今年は恩地孝四郎、藤森静雄、田中恭吉の3人の若者が詩と版画の同人誌「月映(つくはえ)」を創刊してからちょうど100年を迎えます。
創作版画の記念碑ともいうべき「月映」は今見ても瑞々しい魅力にあふれ、三人の青春のエネルギーに満ちています。
「月映」100年を記念した展覧会が、宇都宮美術館(2014年11月16日 ~12月28日)、和歌山県立近代美術館(2015年1月17日~3月1日)で開催されるので、創作版画ファンとしてはいずれかには足を運びたい。
宇都宮と和歌山に先立って、小規模ではありますが、福井で「月映」関連展が始まりました。
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恩地孝四郎と「月映」展 
「月映」創刊100周年記念 
A氏コレクションより
会期:2014年5月28日(水)~6月8日(日)
12:00~19:00(月・火は休廊)
会場:福井市 E&Cギャラリー
ギャラリートーク:5月31日(土) 16:00~17:30 
「恩地孝四郎の芸術と月映」
恩地研究の第一人者、桑原規子氏を迎えて。
17:30~ 交流会
※参加費・予約は不要です。お気軽にご参加下さい!

今回の展覧会では当時美術学校の学生であった恩地孝四郎、藤森静雄、田中恭吉の3人が詩と版画の同人誌として大正3(1914年)に創刊した「月映(つくはえ)」に挿画された木版画群と対面いただき、若き魂の叫びを感じ取っていただきたい。あわせて創作版画を芸術の分野にまで引き上げ、日本の現代版画を世界に知らしめることに大きく貢献した「恩地孝四郎」芸術の先進性とその足跡も知っていただきたいと思います。恩地については版画作品のみならず、プロの装幀家としての仕事や出版創作と称した作品も展示します。恩地の名前も、「月映(つくはえ)」もご存知ない方も多いと思いますが、ぜひとも展覧会に足を運んでいただき彼らと向き合っていただき、100年の歴史とともに芸術、そして版画の持つ魅力と可能性を感じ取っていただければ幸いです。(同展チラシより)

■恩地孝四郎
1891年(明治24年)7月2日-1955年(昭和30年)6月3日東京都出身の版画家、装幀家、写真家、詩人。日本における抽象表現の先駆者、創作版画の推進者として知られ、近年は、国際的にも再評価の気運が高まっている。
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相変わらずの亭主の昔話で恐縮ですが、1974年に現代版画センタ-を創立した頃、唯一の常設展示場となったのは飯田橋にあった「憂陀」という飲み屋でした。この飲み屋の壁面を使い、今思うとずいぶんと贅沢な話ですが、恩地三保子さんに亡父の作品を貸していただき、田中恭吉や恩地孝四郎の展覧会を開きました。Uさんというコレクターの協力で「月映」も展示しました。
その頃から較べると、恩地孝四郎など創作版画の研究ははるかに深化し、桑原規子さんの画期的大著も一昨年刊行され高い評価を獲得しました。
極く少部数しか刷らなかったこの本、まだときの忘れものには在庫がありますので、どうぞお申し込みください。
恩地孝四郎研究 版画のモダニズム
桑原規子著
『恩地孝四郎研究 版画のモダニズム』
2012年10月10日 
せりか書房 発行
21.6x15.6cm
575ページ
著者サイン入り
8,640円(税込)

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ときの忘れもののコレクションから恩地孝四郎作品をご紹介します。
ともに生前の自刷り作品です。
onchi_30_flower
恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
白い花
1943年 木版
37.0x26.0cm

onchi_25_bathing
恩地孝四郎 Koshiro ONCHI
水浴
1929年 木版
21.4x14.8cm

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