坂本善三と海老原喜之助

今週末6月25日[土]―26日[日]の2日間開催する「サマーセール★美しきもの見し人はより出品作品をご紹介します。
本日は、師弟だった海老原喜之助と坂本善三。
よく聞かれますが、多くの方は作家は死ぬと作品が値上がりすると思っているようです。
これは間違い。亡くなると99%、市場価格は下がります。
横山大観でも棟方志功でも没後、一旦は下がりました。
よく考えれば当然のことで、有名(人気)作家ほど生前は多くのファンや支持者に囲まれ、生身のからだからはオーラを放っている。作品と人間の魅力が一体となって市場価格を押し上げている。
ところが亡くなると、「絵以外」の要素がなくなります。
残されたのは「作品」のみ。フェルメールのように何百年か経て復活する場合もありますが、ほとんどが歴史の波間に消えて行きます。
真の勝負は亡くなってからで、例えば瑛九。没後半世紀経つのに忘れられるどころか、益々評価は高騰しています。

海老原喜之助は生前は独立美術協会のボスとして人気抜群でした。
かたや弟子の坂本善三は地味でローカルな(熊本在住)作家と思われていた。
没後の評価の逆転(あくまで現時点ですが)は劇的ですらあります。
亭主自身、幸運にも坂本善三先生には生前何度かお目にかかり、その大人然とした風貌に接しています。作品も扱ってきましたが、没後これほど評価が高騰するとは思いませんでした。不明を恥じるばかりです。
32
出品番号30.
坂本善三「城」

1970年 油彩・キャンバス
72.5x90.5cm サインあり
*1985年の熊本県立美術館回顧展出品作品

28
出品番号26.
海老原喜之助「祭り」

1954年 リトグラフ
55.5x36.5cm Ed.100
サインあり

「馬」といえば海老原。1954年頃に集中して14点のリトグラフを制作していますが、中でもこの「馬と少年」は版画史に残る名作でしょう。

坂本善三(さかもと ぜんぞう 1911年~1987年)
熊本県出身。海老原喜之助に師事し、独立美術協会で活躍した。1987年76歳で死去するまで故郷熊本でたんたんと己の道を歩んだ。故郷の風土や自然に根ざした独自の抽象世界を築き「グレーの画家」「東洋の寡黙」と称された。
没後、遺族が作品を寄贈し、1995年故郷小国町に坂本善三美術館が開館した。

海老原喜之助(えびはら きのすけ 1904年~1970年)
鹿児島県出身。大正末期から昭和にかけてフランスと日本で活躍。「エビハラ・ブルー」と呼ばれた鮮やかな青の色彩を多用し、馬をモチーフにした作品を数多く制作した。1970年、パリで客死。鹿児島市立美術館、児玉美術館、熊本県立美術館など各地の美術館に多数作品が収蔵されている。生涯にわたり藤田嗣治を師と仰いだ。

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◆ときの忘れものは、2011年6月25日[土]―6月26日[日]の2日間「サマーセール★美しきもの見し人は」を開催します。
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