スタッフSの海外ネットサーフィン No.42「V&AにArt Decoを学ぶ」

読者の皆様こんにちわ。連日雨が降り続くも、ちっとも涼しくない日々が続く中、いかがお過ごしでしょうか? 帰りに度々雨に降られて濡れ鼠となり、家に帰り着いた後はシャワーを浴びてからエアコンをガンガンに効かせた部屋で白湯を飲むという贅沢を日々楽しんでおります、スタッフSこと新澤です。

毎回自分や画廊に縁のある地域や作家の海外アートイベントを紹介しているこの連載ですが、今回は少々趣を変えてお送りします。

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ときの忘れものは、来月の1日より10日まで、「アール・デコの作家~バルビエ、エルテ、ラブルール、カッサンドル展」を開催します。
このブログを定期的に読まれている方には今更な話ですが、「アール・デコ(Art Deco)」とは1800年代後半から1900年代初頭に流行した「アール・ヌーボー(Art Nouveau)」(産業革命以降、粗悪になった実用品に芸術性を取り戻す事を目的としたデザイン様式。うねる曲線を多用して組み合わせたデザインが特徴)により複雑化しすぎた実用品のデザインを、幾何学的な線とパターン化された模様を用いることにより、デザイン性を維持したまま簡潔さと合理性を目指して1920年代から1930年代にかけて展開された芸術革新のムーブメントです。「アール・ヌーボー」、「アール・デコ」共にフランスが発祥ですが、「アール・デコ」はアメリカに渡ると爆発的に普及し、ニューヨークの摩天楼などに代表されるデザインとなりました。日本でも、朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)等が、アール・デコ様式を取り入れた内装で知られています。

今回のときの忘れもののアール・デコ展では平面作品しか出品していませんが、その影響下にあるデザインは印刷物以外にも建築、内装、工業デザイン、ファッション、テクスタイルなど多岐に渡ります。そんな広大な分野の作品群を紹介してくれるのがV&A、以前もこの連載で紹介した、英国ロンドンにあるヴィクトリア&アルバート博物館です。

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By Diliff (Own work) [CC BY-SA 3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0) or GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html)], via Wikimedia Commons

イギリスの工芸品やインダストリアルデザインの質を高め、工業の振興を図るための博物館として構想されただけあり、その所蔵品は絵画、彫刻、写真、ガラス工芸品、金属製品、陶磁器、宝石・貴金属、建築関連、アジア美術、衣装、アンティーク家具、中世から近代の武器、本、おもちゃ、テディベア、古い電化製品まで含み、その数は400万点を超えています。公式ホームページでは所蔵品の検索が可能ですが、「Art deco」と検索するだけで実に988点もの関連作品を確認することができ、過去の記事検索でも44のアール・デコに関する記事を読むことが可能です(流石に英文のみですが)。

この機会にアール・デコがどのようなものか見てみたい方、企画展に先駆けて予習されたい方は以下のリンクをご覧になってみてください。V&Aのアール・ヌーボーコレクションのリストも合わせて掲載しておきますので、ご興味のある方は互いのデザインラインの違いを比較してみるのも面白いかもしれません。

V&Aアール・デココレクションリスト
V&Aアール・ヌーボーコレクションリスト
V&Aアール・デコ関連記事一覧
V&A 公式サイト

(しんざわ ゆう)

●ときの忘れものは、ただいま夏季休廊中です(2016年8月21日[日]~8月29日[月])。
休み中のお問合せ等への返信は直ぐにはできませんので、ご了承ください。