本日から「松本竣介と『雜記帳』」展を開催します。
ときの忘れものとしては3回目となる竣介展ですが、今回は松本竣介が編集・刊行した雑誌『雜記帳』に焦点をあて、竣介の素描8点と、同誌に挿画を寄せた恩地孝四郎福沢一郎海老原喜之助難波田龍起鶴岡政男桂ゆきの6作家の作品、計14点を展示します。あわせて雑誌『雜記帳』のオリジナルと復刻版を出品します。
出品全作品の詳細は10月4日のブログをご覧ください。

松本竣介が編集、刊行した雑誌『雜記帳』には当時の最も良質な知識人たちが寄稿し、多くの画家たちが挿画を寄せています。
その詳細については植田実さんの連載エッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む 第12回」をお読みいただきたいのですが、それらの中から上掲の6人を選びました。
最初に紹介するのは恩地孝四郎です。
雑記帳07p26恩地孝四郎雜記帳07号p26所収 恩地孝四郎
*『雜記帳』所収の挿画は一括して神奈川県立近代美術館に収蔵されています。


出品No.9 恩地孝四郎 「水浴」
009_恩地孝四郎_水浴1929年
カラー木版
Image size: 21.4x14.8cm
Sheet size: 25.8×18.1cm
※『恩地孝四郎版画集』掲載No.125(1975年 形象社)
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恩地孝四郎(1891-1955) Onchi Koshiro
東京生まれ。10代で竹久夢二に私淑し感化を受ける。東京美術学校で洋画・彫刻を学ぶが中退。1914年藤森静雄・田中恭吉と詩と版画の雑誌[月映]を創刊し、抽象作品を発表する。萩原朔太郎の詩集『月に吠える』の装幀と挿画を担当、1928年『北原白秋全集』の装幀で装本家の地位を確立した。日本における抽象美術の先駆者であり木版画近代化の立役者であった恩地は
1918年日本創作版画協会創立に参加、日本版画協会に改組後も63歳で亡くなるまで指導者として日本の版画芸術の振興に尽力した。その制作は木版画のみならず、フロッタージュの技法をとり入れたモノタイプ、油彩、水彩・素描、写真、ブックデザイン、詩作にまで及んだ。しかし、早くから志した抽象表現への理解は薄く、抽象と具象の混在した戦前戦中期を経て、完全な抽象時代へは戦後をまたねばならなかった。敗戦後の占領期にGHQ関係者として来日した外国人コレクターたちの理解と支援を得て、ようやく抽象表現に専念した晩年の10年間に作られた大型抽象作品の多くは海外に流出してしまった。
大英博物館・シカゴ美術館・ボストン美術館・ホノルル美術館などから借用したそれら流出作品を集めた本格的な回顧展「恩地孝四郎展 形はひびき、色はうたう」が東京国立近代美術館と和歌山県立近代美術館で開催されたのは2016年であった。
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*画廊亭主敬白
えー、先日の余談の続きといってはなんですが、美術(芸術)が社会に生きられるには「寛容」と「多様性(共生)」が必要だなぁとつくづく思います。
そんなことお前に言われたくないと石が飛んできそうですが、その通りでして昔から「敵千人、味方一人」と言われ、あちこち喧嘩ばかりしてきました(一人はもちろん社長ですが)。
そんな亭主ですら、最近の「不寛容」と「独善(独裁)」が跋扈する世情は息苦しい限りです。国民を代表する政治家たちは品のない言葉や、あざ笑うかのような態度で少数者を省みない。見ていて悲しくなります。
そんな不穏な日本ですが、いま盛り上がっているのがラグビーW杯、心配されたチケットの販売もどうやら完売に近いようです(めでたい)。
ラグビーファンの亭主はラジオでアイルランドに日本が勝つという歴史的快挙を聞き、興奮しきりだったのですが、某新米社員はきょとんとしている。どうやらラグビーを実戦はもちろんテレビでも見たことがないらしい。ここは本業の美術に必須な「寛容」と「多様性(共生)」を学ぶために、急遽社員研修を実施する運びとなりました。会場は静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアム。スコットランド対ロシアの試合を観戦し、のちほど新米社員から研修報告をいたします。
ということで、明日9日は社長以下約4名は不在でありますが、大番頭以下ベテランスタッフが皆様のご来廊をお待ちしています。

◆ときの忘れものは「松本竣介と『雜記帳』」展を開催しています。
会期:2019年10月8日(火)~10月26日(土) *日・月・祝日休廊
両面
「松本竣介と『雜記帳』」展図録のご案内
松本竣介と雑記帳2019年 
ときの忘れもの刊
B5判 44ページ
テキスト:小松崎拓男
収録作家:松本竣介恩地孝四郎福沢一郎海老原喜之助難波田龍起鶴岡政男桂ゆき
価格:1,100円(税込)
梱包送料:250円

*メールにてお申し込みください。

・松本竣介の画集、カタログを特別頒布しています。
小松崎拓男さんの連載エッセイ「松本竣介研究ノート」は毎月3日の更新です。
・大川美術館の小此木美代子さんのエッセイ/「松本竣介 アトリエの時間」について
・東京国立近代美術館の大谷省吾さんのエッセイ「松本竣介の素描について」
・練馬区立美術館の喜夛孝臣さんのエッセイ/花束の如く美しく―「松本竣介と野田英夫―大川美術館収蔵品を中心に―」展を見て―
植田実さんの連載エッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」(全14回)
深野一朗さんのエッセイ「ヤノベさんと松本竣介」

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。