野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第12回
ART SANTAFE リポート

この度アメリカのニューメキシコ州サンタフェで開催されるアートフェア、ART SANTA FEにときの忘れものさんのブースから出展させて頂く事となり、スタッフの皆さんと、作家の葉栗さん、長崎さんと一緒に15時間程度の長旅で7月8日にサンタフェに着きました。

ダラスからアルバカーキまでの国内便に乗りましたが、アメリカ大陸の広大さを感じました。
ニューヨークは行った事あるのですが、見渡す限りほぼ荒野で何もない景色というのは独特でした。
空から見る雲の出来方も海とは違って面白かったです。

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アルバカーキ空港からサンタフェまではシャトルバスで約一時間、到着後にレンタカーを借りに行きましたが、なんとあられ混じりの豪雨に襲われ、人生初めての左ハンドル、右車線での運転はより緊張するものになりましたが、左ハンドルに関しては想像以上に早く慣れ、右車線は意識しながらゆっくりであれば何とか無難にこなせました。
ただ、車庫入れや縦列駐車はどうも感覚がすぐに掴めず、苦労しています。

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今回の宿は一軒家のような所で、葉栗さん、ときの忘れものスタッフの新澤さんと男三人での共同生活になります。
これがまたメキシコ調?の素敵な部屋でびっくりでした。

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8日はある程度の展示作業をして終了しました。
晩御飯、朝御飯はスーパーで買い物をして、皆さんとリビングで食べています。

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9日、朝は寒い位でした。午前中から展示を再開し、午後3時までかかって無事に終了、昼ごはんはスタッフの皆さんと一緒にアメリカらしい大きなバーガーを食べました。

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まだ観光する時間はなかなかありませんが、合間に会場近所を30分だけ散歩しました。
サンタフェは治安も良く、のどかな町です。
午後5時からはオープニングレセプションと招待客のみの公開、初めて参加するフェアでどんな空気になるのだろうと思いましたが、お客様がどんどん来場され、入場口の目の前に設置された葉栗さんの木彫がインパクトあり、ときの忘れものブースは大賑わいでした。

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10日は一般公開初日、その前に朝の散歩で近所に良い公園を発見、美しい風景に癒やされました。
一般公開初日もたくさんのお客様が来場されていました。

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ただ、どうやらこちらのメキシコ系の料理はあまり日本人には合いにくいようで、日本食が恋しくなっているのを同じ日本のギャラリー、エデルさんの堀居さんが気遣ってくださり、夜はギャラリー合同で、堀居さんが日本から持って来られたレトルトカレーを頂きました。美味しかったです。
日没後の空の画像がありますが、やはり日本とは空の色も違うように思います。

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11日、一般公開2日目、この日もたくさんのお客様が来場されていました。
この日はお客様から「本当に美しい」「あなたの作品がこのフェアで一番素晴らしい」など、たくさんお褒めの言葉を頂きました。
ただ、今まで日本、韓国、シンガポール、ドイツ、色々な場所で展示の機会を頂きましたが、「クリムトに似ていますね」という言葉は、今までで最も多く言われたように思います。
アメリカの美術館には多くのクリムトの作品が所蔵されている事もあるのかと思いますが、いつの日か本当に「クリムトね」では無く「ノグチね」と言って頂けるように改めて頑張ろうと感じました。

そして夜はエデルの堀居さんのオススメの、サンタフェを代表するレストラン「コヨーテ・カフェ」へ、なかなかのお値段でしたが、アメリカらしい分厚いステーキがとても美味しかったです。

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会期はあと12日の一日、13日は状況次第で一日自由に観光ができるので、色々な事を感じて帰ろうと思います。
のぐち たくろう

noguchi_24_LS-32野口琢郎 Takuro NOGUCHI
"Landscape #32"
2014
Hakuga (Lacquer, Gold/Silver/Platinum foil, Charcoal, Resin, Transparent acrylic paint on Wood panel)
227.3x145.5cm(Size:M150)
Signed


野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmの皆さんによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は毎月5日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」は毎月8日の更新です。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・井桁裕子のエッセイ「私の人形制作」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「母さん目線の写真史」は毎月25日の更新です。
 ・「スタッフSの海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」は終了しました。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・新連載「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・浜田宏司のエッセイ「展覧会ナナメ読み」は随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイ他を随時更新します。
 ・故・木村利三郎のエッセイ、70年代NYのアートシーンを活写した「ニューヨーク便り」の再録掲載は終了しました。
 ・故・針生一郎の「現代日本版画家群像」の再録掲載は終了しました。
 ・故・難波田龍起のエッセイ「絵画への道」の再録掲載は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「私のAndy Warhol体験」は終了しました。
 ・ときの忘れものでは2014年からシリーズ企画「瀧口修造展」を開催し、関係する記事やテキストを「瀧口修造の世界」として紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。新たに1983年6月23日<元永定正さんの「日本芸術大賞」受賞を祝う会>を掲載しました。
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