映画「ハーメルン」のこと

井桁裕子


24日は「アリア」上映会でした。
貴重な機会を作って頂き、本当にありがとうございました。
とても贅沢な、記念すべきひとときとなりました!!

アリアにも、新作の「ハーメルン」にも人形劇が出てきます。
最初、撮影地を青森で模索していた時期があり、私もご当地の伝統ある移動人形劇「金太と豆蔵」を見学したりしました。
一方、私にとって、モノとヒトがおりなす異世界の入り口であり全てだったのが人形遣いの黒谷都さんでした。
2006年撮影当時から、私はずっと坪川さんに、黒谷さんを紹介したかったのです。
2009年にようやく坪川さんを、都内で行われた黒谷さんの公演に引っ張り出す事に成功。
かくしてハーメルンでは、活発な「金太と豆蔵」とはずいぶん趣きの違う、謎めいた人形遣いの一座の幻想的なシーンが加わったのでした。
映画音楽は関島岳郎さんが担当、息の合った素晴らしい演奏者の皆さんが参加されています。
もちろん出演者の顔ぶれの豪華さは、以下にご覧の通りです!

今、「ハーメルン」はほぼ完成、最後の仕上げが行われています。
本当に長い道のりでした。2010年には時期外れの大雪で撮影中止、その雪が溶けるのを待つ頃にあの震災・原発事故。
しかし舞台となる廃校は、豪雪の重みでもう冬を越せないだろうと言われたにも関わらず、奇跡のようにあの大地震を耐え抜きました。
昨年は色づかなかった大きな銀杏も、2011年には空に大地に惜しみなく黄金の葉を輝かせていました。
ついに始まった撮影は少数精鋭による不眠不休の日々。
村への出入りは「いろは坂」のような凄い峠道、そこを一日何度も往復したり、そんな中でいつ事故があってもおかしくなかったのです。
ここまでたどり着いたのは本当に信じられないようなことなのでした。
まだ、そもそもの資金難は解決しておらず、ロードショーを目指して道はこれからです。
「美式天然」、「アリア」、「ハーメルン」....
この楽しく美しい映画たちが、いつの日か街の映画館で上映される時が来たら、どうぞ皆様よろしくお願いいたします。

Story:
福島県奥会津。ある村の廃校に、その小学校の元校長先生が1人で暮らしていた。校長は、もう使われることのないこの校舎を修繕しながら、「消えゆく我が舎」をいとおしむように静かに日々を送っていた。しかし、いよいよその校舎も解体されることが決まる。 ある日、かつてこの小学校で学んだ男・野田が博物館の職員として、校舎に保管されていた縄文遺跡出土品の整理にやって来た。実は、野田には誰にも明かせない「暗い過去」があった。それは閉校式に埋めた「タイムカプセル」にまつわるもの。しかし、校長や恩師であった綾子先生、その娘リツコと接していくうちに、小学校での懐かしい記憶が徐々に回復されていく。そんな中、村の老人施設にいた綾子先生が、記憶障害も進み身体が弱ってきたため、隣町の大きな病院に移ることになる。娘のリツコに付き添われて村を離れる道すがら、綾子先生は学校に立ち寄る。綾子先生は校庭を見渡し、小さく呟いた。「あの子達、どこへ行ったんでしょうねぇ」。その時・・・・

Cast:
西島秀俊、倍賞千恵子、坂本長利、風見章子、ほか、守田比呂也、水橋研二、塩野谷正幸、小松政夫らが出演

映画「ハーメルン」製作応援団東京支部:
http://kyowado.jp/hameln/index.html

募金のお願いのページ
http://kyowado.jp/hameln/bokin.html

ハ銀杏
ハ校舎
ハ豪雪
ハ豪雪2
黒谷さんとユトロ
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写真は、坪川拓史公式ブログより転載と井桁の撮影。
「むしゃなび」坪川拓史監督・最新インタビューはこちら!
http://www.mushanavi.com/mpage/?NO=15284
(いげたひろこ)

2012ハーメルン 表

2012ハーメルン 裏

◆ときの忘れものは、2012年11月22日[木]―12月1日[土]「井桁裕子作品展―加速する私たち」を開催しています(会期中無休)。
井桁裕子展DM600
球体関節人形や陶土による人形を手がけてきた井桁裕子。ときの忘れものでは2度目の個展となります。井桁の作品は、実在の人物をモデルにしながらその人物のイメージを彼女の中で再構成した「肖像人形」と言える作品であり、創造力と造形力の賜物です。作品から溢れ出るエネルギーは観る者に衝撃を与えます。本展では、舞踏家・高橋理通子をモデルにした新作を含め、桐塑、石塑粘土による作品と焼き物作品など約20点をご覧いただきます。
井桁さんは毎日13時~19時まで在廊しています