「浮田要三展」は本日23日が最終日です。
<今日の夕方はときの忘れものにお邪魔した。現在開催中なのは浮田要三という作家の個展。「具体」のメンバーの一人なのだけれど元々は編集者で担当していた『きりん』という児童雑誌の挿絵を具体のリーダーであった吉原治良に依頼に行ったときに「君も作品を作ってみろ」と言われて製作に取り組み始めた、という人らしい。凄いエピソードだなぁ。
展示されていた作品は「具体の作家さんだな」と感じるものだがとても強い個性がある。一つは素材性の強さ。ドンゴロスだとか鉄の薄板、あるいはビニールシートなど、日常で馴染みがあるが芸術作品の中に入ると違和感を感じるものが、ちょうど良い強さの自己主張で作品の中に納まっている。色使いもとてもくっきりしていて北欧やドイツのモダンな家具のよう。
こういう展示を見るとほんとに自分の知らないことが多いなーと実感する。こういう時期の作家さんだからこんな感じなんだろう、なんて自分の思い込みで決めてちゃ駄目だねー。
林光一郎さんのブログより>

井上靖らによって創刊された雑誌『きりん』の編集者として吉原治良を知った浮田要三は吉原に誘われ具体美術協会に初期から参加し、絵画制作の道に入ります。
途中制作を中断したものの1980年代から亡くなる2013年まで旺盛な制作活動を展開しました。
本展では大作を中心に展示しています。どうぞお見逃しなく。
浮田要三の生涯と作品については河﨑晃一さんのエッセイをお読みください。
第1回:浮田要三のいろとかたち、浮田要三と『きりん』
第2回:吉原治良と浮田要三、
第3回:画家浮田要三
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今月末から5月にかけての大連休、人によっては一週間まるまるお休みを利用して海外旅行をされる方もいるでしょう。
熊本や大分はじめ大地震の被災者の皆さんは連休どころではなく、心身の疲労に耐える辛い日々、一刻もはやく安全な暮らしに戻れるよう祈るばかりです。
私たちにできることは、通常の経済活動を維持し、それによって得られる利益が血流のごとく被災地に送り込まれることに少しでも参加することだと思っています。
涙のリハビリ特訓中(痛いんですよ)で海外はもちろん国内旅行もままならぬ亭主と社長ではありますが、せっかくの連休、美術館でしばしの憩いを楽しめればと思っています。
以下、亭主の好みで選んだ連休中に見られる展覧会のいくつか、ご紹介します。
先ず何といってもイチオシは、和歌山県立近代美術館で開催される(4月29日-6月12日)「恩地孝四郎展 抒情とモダン」ですね。
竹橋の東京国立近代美術館での恩地孝四郎展には4回通った亭主ですが、久しぶりに和歌山に行きたいものです。




「恩地孝四郎展 抒情とモダン」
会期:2016年4月29日(金・祝)~6月12日(日)
会場:和歌山県立近代美術館
時間:9:30~17:00(入場は16:30 まで)
休館:月曜日
竹久夢二との出会いをきっかけに画家を志した恩地は、1914年に田中恭吉・藤森静雄と詩と版画の雑誌『月映(つくはえ)』を刊行します。同誌で発表した1915年の《抒情『あかるい時』》等は、日本における抽象表現の先駆けとなりました。1920~30年代には時代と呼応しつつ様々な版表現の可能性を追求し、戦後になると専ら抽象版画の連作を発表します。特に、作者の心にわき起こる感情をかたちにした「抒情(リリック)」シリーズは、一貫して画業の根底をなすものでした。版画表現の近代化に向けて偉大な足跡を残した恩地の自由な創作姿勢は、後世の版画家たちにも多大な影響をあたえています。
本展では海外からの里帰り作品を含む版画243点を中心に、油彩、素描、写真、ブック・デザインなど、その領域横断的な仕事も併せて、約400点を一挙紹介いたします。(同展HPより転載)
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●東京国立近代美術館工芸館「芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション」3月5日(土)~5月8日(日)


「芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション」
会期:2016年3月5日(土)~5月8日(日)
会場:東京国立近代美術館工芸館
時間:10:00~17:00 ※入館時間は閉館30分前まで
休館:月曜日(5月2日は開館)
芹沢銈介(1895-1984)は日本を代表する染色家であり、その評価は国内にとどまらず、生前、大成功を収めたパリ展をはじめ、アメリカ、イギリス、ロシアなどでも個展が開催されています。1956年、重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定にあたって「型絵染」という概念を引き出した作風は、堅固な型と確かな構図に特徴があり、華やかな色、楽しい配色、晴れやかでありながら底に深さと静けさを見る…実はこれらは芹沢が紅型について語った言葉でしたが、ここに描述された様相はそのまま芹沢の作品に重なるようです。おそらくそれは染色の道を選ばせ、生涯憧れ続けた世界観を、芹沢が自らの仕事のなかで追求し、実証していったからではないでしょうか。
本展は2015年に金子量重氏からご寄贈いただいた芹沢作品167件430点を核として構成いたします。アジア民族造形研究の先達である金子氏の選択眼、そして芹沢との深い信頼関係が築き上げたこの貴重なコレクションは、屏風やのれん、型染本、カレンダー、装幀からスケッチ、下絵、本の割り付けイメージまで多種多彩です。
それらをじっくり味わっていただくために、本展覧会ではキーワードを3つご用意しました。「模様」「もの」「旅」――いずれも芹沢の主要なテーマです。しかし形式だけでなく、技法、年代、作域のいずれについても幅広い内容は、異なるイメージを結びつけたり、反対に寸断し、更新させたりするかもしれません。ちょうど「文字文」への取組みにおいて芹沢が文字の機能を解体し、新たな相を見せながらその本質へと向かったように、今回の展示をご覧になった皆さんが、芹沢のさまざまな側面と出合い、文脈を結びながら、それぞれの芹沢銈介像を描かれることを期待しています。(同展HPより転載)
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●千葉市美術館「生誕140年 吉田博展」4月9日(土)~5月22日(日)



「生誕140年 吉田博展」
会期:2016年4月9日(土)~ 5月22日(日)※会期中に展示替えがあります。
会場:千葉市美術館
時間:日~木曜日/10:00~18:00、金・土曜日/10:00~20:00 ※入場受付は閉館の30分前まで
休館:4月25日(月)、5月2日(月)
市民美術講座
「吉田博―残された資料が語ること」
講師:西山純子(千葉市美術館主任学芸員)
5月7日(土)14:00より(13:30開場予定)
・11階講堂にて
・聴講無料
・先着150名
―けれども私は自然を崇拝する側に立ちたい―
吉田博(明治9年~昭和25年/1876-1950)は福岡県久留米市の生まれ。京都の地で三宅克己の水彩画に感銘を受け、以来本格的な洋画修業を始めました。明治27年に上京して不同舎に入門、小山正太郎のもとで風景写生に励んで技を磨きます。明治32年には中川八郎とともに渡米、言葉もままならない異国で自作を大いに売って生活の資を得るという快挙をなし、アメリカ各地からロンドンやパリを巡って明治34年に帰国しました。以後も外遊を重ねて東西の芸術作法を見つめ、内外の風景に取材して水彩画や油彩画を発表、太平洋画会や官展を舞台に活躍を続けました。
とりわけ高山を愛し、常人の足の及ばぬ深山幽谷に分け入ることで描いた作品は、新たな視界や未知なる美を発見した驚きと喜びに満ちています。大正後期からは彫師・摺師と組んだ木版画に軸足を移し、伝統的な技術に洋画の表現を融合したかつてない精巧・清新な造形で国内外の版画愛好家を魅了し続けました。
吉田博は生涯、世界における自らの位置を考え続けた画家といってよいでしょう。その思考の跡が、湿潤な日本の風景をみずみずしく描いた水彩画であり、雄大な自然美を登山家ならではの視点からとらえた油彩画であり、浮世絵以来の技術を新解釈した木版画でした。比較的早くに評価の定まった白馬会系の絵描きたちに比し、長く埋もれてきた感のある博の画業は、今の私たちにどう映るでしょうか。「絵の鬼」と呼ばれ、水彩で、油彩で、木版画で世界に挑み続けた画人の「これが日本人の洋画だ」という答えー。生誕140年を記念し、代表作に初公開の写生帖などをあわせた300点超の作品からなるこの大回顧展で、とくとご覧ください。(同展HPより転載)
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●国立新美術館「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」3月16日(水)~6月16日(木)


「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」
会期:2016年3月16日(水)~6月13日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館:火曜日 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
デザイナーの三宅一生は、1970年に三宅デザイン事務所を立ち上げ、つねに次の時代を見すえながら、新しい服づくりの方法論と可能性を示しています。一枚の布と身体との関係を基本に、チームと取り組むさまざまな研究開発から生まれた衣服は、革新性と心地よさをかね備え、私たちの生活を活気づけています。本展は、三宅一生の仕事を通して、こどもから大人まで、だれもがつくることの楽しさに触れられる展覧会です。(同展HPより転載)
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●足利市立美術館「画家の詩、詩人の絵」4月9日(土)~6月12日(日)


「画家の詩、詩人の絵」
会期:2016年4月9日(土)~6月12日(日)
会場:足利市立美術館
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館:月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館、5月6日(金)
詩人と画家、
それはふたつの人種ではない。
二人はある日、どこかで出会ったのだが、
あとから確かめるすべもなく
ふたつが、ひとつのものの
なかで出会う
これは瀧口修造の詩です。瀧口は画家と詩人は本来ひとつだと言っています。彼らは 表現方法は異なりますが、自身の意や情にかたちを与えるべく、やみがたい思いに駆られている点ではひとつなのです。ときとして絵の果てに言葉が、言葉の果てに絵が顕れ、画家は詩を、詩人は絵を手がけました。それは、言葉でしか、あるいは絵でしか表現できないものと彼らが出会ったことによります。このとき画家は自身の内に詩人を、詩人は画家を見出します。本展はそのような画家と詩人の展覧会です
そもそも画家と詩人を分けること自体、便宜的なことなのかもしれません。古来、「絵 は黙せる詩、詩は語る絵」といわれてきました。ときに絵は詩のように語りかけ、詩は絵のような豊かな色彩とかたちをありありと提示します。もとより日本には文人画の伝統があり、絵画と詩の分かちがたい表現こそ、その独自性を表していると言えるでしょう。今後、詩と絵は越境し、ともども新たな境地を開いていくと思われます。
本展は、明治から現代までの画家と詩人の 詩と絵を一堂にあつめ、彼らの絵と詩は、けっして一方が他方を補足するものではないという観点から見直す試みです。「ひとつのもののなかで出会う」画家と詩人 詩と絵をご覧ください。(同展HPより転載)
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●大川美術館「棟方志功とマルク・シャガール」4月2日(土)~6月26日(日)

「棟方志功とマルク・シャガール 挿絵版画の世界
―谷崎潤一郎「鍵」、シェークスピア「テンペスト」を中心に―」
会期:2016年4月2日(土)~6月26日(日)
会場:大川美術館
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館:月曜日 ※月曜祝日の場合は火曜日
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●国立国際美術館「森村泰昌 自画像の美術史」4月5日~6月19日



「森村泰昌 自画像の美術史」
会期:2016年4月5日(火)~6月19日(日)
会場:国立国際美術館
開館時間:10:00~17:00(金曜日は19:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館:月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館
これらの作品は自画像のなかのたくさんの「私」と
絵を観るたったひとりの「わたし」との出会いから生まれた ――森村泰昌
日本を代表する現代美術家として、国際的に活躍する森村泰昌が、地元・大阪の美術館では初となる大規模個展を開催します。
絵画の登場人物や映画女優、歴史上の有名人物に自らが扮するセルフ・ポートレイト写真で知られる森村は、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品を作り続けてきました。
本展は、これまで取り組んできた自画像の美術史の集大成ともいえる渾身の作品が並ぶ第1部と、森村の表現の新たな可能性を示す長編映像作品の2部構成で、円熟期を迎えた作家の魅力に迫ります。(同展HPより転載)
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いかがでしょうか。
ぜひ、連休は美術館に!
●今日のお勧め作品は、恩地孝四郎です。
恩地孝四郎
「水浴」
1929年
カラー木版
Image size: 21.4x14.8cm
Sheet size: 25.8x17.5cm
※『恩地孝四郎版画集』No.125(1975年、形象社)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆ときの忘れものでは2016年5月10日(火)~5月28日(土)まで「オクヤナオミ展」を開催します(日・月・祝日休廊)。
1930年石川県に生まれる。金沢美術工芸専門学校(現、金沢美術大学)卒業。1965年から1982年までパリに住み、制作。1965年以降、パリ青年ビエンナーレ展をはじめ、ヨーロッパ各国の国際美術展、版画展に出品。
本展では、パリ時代の油彩6点を中心にご覧頂きます。
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
<今日の夕方はときの忘れものにお邪魔した。現在開催中なのは浮田要三という作家の個展。「具体」のメンバーの一人なのだけれど元々は編集者で担当していた『きりん』という児童雑誌の挿絵を具体のリーダーであった吉原治良に依頼に行ったときに「君も作品を作ってみろ」と言われて製作に取り組み始めた、という人らしい。凄いエピソードだなぁ。
展示されていた作品は「具体の作家さんだな」と感じるものだがとても強い個性がある。一つは素材性の強さ。ドンゴロスだとか鉄の薄板、あるいはビニールシートなど、日常で馴染みがあるが芸術作品の中に入ると違和感を感じるものが、ちょうど良い強さの自己主張で作品の中に納まっている。色使いもとてもくっきりしていて北欧やドイツのモダンな家具のよう。
こういう展示を見るとほんとに自分の知らないことが多いなーと実感する。こういう時期の作家さんだからこんな感じなんだろう、なんて自分の思い込みで決めてちゃ駄目だねー。
林光一郎さんのブログより>

井上靖らによって創刊された雑誌『きりん』の編集者として吉原治良を知った浮田要三は吉原に誘われ具体美術協会に初期から参加し、絵画制作の道に入ります。
途中制作を中断したものの1980年代から亡くなる2013年まで旺盛な制作活動を展開しました。
本展では大作を中心に展示しています。どうぞお見逃しなく。
浮田要三の生涯と作品については河﨑晃一さんのエッセイをお読みください。
第1回:浮田要三のいろとかたち、浮田要三と『きりん』
第2回:吉原治良と浮田要三、
第3回:画家浮田要三
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今月末から5月にかけての大連休、人によっては一週間まるまるお休みを利用して海外旅行をされる方もいるでしょう。
熊本や大分はじめ大地震の被災者の皆さんは連休どころではなく、心身の疲労に耐える辛い日々、一刻もはやく安全な暮らしに戻れるよう祈るばかりです。
私たちにできることは、通常の経済活動を維持し、それによって得られる利益が血流のごとく被災地に送り込まれることに少しでも参加することだと思っています。
涙のリハビリ特訓中(痛いんですよ)で海外はもちろん国内旅行もままならぬ亭主と社長ではありますが、せっかくの連休、美術館でしばしの憩いを楽しめればと思っています。
以下、亭主の好みで選んだ連休中に見られる展覧会のいくつか、ご紹介します。
先ず何といってもイチオシは、和歌山県立近代美術館で開催される(4月29日-6月12日)「恩地孝四郎展 抒情とモダン」ですね。
竹橋の東京国立近代美術館での恩地孝四郎展には4回通った亭主ですが、久しぶりに和歌山に行きたいものです。




「恩地孝四郎展 抒情とモダン」
会期:2016年4月29日(金・祝)~6月12日(日)
会場:和歌山県立近代美術館
時間:9:30~17:00(入場は16:30 まで)
休館:月曜日
竹久夢二との出会いをきっかけに画家を志した恩地は、1914年に田中恭吉・藤森静雄と詩と版画の雑誌『月映(つくはえ)』を刊行します。同誌で発表した1915年の《抒情『あかるい時』》等は、日本における抽象表現の先駆けとなりました。1920~30年代には時代と呼応しつつ様々な版表現の可能性を追求し、戦後になると専ら抽象版画の連作を発表します。特に、作者の心にわき起こる感情をかたちにした「抒情(リリック)」シリーズは、一貫して画業の根底をなすものでした。版画表現の近代化に向けて偉大な足跡を残した恩地の自由な創作姿勢は、後世の版画家たちにも多大な影響をあたえています。
本展では海外からの里帰り作品を含む版画243点を中心に、油彩、素描、写真、ブック・デザインなど、その領域横断的な仕事も併せて、約400点を一挙紹介いたします。(同展HPより転載)
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●東京国立近代美術館工芸館「芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション」3月5日(土)~5月8日(日)


「芹沢銈介のいろは―金子量重コレクション」
会期:2016年3月5日(土)~5月8日(日)
会場:東京国立近代美術館工芸館
時間:10:00~17:00 ※入館時間は閉館30分前まで
休館:月曜日(5月2日は開館)
芹沢銈介(1895-1984)は日本を代表する染色家であり、その評価は国内にとどまらず、生前、大成功を収めたパリ展をはじめ、アメリカ、イギリス、ロシアなどでも個展が開催されています。1956年、重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定にあたって「型絵染」という概念を引き出した作風は、堅固な型と確かな構図に特徴があり、華やかな色、楽しい配色、晴れやかでありながら底に深さと静けさを見る…実はこれらは芹沢が紅型について語った言葉でしたが、ここに描述された様相はそのまま芹沢の作品に重なるようです。おそらくそれは染色の道を選ばせ、生涯憧れ続けた世界観を、芹沢が自らの仕事のなかで追求し、実証していったからではないでしょうか。
本展は2015年に金子量重氏からご寄贈いただいた芹沢作品167件430点を核として構成いたします。アジア民族造形研究の先達である金子氏の選択眼、そして芹沢との深い信頼関係が築き上げたこの貴重なコレクションは、屏風やのれん、型染本、カレンダー、装幀からスケッチ、下絵、本の割り付けイメージまで多種多彩です。
それらをじっくり味わっていただくために、本展覧会ではキーワードを3つご用意しました。「模様」「もの」「旅」――いずれも芹沢の主要なテーマです。しかし形式だけでなく、技法、年代、作域のいずれについても幅広い内容は、異なるイメージを結びつけたり、反対に寸断し、更新させたりするかもしれません。ちょうど「文字文」への取組みにおいて芹沢が文字の機能を解体し、新たな相を見せながらその本質へと向かったように、今回の展示をご覧になった皆さんが、芹沢のさまざまな側面と出合い、文脈を結びながら、それぞれの芹沢銈介像を描かれることを期待しています。(同展HPより転載)
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●千葉市美術館「生誕140年 吉田博展」4月9日(土)~5月22日(日)



「生誕140年 吉田博展」
会期:2016年4月9日(土)~ 5月22日(日)※会期中に展示替えがあります。
会場:千葉市美術館
時間:日~木曜日/10:00~18:00、金・土曜日/10:00~20:00 ※入場受付は閉館の30分前まで
休館:4月25日(月)、5月2日(月)
市民美術講座
「吉田博―残された資料が語ること」
講師:西山純子(千葉市美術館主任学芸員)
5月7日(土)14:00より(13:30開場予定)
・11階講堂にて
・聴講無料
・先着150名
―けれども私は自然を崇拝する側に立ちたい―
吉田博(明治9年~昭和25年/1876-1950)は福岡県久留米市の生まれ。京都の地で三宅克己の水彩画に感銘を受け、以来本格的な洋画修業を始めました。明治27年に上京して不同舎に入門、小山正太郎のもとで風景写生に励んで技を磨きます。明治32年には中川八郎とともに渡米、言葉もままならない異国で自作を大いに売って生活の資を得るという快挙をなし、アメリカ各地からロンドンやパリを巡って明治34年に帰国しました。以後も外遊を重ねて東西の芸術作法を見つめ、内外の風景に取材して水彩画や油彩画を発表、太平洋画会や官展を舞台に活躍を続けました。
とりわけ高山を愛し、常人の足の及ばぬ深山幽谷に分け入ることで描いた作品は、新たな視界や未知なる美を発見した驚きと喜びに満ちています。大正後期からは彫師・摺師と組んだ木版画に軸足を移し、伝統的な技術に洋画の表現を融合したかつてない精巧・清新な造形で国内外の版画愛好家を魅了し続けました。
吉田博は生涯、世界における自らの位置を考え続けた画家といってよいでしょう。その思考の跡が、湿潤な日本の風景をみずみずしく描いた水彩画であり、雄大な自然美を登山家ならではの視点からとらえた油彩画であり、浮世絵以来の技術を新解釈した木版画でした。比較的早くに評価の定まった白馬会系の絵描きたちに比し、長く埋もれてきた感のある博の画業は、今の私たちにどう映るでしょうか。「絵の鬼」と呼ばれ、水彩で、油彩で、木版画で世界に挑み続けた画人の「これが日本人の洋画だ」という答えー。生誕140年を記念し、代表作に初公開の写生帖などをあわせた300点超の作品からなるこの大回顧展で、とくとご覧ください。(同展HPより転載)
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●国立新美術館「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」3月16日(水)~6月16日(木)


「MIYAKE ISSEY展 三宅一生の仕事」
会期:2016年3月16日(水)~6月13日(月)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
時間:10:00~18:00(金曜日は20:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館:火曜日 ※ただし5月3日(火・祝)は開館
デザイナーの三宅一生は、1970年に三宅デザイン事務所を立ち上げ、つねに次の時代を見すえながら、新しい服づくりの方法論と可能性を示しています。一枚の布と身体との関係を基本に、チームと取り組むさまざまな研究開発から生まれた衣服は、革新性と心地よさをかね備え、私たちの生活を活気づけています。本展は、三宅一生の仕事を通して、こどもから大人まで、だれもがつくることの楽しさに触れられる展覧会です。(同展HPより転載)
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●足利市立美術館「画家の詩、詩人の絵」4月9日(土)~6月12日(日)


「画家の詩、詩人の絵」
会期:2016年4月9日(土)~6月12日(日)
会場:足利市立美術館
時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館:月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館、5月6日(金)
詩人と画家、
それはふたつの人種ではない。
二人はある日、どこかで出会ったのだが、
あとから確かめるすべもなく
ふたつが、ひとつのものの
なかで出会う
これは瀧口修造の詩です。瀧口は画家と詩人は本来ひとつだと言っています。彼らは 表現方法は異なりますが、自身の意や情にかたちを与えるべく、やみがたい思いに駆られている点ではひとつなのです。ときとして絵の果てに言葉が、言葉の果てに絵が顕れ、画家は詩を、詩人は絵を手がけました。それは、言葉でしか、あるいは絵でしか表現できないものと彼らが出会ったことによります。このとき画家は自身の内に詩人を、詩人は画家を見出します。本展はそのような画家と詩人の展覧会です
そもそも画家と詩人を分けること自体、便宜的なことなのかもしれません。古来、「絵 は黙せる詩、詩は語る絵」といわれてきました。ときに絵は詩のように語りかけ、詩は絵のような豊かな色彩とかたちをありありと提示します。もとより日本には文人画の伝統があり、絵画と詩の分かちがたい表現こそ、その独自性を表していると言えるでしょう。今後、詩と絵は越境し、ともども新たな境地を開いていくと思われます。
本展は、明治から現代までの画家と詩人の 詩と絵を一堂にあつめ、彼らの絵と詩は、けっして一方が他方を補足するものではないという観点から見直す試みです。「ひとつのもののなかで出会う」画家と詩人 詩と絵をご覧ください。(同展HPより転載)
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●大川美術館「棟方志功とマルク・シャガール」4月2日(土)~6月26日(日)

「棟方志功とマルク・シャガール 挿絵版画の世界
―谷崎潤一郎「鍵」、シェークスピア「テンペスト」を中心に―」
会期:2016年4月2日(土)~6月26日(日)
会場:大川美術館
時間:10:00~17:00 ※入館は16:30まで
休館:月曜日 ※月曜祝日の場合は火曜日
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●国立国際美術館「森村泰昌 自画像の美術史」4月5日~6月19日



「森村泰昌 自画像の美術史」
会期:2016年4月5日(火)~6月19日(日)
会場:国立国際美術館
開館時間:10:00~17:00(金曜日は19:00まで) ※入場は閉館の30分前まで
休館:月曜日 ※ただし5月2日(月)は開館
これらの作品は自画像のなかのたくさんの「私」と
絵を観るたったひとりの「わたし」との出会いから生まれた ――森村泰昌
日本を代表する現代美術家として、国際的に活躍する森村泰昌が、地元・大阪の美術館では初となる大規模個展を開催します。
絵画の登場人物や映画女優、歴史上の有名人物に自らが扮するセルフ・ポートレイト写真で知られる森村は、一貫して「自画像的作品」をテーマに作品を作り続けてきました。
本展は、これまで取り組んできた自画像の美術史の集大成ともいえる渾身の作品が並ぶ第1部と、森村の表現の新たな可能性を示す長編映像作品の2部構成で、円熟期を迎えた作家の魅力に迫ります。(同展HPより転載)
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いかがでしょうか。
ぜひ、連休は美術館に!
●今日のお勧め作品は、恩地孝四郎です。
恩地孝四郎「水浴」
1929年
カラー木版
Image size: 21.4x14.8cm
Sheet size: 25.8x17.5cm
※『恩地孝四郎版画集』No.125(1975年、形象社)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。
◆ときの忘れものでは2016年5月10日(火)~5月28日(土)まで「オクヤナオミ展」を開催します(日・月・祝日休廊)。
1930年石川県に生まれる。金沢美術工芸専門学校(現、金沢美術大学)卒業。1965年から1982年までパリに住み、制作。1965年以降、パリ青年ビエンナーレ展をはじめ、ヨーロッパ各国の国際美術展、版画展に出品。本展では、パリ時代の油彩6点を中心にご覧頂きます。
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
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