昨日から始まった夜野悠さんの新連載エッセイ「書斎の漂流物」はいかがでしたか。
夜野さんは<書物や「モノ」へのフェティッシュな異常愛、蒐集パラノイアの尋常ならざる深層心理と逸脱した行動を、自ら実験台にして解き明かしていきたい。>と自ら宣言されていますが、今後の展開を想像するだけでわくわくしてきます。

このところ亭主の入院騒ぎでスタッフたちも穴埋めに四苦八苦していましたが、おかげさまでアクセスも急上昇、好評のようです。
10日にはまたあらたな執筆者による新連載が始まります。どうぞご期待ください。

8日からは、2013年に亡くなった浮田要三さんの遺作展を開催しますが、昨年に刊行された作品集『浮田要三の仕事』をご紹介します。

20150905130904_00001 のコピー『浮田要三の仕事』
2015年7月21日発行
発行所 りいぶる・とふん
編集人 浮田要三作品集編集委員会
制作人 浮田綾子、小崎唯
テキスト:浮田要三、貞久秀紀、加藤瑞穂、平井章一、井上明彦、おーなり由子
25.7×27.2cm
316ページ
全テキスト英訳
税込10,800円、送料別途


20150905130904_00006 のコピー本書54・55ページ


20150905130904_00007 のコピー本書144・145ページ


浮田要三の言葉
人間とは、悲しみの塊である。
その哲理を体得して、行為する作品を制作する。
それが正に「生」そのものと考える手段ではない。
生きている證としての作品の制作こそが、人間の本業と心得て
生ある限り生きるべきだと思っている。

ボクという「物」 平井章一
(略)
浮田の作品における精神と物質の相克は、吉原以上に忠実に、「具代美術宣言」における芸術観を体現しているようにも読み取れるのである。浮田は、美術というものへの考え方だけでなく、その表現方法においても、時代を超えた“「具体」人”であったのだ。そしてそれだけではなく、1985年に開設したアトリエUKITAを拠点に、子どもたちや障がいのある人たちを自己実現の喜びへと導き、「具体」というグループの本質ともいうべきものを、「具体」を知らない世代へと引き継いだのであった。
(略)
『浮田要三の仕事』(2015年、りいぶる・とふん発行)より

目次(抄):
・具体の浮田要三
・『きりん』時代
・ウーちゃんの帽子
・ハジメマシテ
・フィンランド、フォルッサ
・鉛橋
・L
・浮田要三小論(哲学的考察に於いて) 浮田要三
・文:『ほとんど何もない作品集』より 貞久秀紀
・吉原治良と浮田要三の接点 加藤瑞穂
・ボクという「物」 平井章一
・浮田先生の呼び出し 井上明彦
・浮田さんのおっちゃん おーなり由子
・浮田要三の言葉

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。


昨年、大阪で出版記念展も開催され、「浮田要三を語る会」及びレセプションには社長が出席させていただきました。
浮田さんには生前お目にかかる機会はありませんでしたが、雑誌《きりん》を通じてお名前は存じ上げており、堀尾貞治さんやご遺族たちが語る浮田さんの人柄にあらためて感銘を受けました。
作品集はときの忘れものでも扱っております。
ご注文はこちらから。

●今日のお勧め作品は、浮田要三です。
01出品No.1)
浮田要三
《二本》
1999年
油彩、アクリル、キャンバス
92.0x70.0cm
サインあり


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◆ときの忘れものでは2016年4月8日(金)~4月23日(土)まで「浮田要三展」を開催します(日・月・祝日休廊)。
201604_UKITA_1000
1954年に関西在住の若手作家を中心に結成された「具体(具体美術協会)」。1950年代にはまだパフォーマンスやインスタレーションといった表現が新奇の眼で見られるだけで、美術作品としての評価はなかなかされにくい時代でした。
しかし近年では国際的にも注目をあび、1950~70年代の日本のアートを再評価し検証する動きが活発です。2013年2月にニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された「GUTAI」展は大反響を呼びました。
具体のリーダーであった吉原治良の「人の真似をするな」という言葉に象徴されるように、具体美術協会に参加した作家たちは従来の表現や素材を次々と否定して新しい美術表現を旺盛に展開していきました。
本展では「具体」に参加した浮田要三に焦点を当て、油彩作品をご覧いただきます。

●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。