改装を終えた新しい空間での最初の企画展は五味彬先生の個展です(11日から)。
五味先生は、6月に59歳の誕生日を迎えられます。
数えでいったら還暦だということで、写真家人生の一つの区切りとして、ときの忘れものをスタートに都内数箇所の画廊で連続個展を開催します。
学生時代から今日までの作品を時代ごとにわけ、またサイズやプリントに変化をつけて展示されます。
ときの忘れものでは、五味先生が編集顧問として関わった写真雑誌『Sh・I・N・C vol.2』(1989年刊行)に掲載された倉俣史朗の代表作の写真と、ヴィンテージ・コンタクトプリントを含む村上麗奈の写真など約20点をご覧いただきます。

今から20年前の1991年4月から『月刊PLAYBOY』に写真家・五味彬の写真連載が開始されました。それは1990年代の日本人女性の裸体を標本のように撮影したものでしたが、当時のヘアー問題のためにわずか2ヶ月で連載打ち切りとなります。その後、別の大手出版社から写真集『YELLOWS』と題して出版されることになり、撮影を続行したのですが、その写真集も印刷が終わり、あとは配本するだけという時に、再びヘアー問題による出版社の自主規制で断裁処分されてしまい、陽の目を見ることはありませんでした。
今から考えると過剰な反応だったのですが、それが時代でした。
それから僅か数年後の1997年に東京都写真美術館で《アウグスト・ザンダーと五味彬》展が開催され、五味彬の仕事がようやくミュージアム・レベルでの高い評価を獲得したことはご存知の通りです。

1989年当時に撮影された、今回の出品作品の被写体は倉俣史朗の家具と、村上麗奈のヌードです。
倉俣史朗は1967年横尾忠則らとコラボレーションしたインテリアデザインなどで脚光を浴びます。この頃から、彼が生涯にわたって好んだアクリル素材を用いて、日常の空間に無重力を作り出したような、透明で浮遊感のある作品を生み出し海外でも高い評価を得ました。本展出品作は、1989年刊行の雑誌『Sh・I・N・C』に掲載するため、倉俣の代表作である「ミス・ブランチ」をはじめ「COPACABANA」「SYDNEY」などを五味彬が撮影したものです。

同じく『Sh・I・N・C』に掲載された村上麗奈は、1988年AV女優としてデビューし、約一年間という短い期間の活動であったにもかかわらず一生を風靡しました。1992年発売直前に出版社の自主規制で発売中止・断裁処分された五味彬の幻の写真集『Yellows』と、時を同じくしてイタリアの写真家トニ・メネグッツォとの共作で出版された写真集『Nude of J』でもモデルを務めました。

AKIRA GOMi 1972-2012 / 倉俣史朗&村上麗奈
gomi
会期=2012年5月11日[金]―5月19日[土]
12:00-19:00
※会期中無休

初日5月11日(金)18時よりオープニングレセプションを開催します。お誘いあわせの上、お出かけください。

●イベントのご案内
5月13日(日)14時より、五味彬によるトーク「ウサギのことはウサギに聞け、写真のことは写真家に聞け」を開催します(要予約/参加費1,000円)。
参加ご希望の方はメールにてお申し込み下さい。
Mail.info@tokinowasuremono.com

五味彬 Akira GOMI(1953-)
1953年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。
77年渡仏し、ローレンス・サックマン、ミッシェル・ベルトンに師事する。
83年帰国後、ファッション誌『流行通信』『エル・ジャポン』などを中心に活躍。
93年日本初のCD-ROM写真集『YELLOWS』を発表。その後、『YELLOWS2.0』『AMERICANS』『YELLOWS3.0』など00年までに14タイトルを発表。バンタンデザイン研究所で写真Webデザインを教える。
97年東京都写真美術館で《アウグスト・ザンダーと五味彬》展。
99年《YELLOWS RESTART》を発表。
97年DIGITALOGUE Gallery Tokyo(東京・原宿)で個展《YELLOWS Contemporary Girls Psycho Sexual》。2008年キャノンギャラリー(銀座、名古屋、梅田を巡回)にて個展《YELLOWS Return To Classic》、ときの忘れものにて個展《五味彬写真展 Yellows 1.0》
09年ときの忘れものにて個展、GALLERY COSMOSで元アシスタントたちとのグループ展《Family Plots》。

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