴマンといるはずなのに、なぜ亭主に白羽の矢がたったのか。これがなかなか微妙なところで、亡くなって間もない作家というのは関係者も多く、あまり生々しいと逆に難しいらしい。池田さんとは親しくもなく、かと言って知らない仲でもない、版画にそこそこ詳しい、というような理由で亭主が選ばれたようです。
10月、武蔵野市立吉祥寺美術館に呼ばれ、開催中の「草間彌生展 ワタシというナニモノかへの問い」の関連企画として「草間彌生版画の身体感覚」という、聞くも恐ろしい難解なタイトルの講演をしてきました。
もちろん一介の画商に過ぎない亭主にそんな舌をかみそうな演題で話せるような教養はなく、講演会の冒頭、「予めお断りしておきますが、本日のタイトルは美術館の方が勝手につけてくださったもので、私はそんなことまったくしゃべれません」と宣言。例によって亭主の知る草間彌生先生の天才ぶりを「ぶれない、めげない、勘がいい」という三つの標語(?)にでっちあげておしゃべりさせていただきました。
前川國男、池田満寿夫、草間彌生、三人三様の活躍ぶりは、その詳細な年譜をつくっていてよくわかりました。亭主は実は小心でして、結構予習というか、受験勉強しないと夜も眠れない。おかげで今年は随分と勉強しました。
ふ~やっと10項目、書き終えました。
詳細は追って発表しますが、来年、このブログは大改編します。
いままでは亭主のだらだらした自慢話が大半で、たまに研究者たちにエッセイをお願いするというはなはだ素人雑誌風編集でしたが、今風にいうと「コンテンツの充実」というのでしょうか、豪華絢爛(古いね)な執筆人を網羅して、「美術館の展評」「コレクターによる蒐集録」「20世紀の名作写真」などをテーマに、お客様に読んで役立つ(面白い)情報を提供するべく内容を一新します。
亭主の出番は従って激減します。
明日からは心機一転、スタッフたちの新春のご挨拶からこのブログが始まります。
2011年まであとわずか。皆さんよいお年をお迎えください。
最後の最後にときの忘れもののご意見番・廣瀬さんから掲示板にご投稿をいただきました。
[2010年をふりかえれてよかったです。 廣瀬]
昨年は「できることなら触れて欲しくなかった」2009年をふりかえらせてしまってスミマセンでした。
今年は、2010年を語っていただけるようで安心しました。私も月一回は上京?して展覧会のハシゴを心がけていますが、ときの忘れものさまの企画展を今年も半分も拝見できませんでした。(それどころか売り上げにも貢献できずスミマセン。) ただ拝見するたびに眼の保養と学ぶべきものが多いです。さらに亭主様や三浦さまと話も興味深く楽しませていただいてます。(いつも長居をしてこれまたスミマセン。)
集中が分散かという書き込みがありましたが、人生の峠を過ぎてくると自分のたいしたことのないコレクションにもいくつかの「柱」をつくりたいと思いはじめています。コレクションは、自分自身が満足できれはそんな考えは不要なのでしょうが‥。その点、S氏コレクションはうらやましい限りです。
価格が安い、受賞作だから、人気があるからなどだけではただ集めたということで終わってしまうように思えます。いったい何のためにこんなことしているんだろうと疑問に思う時もありました。ただ、作品たちをみているといろいろな辛さを忘れさせてくれることも多くあり、本当に助けられました。年末のせいか、とりとめのないことを書き込ませていただきましたが、年末年始もブログが更新されるようなので楽しみにしています。
追伸 亭主さま、体調崩されているようですがご自愛ください。
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廣瀬さん、今年も貴重なアドバイスをありがとうございます。
おっしゃるとおり、今年は振り返っても苦々しい思いのする企画は一つもありませんでした。
作家や所蔵家、お客様たちのご愛顧を暖かく感じられる一年でした。
このブログやホームページのおかげでたくさんのお客様が増えました。
ありがたい一年でした。
昨日までいくつかのことを回顧してきましたが、まだまだ書いておかねばならぬことがあります。
(足の傷みで)恐縮ですがはしょりながらラストスパート!
◆新しい作家たちの登場
植田実さんの写真家登場については既に述べました。
亭主と植田さんとつるんでパリを往復していたとき、何人もの通訳に助けてもらったのですが(もちろん亭主が。植田さんは早稲田仏文卒ですから通訳不要)、そのとき最も優秀な通訳だったのが当時まだ10代の美少女津由さんでした。はじめバレリーナを目指していた津由さんが女優TSUYUになり、遂にアーティストTSUYUとなって仕事を一緒できるなんて、長生きはするもんですね。彼女の作品はソウル、テグのアートフェアに出品しました。国内でのお披露目は目下検討中です。ご期待ください。
尾形一郎・尾形優さんのユニットとの出会いと個展開催は亭主にとって衝撃の事件でした。いままでのときの忘れものの取扱作家は以前からの付き合いのあった方が多い。いきなり会って(それも奇跡のような偶然で)いきなり個展を開いたなんて初めてでした。これほど豊かな才能を持った作家をあまたの画廊がほっておいたのが先ず信じられない。残り物に福があるなんていったら尾形さんたちに叱られそうですが、神のご加護に感謝するばかりです。来年はエンジン全開、尾形イヤーにするつもりです。
敬愛する三上豊さん(和光大学教授)のキューレーションで開いたグループ展Tricolore2010で招いた若い三人の女性作家たち若宮彩子さん、君島綾子さん、渡辺貴子さんもときの忘れものに新風を吹き込んでくれました。三人ともときの忘れものが苦手とする分野での仕事で新鮮な魅力をお客様に提示してくれました。
◆井桁裕子さん大暴れ
井桁裕子さんはときの忘れものの古いお客さまでした。まだ一軒家時代からいらしてくれて、当時「リンク」なんて言葉すら亭主が知らなかった頃、ご自分のサイトで「お気に入り」の画廊として紹介して下さっていた方でした。
井桁さんがお客じゃあなかったたら、ときの忘れものが球体関節人形などというおどろおどろしいモノを扱うことは金輪際なかったでしょう。
3月の個展、7月のART OSAKA 2010への出展(個展)、11月の9人のミューズたちへの出品、そして特筆すべきは10月の飛鳥から奈良へ 国際彫刻展2010への参加出品です。詳しくは井桁さんの長期連載エッセイ「私の人形制作」第17回をお読みください。
亭主の師匠であり、盟友とも恃む奈良の西田画廊さんのご尽力で、井桁さんの球体関節人形を国際彫刻展という大舞台に押し上げることができました。
◆写真を買おう!! ときの忘れものフォトビューイングの開催
廣瀬さん同様ときの忘れもののご意見番、論客の写真コレクター原茂さんがホストとなり開催するフォトビューイングをスタートさせることができました。コレクターの視点で選んだ写真家を招き、作家の言葉を聴き、作品を堪能する。ときの忘れものの定番企画に成長してくれることを祈っています。
◆ヤフーオークションの終了
先日、お知らせしたとおり、年内でいったんヤフーオークションへの出品を終了しました。
中村哲医師とペシャワール会への支援チャリティーオークションは初志とおり続行しますので新たな体制で再出発する予定ですが、詳細は白紙です。
長年のご愛顧に対しこの場を借りて御礼申し上げます。
◆亭主、各地で漫談
どういう風の吹き回しか、今年は各地から講演という名の漫談を依頼され、お調子者の亭主はうかうかと乗ってしまい、弘前、富山、吉祥寺を訪ねました。
5月、弘前の「前川國男の建物を大切にする会」に呼ばれ、畏れ多くも大建築家前川國男についての素人の感想を、弘前という稀有な建築都市の魅力をおりまぜながらおしゃべりさせていただきました。
6月、富山県立美術館に呼ばれ、開催中の「可能性への挑戦 池田満寿夫の版画 京都国立近代美術館所蔵 M&Yコレクション」展の関連企画として、「画商が見たマスオ版画の魅力、そのスター性」という演題でしゃべらされました。ご承知の通り、亭主は瑛九や駒井哲郎は得意ですが、池田満寿夫はむしろ不得手の作家です。扱い数も少ないし(その割にはドラマチックな経験はいくつもある)、親しい間柄でもありませんでした。適任者はゴマンといるはずなのに、なぜ亭主に白羽の矢がたったのか。これがなかなか微妙なところで、亡くなって間もない作家というのは関係者も多く、あまり生々しいと逆に難しいらしい。池田さんとは親しくもなく、かと言って知らない仲でもない、版画にそこそこ詳しい、というような理由で亭主が選ばれたようです。
10月、武蔵野市立吉祥寺美術館に呼ばれ、開催中の「草間彌生展 ワタシというナニモノかへの問い」の関連企画として「草間彌生版画の身体感覚」という、聞くも恐ろしい難解なタイトルの講演をしてきました。
もちろん一介の画商に過ぎない亭主にそんな舌をかみそうな演題で話せるような教養はなく、講演会の冒頭、「予めお断りしておきますが、本日のタイトルは美術館の方が勝手につけてくださったもので、私はそんなことまったくしゃべれません」と宣言。例によって亭主の知る草間彌生先生の天才ぶりを「ぶれない、めげない、勘がいい」という三つの標語(?)にでっちあげておしゃべりさせていただきました。
前川國男、池田満寿夫、草間彌生、三人三様の活躍ぶりは、その詳細な年譜をつくっていてよくわかりました。亭主は実は小心でして、結構予習というか、受験勉強しないと夜も眠れない。おかげで今年は随分と勉強しました。
ふ~やっと10項目、書き終えました。
詳細は追って発表しますが、来年、このブログは大改編します。
いままでは亭主のだらだらした自慢話が大半で、たまに研究者たちにエッセイをお願いするというはなはだ素人雑誌風編集でしたが、今風にいうと「コンテンツの充実」というのでしょうか、豪華絢爛(古いね)な執筆人を網羅して、「美術館の展評」「コレクターによる蒐集録」「20世紀の名作写真」などをテーマに、お客様に読んで役立つ(面白い)情報を提供するべく内容を一新します。
亭主の出番は従って激減します。
明日からは心機一転、スタッフたちの新春のご挨拶からこのブログが始まります。
2011年まであとわずか。皆さんよいお年をお迎えください。
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